日本株 輸送用機器

ホンダ株は今から買い?4,239億円赤字でも配当70円、利回り4.50%を検証

ホンダ(7267)の株価は、2026年7月21日に1,557円で取引を終えました。年間配当予想は70円なので、予想配当利回りは4.50%です。

世界的に知られる企業を100株15万円台で保有でき、PBRも0.51倍。数字だけを見ると、魅力的な高配当・割安株に見えます。

しかし、ホンダは2026年3月期に4,239億円の最終赤字を計上しました。さらに、2027年3月期の予想配当性向は104.8%です。

「赤字なのに、なぜ年間70円を配当できるのか」

「PBR0.51倍は本当に買い場なのか」

この記事では、EV戦略見直しによる巨額損失、本業の収益力、二輪と四輪の差、配当方針、株価指標、8月5日の次回決算で見るべき点を、投資初心者にも分かる言葉で整理します。

※株価と利回りは2026年7月21日終値を基準にしています。

ホンダ株の結論:高配当は魅力だが、決算前の一括購入は慎重に

最初に私の結論です。

ホンダには、次の魅力があります。

  • 予想配当利回りが4.50%
  • 年間70円配当を維持する予想
  • PBRが0.51倍
  • 二輪事業は過去最高の営業利益
  • EV関連損失を除く調整後営業利益は1兆393億円
  • 事業会社は3.3兆円のネットキャッシュを持つ

一方、注意点も小さくありません。

  • 2026年3月期は4,239億円の最終赤字
  • EV関連損失は合計1兆5,778億円
  • 四輪事業はEV損失を除いても営業利益425億円にとどまる
  • 2027年3月期も5,000億円のEV関連損失を想定
  • 予想配当性向は104.8%
  • 米国関税、円高、中国販売など外部要因の影響が大きい

したがって、単純に「PBR1倍割れの高配当株だから買い」とは判断しにくい状況です。

私なら、8月5日の第1四半期決算を確認してから判断するか、決算前に買う場合でも100株を一度に買わず、少額から検討します。

7月21日の株価は1,557円、配当利回り4.50%

まず、現在の株価と投資指標を確認します。

項目 2026年7月21日時点
終値 1,557円
前日比 +21.5円(+1.40%)
100株の購入金額 15万5,700円
年間配当予想 70円/株
100株の年間配当 7,000円(税引前)
予想配当利回り 4.50%
予想PER 23.31倍
PBR 0.51倍
予想EPS 66.79円

配当利回りは、1年間の配当金を現在の株価で割った数字です。

70円 ÷ 1,557円 × 100 = 約4.50%

100株なら、投資金額15万5,700円に対して年間7,000円の配当を受け取る予想です。通常の課税口座ではここから税金が引かれ、NISA口座では条件を満たせば配当が非課税になります。

現在の株価は年初来高値より9.6%下

2026年の年初来高値は2月9日の1,722円、年初来安値は5月11日の1,238円です。

7月21日終値1,557円は、年初来高値より約9.6%低い一方、年初来安値からは約25.8%上昇しています。

つまり、高値づかみと断定する位置ではありませんが、5月の安値を見て「まだ底値圏」と考えるのも難しい水準です。

5月以降は、巨額損失を発表しても年間70円配当を維持したことや、本業のキャッシュ創出力が評価され、株価が戻った可能性があります。ただし、株価上昇の理由を一つの材料だけに決めつけることはできません。

2026年3月期は4,239億円の最終赤字

ホンダの2026年3月期業績は次のとおりです。

項目 2026年3月期実績
売上収益 21兆7,966億円
営業損失 4,143億円
税引前損失 4,033億円
最終損失 4,239億円
1株当たり損失 106.06円

売上収益は前期比0.5%増えましたが、営業損益と最終損益は大幅な赤字になりました。

ここだけを見ると、「ホンダの自動車やバイクが売れなくなり、本業が壊れた」と感じるかもしれません。

しかし、今回の赤字の中心にはEV戦略の見直しがあります。

EV関連損失は合計1兆5,778億円

2026年3月期に計上したEV関連損失は、合計1兆5,778億円です。

内訳は、営業利益に含まれる損失が1兆4,536億円、持分法による投資損失が1,241億円です。

持分法とは、出資先の損益の一部を、出資比率などに応じて自社の決算へ反映する会計処理です。

Hondaは、EV需要の変化を受け、北米で生産予定だったEVモデルの上市や開発を中止しました。Honda 0 SUV、Honda 0 Saloon、Acura RSXなどが見直しの対象に含まれます。

これにより、工場や設備などの価値を引き下げる減損、将来負担を見積もる引当、出資先の損失などを計上しました。

減損とは、過去に投資した工場や設備が、当初見込んだ利益を生みにくくなったと判断し、帳簿上の価値を引き下げる処理です。

全額が同じ時点で現金として流出するわけではありません。しかし、「会計上の数字だから無視してよい」とも言えません。巨額損失は、EV投資の前提が崩れ、戦略変更が必要になった事実を示しています。

EV損失を除くと営業利益は1兆393億円

Hondaは、EV関連損失を除いた調整後営業利益も開示しています。

  • 会計上の営業損失:4,143億円
  • 営業利益に含まれるEV関連損失:1兆4,536億円
  • EV関連損失を除く調整後営業利益:1兆393億円

調整後営業利益とは、特殊要因を除き、通常の事業がどの程度利益を出したかを見るための補助的な数字です。

これを見ると、Honda全体の稼ぐ力が完全になくなったわけではありません。

また、研究開発費を調整した営業キャッシュ・フローは2兆6,579億円、2026年3月末の事業会社ネットキャッシュは3.3兆円でした。

ネットキャッシュとは、現金などから有利子負債を差し引いた実質的な手元資金です。金融サービス事業を除く事業会社の自己資本比率も55%を維持しています。

これらが、赤字でも配当を維持できる背景の一つです。

ただし、調整後利益は会計上の赤字を消す数字ではありません。EV戦略の失敗を除外すれば黒字、という見方だけで安心しないことも大切です。

稼ぎ頭は自動車ではなく二輪事業

ホンダというと自動車のイメージが強いですが、今回の決算では二輪事業の強さが際立ちました。

事業 売上収益 営業利益 営業利益率
二輪 4兆188億円 7,319億円 18.2%
四輪 14兆1,669億円 -1兆4,111億円 -10.0%
金融サービス 3兆5,327億円 2,755億円 7.8%
パワープロダクツ等 4,203億円 -106億円 -2.5%

二輪事業のグループ販売台数は2,210万1,000台。営業利益7,319億円は過去最高です。

営業利益率18.2%は、売上100円に対して本業の利益が約18円残るイメージです。製造業として非常に高い収益力です。

インドやブラジルなどでの旺盛な需要を取り込み、四輪事業の不振を二輪が支えています。

四輪事業はEV損失を除いても課題が残る

四輪事業の営業損失は1兆4,111億円でした。

EV関連損失1兆4,536億円を除くと、調整後営業利益は425億円です。赤字から黒字にはなりますが、売上収益14兆円を超える事業に対して、利益率は約0.3%にとどまります。

四輪事業には、EV損失以外にも次の逆風がありました。

  • 米国関税
  • 半導体供給不足による販売台数減少
  • 販売奨励金の増加
  • 為替の影響
  • 研究開発費の負担

2026年3月期の関税影響は、全社で3,469億円、四輪事業で3,316億円の減益要因でした。

今後の投資判断では、EV損失が一巡するかだけでなく、EV損失を除いた四輪事業の利益率が改善するかを確認する必要があります。

2027年3月期は黒字回復を予想

会社は2027年3月期について、次の業績を予想しています。

項目 2027年3月期予想
売上収益 23兆1,500億円
営業利益 5,000億円
税引前利益 5,000億円
最終利益 2,600億円
1株当たり利益 66.79円

営業利益と最終利益は黒字へ戻る予想です。

ただし、2027年3月期にも営業利益段階で5,000億円のEV関連損失を見込んでいます。EV損失を除く調整後営業利益は1兆円の予想です。

二輪販売は過去最高の2,280万台、四輪販売は339万台を計画。為替レートは1ドル145円を前提にしています。

黒字回復予想は前向きですが、EV関連損失が完全に終わる計画ではない点に注意が必要です。

赤字でも70円配当を維持する理由はDOE

ホンダは2027年3月期も、中間35円、期末35円、年間70円の配当を予定しています。

赤字でも配当を維持する理由を理解するために、「DOE」を知っておきましょう。

DOEは、株主資本に対して何%を配当として支払ったかを見る指標です。

一般的な配当性向は、その年の利益に対して何%を配当に回すかを見ます。一方、DOEは過去から積み上げた株主資本を基準にするため、単年度の利益が大きく増減しても配当を安定させやすい特徴があります。

ホンダは調整後DOE3.0%を目安に、安定的・継続的な配当を目指しています。

ただし、これは70円配当の保証ではありません。業績、財務状態、投資計画などによって将来の配当は変更される可能性があります。

予想配当性向104.8%をどう見るか

2027年3月期の予想EPSは66.79円、年間配当予想は70円です。

単純計算では、1株当たり利益より配当金の方が大きくなります。Honda公式ページに掲載された予想配当性向も104.8%です。

配当性向100%超とは、その年に稼ぐ予想利益以上を配当として支払う状態です。

DOEを採用し、財務にも余力があるため、1年だけで直ちに危険と判断する必要はありません。しかし、この状態が何年も続けば、配当を内部資金で補う負担が大きくなります。

年間70円が維持されるかだけでなく、利益が配当を上回る水準まで回復するかが重要です。

PBR0.51倍でも「半額だから割安」とは限らない

PBRは、株価が1株当たり純資産の何倍まで買われているかを見る指標です。

ホンダのPBRは0.51倍。株価1,557円に対し、実績BPSは3,035.91円です。

数字だけなら、会社の純資産価値の約半分で株式が売買されているように見えます。

しかし、市場は次のリスクを株価へ織り込んでいる可能性があります。

  • 四輪事業の低い収益性
  • EV戦略の再構築
  • 米国関税
  • 中国市場での競争激化
  • 円高による海外利益の目減り
  • 大規模な研究開発・設備投資

そのため、PBR0.51倍は割安さを検討する入口にはなりますが、買いを保証する数字ではありません。

PER23.31倍は低くない

予想PERは23.31倍です。

PERは、株価が1株当たり予想利益の何倍かを見る指標です。PBRだけを見ると非常に安く見えますが、2027年3月期の予想利益がEV損失で抑えられるため、PERは20倍を超えています。

「PBRでは割安、PERでは特に割安とは言いにくい」というねじれが、現在のホンダ株の特徴です。

2027年3月期の利益だけを見るか、EV損失が一巡した後の利益回復を重視するかで、評価が変わります。

大規模な自社株買いと消却も実施済み

ホンダは2025年1月から9月にかけて、約1兆1,000億円の自社株買いを実施しました。

さらに2026年2月27日、7億4,700万株を消却しています。消却後の発行済株式総数は45億3,300万株です。

自社株買いは、会社が市場などから自社の株式を買い戻すことです。消却は、買い戻した株式を消して、将来再び市場へ出ないようにすることです。

発行済株式数が減れば、利益が同じでも1株当たり利益が増えやすくなります。

ただし、約1兆1,000億円の自社株買いはすでに終了しています。「現在も1兆円規模で買っている」と誤解しないようにしましょう。

株主優待は拡充されたが、金額換算はできない

ホンダは2027年3月期から株主優待を拡充しました。

100株以上の株主は、ホンダ太陽が製作したグッズやカーシェア割引クーポン、ラグビー観戦などへ応募できます。1年以上、3年以上と継続保有期間が長くなると、レース観戦、事業所見学、HondaJet体験会など、応募できる企画が増えます。

ただし、多くは応募者多数の場合に抽選です。必ず受け取れる商品券ではないため、「配当+優待の総合利回り」として金額換算するのは適切ではありません。

7月20日に中国合弁事業を2038年まで延長

ホンダは7月20日、広州汽車集団との広汽Honda合弁事業を2038年まで継続する契約を締結したと発表しました。

中国市場で事業を継続し、現地ニーズに合う商品や技術開発を進める方針です。

7月21日の株価は前日比1.40%上昇しました。ただし、株価は市場全体、為替、需給など多くの要因で動くため、中国合弁延長だけが上昇理由とは断定できません。

中国市場は成長機会である一方、現地EVメーカーとの価格・技術競争が厳しい市場です。合弁期間の延長が実際の販売台数や利益改善につながるかを確認する必要があります。

8月5日の第1四半期決算で確認したい7項目

次の決算発表予定日は2026年8月5日です。

私が確認したいのは次の7項目です。

  1. 年間70円配当が維持されるか
  2. 営業利益5,000億円、最終利益2,600億円の通期予想が維持されるか
  3. EV関連損失5,000億円の想定が増えていないか
  4. EV損失を除いた四輪事業の利益率が改善しているか
  5. 二輪事業が引き続き利益を支えているか
  6. 米国関税、為替、原材料価格の影響
  7. 中国での販売と広汽Hondaの見通し

決算では「赤字か黒字か」だけでなく、四輪の調整後利益と会社予想の変化を見ることが重要です。

ホンダ株が向いている人

ホンダ株を検討しやすいのは、次のような人です。

  • 配当利回り4%以上を重視する人
  • EV損失後の利益回復を数年待てる人
  • 二輪事業の世界的な競争力を評価する人
  • 自動車、二輪、金融へ事業が分散されている点を評価する人
  • 株価変動や減配リスクを理解して長期保有できる人

反対に、短期間で安定した利益成長を求める人や、配当性向100%超を避けたい人、決算前の値動きに耐えにくい人には向きにくいと考えます。

まとめ:魅力的な4.50%配当、ただし「安全な高配当株」とはまだ言えない

最後にポイントをまとめます。

  • 7月21日終値は1,557円
  • 100株の購入金額は15万5,700円
  • 年間配当予想は70円、利回り4.50%
  • 2026年3月期は4,239億円の最終赤字
  • EV関連損失は合計1兆5,778億円
  • EV損失を除く調整後営業利益は1兆393億円
  • 二輪事業は営業利益7,319億円で過去最高
  • 2027年3月期は最終利益2,600億円の黒字回復予想
  • 予想配当性向は104.8%
  • PBR0.51倍でも、四輪・EV・関税・中国のリスクがある
  • 次回決算は8月5日予定

配当利回り4.50%とPBR0.51倍には魅力があります。しかし、現在のホンダは、安定して利益を積み上げる完成された高配当株というより、巨額損失を処理して四輪事業の立て直しに入った企業です。

私なら決算前に一括購入せず、8月5日の第1四半期決算を確認するか、買うとしても少額から検討します。

投資判断では、配当利回りだけでなく、四輪事業の調整後利益と年間70円配当を利益で賄える状態へ戻れるかを追っていきたいと思います。


※本記事は公開情報をもとにした個人の調査・見解であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。株価、配当、業績予想、優待内容は変更される可能性があります。

主な参照資料

▶ YouTubeでも発信中!

高配当株・株主優待の情報をわかりやすく動画で解説しています。
ブログとあわせてチェックしてみてください!

チャンネル登録はこちら
  • この記事を書いた人
  • 最新記事

たぐ

コロナショック直前の2020年に投資をスタート。リアルタイムで暴落を経験しながら独学で投資の基礎を習得。 現在の運用総額5,000万円超・年間配当収入120万円超を達成。投資信託・ETF・個別株・米国株など100銘柄超に分散投資し、相場の波に強いポートフォリオを構築中。 高配当株の長期保有と新NISAの積立を組み合わせた"2刀流"スタイルで資産形成を実践。保有銘柄の決算・配当・株価をブログで赤裸々公開しています。YouTubeでも投資情報を発信中!

-日本株, 輸送用機器

© 2026 タグの株ブログ Powered by AFFINGER5