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ホンダ(7267)2026年3月期決算|EV関連損失1.5兆円と70円配当維持を読み解く

目次

ホンダ(7267)2026年3月期決算サマリ|決算日・主要数値ハイライト

本田技研工業(証券コード7267)は2026年5月14日に2026年3月期(2025年4月1日〜2026年3月31日)の通期決算を発表しました。本記事は同日公表の「決算短信〔IFRS〕(連結)」および「2026年3月期決算説明会資料」の2つの開示資料に記載されたファクトのみを根拠に、業績・セグメント・株主還元・2027年3月期見通しを整理する内容です。

まず最初に押さえておきたい主要数値を一覧にまとめます。すべて2026年3月期通期実績(12ヵ月間)の数値です。

項目 2025年3月期 2026年3月期 増減
売上収益 21兆6,887億円 21兆7,966億円 +1,078億円(+0.5%)
営業利益(△損失) 1兆2,134億円 △4,143億円 △1兆6,278億円
営業利益率 5.6% △1.9% △7.5pt
税引前利益(△損失) 1兆3,176億円 △4,033億円 △1兆7,209億円
親会社の所有者に帰属する当期利益(△損失) 8,358億円 △4,239億円 △1兆2,597億円
1株当たり当期利益 178.93円 △106.06円 △284.99円
期中平均為替レート(米ドル) 153円 151円 2円円高

売上収益は微増となった一方、営業利益はEV関連損失1兆4,536億円(持分法損益を含めると合計1兆5,778億円)の計上により、営業損失4,143億円となりました。ただし、説明資料P.2に記載のとおり、EV関連損失を除いた「調整後営業利益」は1兆393億円を確保しており、本業の収益力は維持されている形です。

EV関連損失1兆5,778億円の内訳と発生背景

2026年3月期に計上されたEV関連損失の内訳は、説明資料P.31の「Honda独自指標について」に明示されています。営業利益ベースでの内訳と、持分法損益を加えた合計は以下のとおりです。

区分 2026年3月期実績 2027年3月期予想
開発資産・設備の除却と減損 △6,439億円
戦略変更に伴う追加的な費用 △5,426億円 △5,000億円
第3四半期累計で発生したEV関連損失 △2,671億円
営業利益への影響(小計) △1兆4,536億円 △5,000億円
持分法損益 △1,241億円
合計 △1兆5,778億円 △5,000億円

このうち、「3月12日の電動化戦略変更に伴う追加のEV関連損失」として、2026年3月期に△1兆3,106億円(持分利益含む)が認識されています。決算短信P.13(「セグメント情報」内のEV市場環境の変化を背景とした四輪事業に係る影響)では、その背景として次のように記載されています。

  • 米国でEV補助金の見直しや化石燃料規制の緩和などが進み、EV市場の拡大スピードが鈍化している
  • EV販売台数の減少や販売奨励金の増加などの影響が生じている
  • 当年度を通じて、一部のEVモデルの上市および開発中止、特定のアライアンス契約に基づく共同開発EVモデルの製造終了、生産台数の減少を決定
  • 2026年3月12日に四輪電動化戦略の見直しを行い、北米で生産予定であったEVモデルの上市および開発中止などを決定
  • 中国においては、新興EVメーカーの台頭で競争が激化し、EVモデルの商品投入計画を見直し

当該損失および費用は四輪事業に含まれており、連結損益計算書の科目別では売上原価に1兆479億円、販売費及び一般管理費に79億円、研究開発費に3,979億円、持分法による投資損益に1,241億円が認識されています(決算短信P.13)。

連結業績ハイライト|売上収益・営業利益・純利益

本章では決算短信および説明資料の数値から、2026年3月期の連結業績を順に確認します。

売上収益|21兆7,966億円(前期比+0.5%)

2026年3月期の売上収益は21兆7,966億円で、前期比+1,078億円(+0.5%)の微増となりました。説明資料P.24の事業別売上収益(外部顧客への売上収益)増減を、為替換算影響を除いた実質ベースで見ると以下のとおりです。

事業 2025年3月期 2026年3月期 増減(為替換算影響除く)
二輪事業 3兆6,266億円 4兆188億円 +4,322億円(+11.9%)
四輪事業 14兆1,692億円 13兆8,633億円 △2,229億円(△1.6%)
金融サービス事業 3兆5,077億円 3兆5,294億円 +500億円(+1.4%)
パワープロダクツ事業及びその他の事業 3,851億円 3,849億円 △39億円(△1.0%)
合計 21兆6,887億円 21兆7,966億円 +2,554億円(+1.2%)

四輪事業の売上収益が減少した一方、二輪事業の売上収益が+4,322億円(為替換算影響除く)と二桁伸長し、連結売上収益を下支えしました。

営業利益|△4,143億円(EV関連損失除く調整後営業利益は1兆393億円)

営業利益は△4,143億円(前期比△1兆6,278億円)と営業損失を計上しましたが、EV関連損失△1兆4,536億円を除いた調整後営業利益は1兆393億円で、営業利益率は4.8%となりました(説明資料P.8)。

説明資料P.8の営業利益増減要因を確認すると、EV関連損失と関税影響が大きなマイナス要因となった一方、売価/コスト影響+2,923億円がプラス寄与しています。

増減要因 金額
2025年3月期営業利益 12,134億円
販売影響 +1,178億円
売価/コスト影響 +2,923億円
諸経費 △1,185億円
研究開発費 △417億円
関税影響 △3,469億円
為替影響 △770億円
EV関連損失 △14,536億円
2026年3月期営業利益 △4,143億円

関税影響△3,469億円は説明資料P.8の増減要因に独立掲記されており、EV関連損失と並ぶマイナスインパクトとなっています。

税引前利益・親会社所有者帰属当期利益

税引前損失は△4,033億円(前期比△1兆7,209億円)、親会社の所有者に帰属する当期損失は△4,239億円(前期比△1兆2,597億円)でした。1株当たり当期利益は△106.06円(前期178.93円)です(説明資料P.7、決算短信P.1)。

なお、決算短信の連結損益計算書では、金融収益及び金融費用合計が+1,731億円(前期+1,032億円)と前期から増加しており、税引前損失幅が営業損失より小さくなる要因となっています。

事業セグメント別業績|二輪・四輪・金融サービス・パワープロダクツ

ホンダの事業セグメントは、決算短信P.12に記載のとおり「二輪事業」「四輪事業」「金融サービス事業」「パワープロダクツ事業及びその他の事業」の4区分です。説明資料P.9の事業別売上収益/営業利益(率)の12ヵ月間実績を整理します。

事業 売上収益(25/3期) 売上収益(26/3期) 営業利益(25/3期) 営業利益(26/3期) 営業利益率(26/3期)
二輪事業 3兆6,266億円 4兆188億円 6,634億円 7,319億円 18.2%
四輪事業 14兆4,678億円 14兆1,669億円 2,438億円 △1兆4,111億円 △10.0%
金融サービス事業 3兆5,122億円 3兆5,327億円 3,156億円 2,755億円 7.8%
パワープロダクツ事業及びその他 4,146億円 4,203億円 △94億円 △106億円 △2.5%

※上記は説明資料P.9のセグメント情報(IFRSの「事業別売上収益」表記。決算短信P.12のセグメント情報の「計」とは消去前/後など集計範囲が異なる場合があります)。

二輪事業|過去最高の販売台数・営業利益を達成

二輪事業は営業利益7,319億円(前期比+684億円/+10.3%)と、説明資料P.2に「過去最高の販売台数・営業利益を達成」と明記されています。営業利益率は18.2%と高水準を維持しました(前期18.3%)。

説明資料P.10の二輪事業の営業利益増減要因は次のとおりです。

増減要因 金額
2025年3月期営業利益 6,634億円
販売影響 +860億円
売価/コスト影響 +704億円
諸経費 △515億円
研究開発費 +36億円
関税影響 △121億円
為替影響 △280億円
2026年3月期営業利益 7,319億円

説明資料P.10では「主にアジア、南米における販売台数の増加により、増益」と説明されています。

四輪事業|EV関連損失1.4兆円計上、調整後営業利益は黒字維持

四輪事業の営業利益は△1兆4,111億円(前期2,438億円)と大幅な営業損失を計上しました。営業利益率は△10.0%です。説明資料P.11によると、EV関連損失△1兆4,536億円を除いた調整後営業利益は425億円(営業利益率0.3%)で、調整後ベースでは黒字を維持しています。

四輪事業 増減要因 金額
2025年3月期営業利益 2,438億円
販売影響 △478億円
売価/コスト影響 +2,230億円
諸経費 +441億円
研究開発費 △473億円
関税影響 △3,316億円
為替影響 △416億円
EV関連損失 △14,536億円
2026年3月期営業利益 △14,111億円

説明資料P.11では「EV関連損失や関税影響はあったものの、価格改定や改善努力などにより、調整後営業利益は黒字を維持」と説明されています。関税影響は四輪事業単体で△3,316億円と、連結ベースの関税影響△3,469億円の大半を占めています。

金融サービス事業|営業利益2,755億円(前期比△401億円)

金融サービス事業の売上収益は3兆5,327億円(前期比+205億円)、営業利益は2,755億円(前期比△401億円/△12.7%)でした(説明資料P.9・P.28)。営業利益率は7.8%です。

同事業は、決算短信P.12の事業形態欄に「当社製品に関わる販売金融およびリース業・その他」と記載のとおり、主に四輪車の販売に関連するサービスです(説明資料P.9注記)。

パワープロダクツ事業及びその他の事業|営業損失106億円

同セグメントの売上収益は4,203億円(前期比+57億円)、営業損失は△106億円(前期△94億円)。説明資料P.9注記では「上記に含まれる航空機および航空エンジン営業利益」が2026年3月期△372億円(前期△388億円)と記載されています。

地域別販売台数・売上収益/営業利益の状況

説明資料P.6に記載のとおり、2026年3月期のHondaグループ販売台数を地域別・事業別に確認すると、二輪事業はアジア・その他で大幅増、四輪事業はアジア(うち中国△199千台)・北米・欧州・日本で減少しました。

Hondaグループ販売台数(12ヵ月間、千台)

地域 二輪(25/3期) 二輪(26/3期) 四輪(25/3期) 四輪(26/3期) PP(25/3期) PP(26/3期)
日本 224 205 630 605 278 300
北米 548 538 1,654 1,605 1,020 927
欧州 475 407 93 90 651 712
アジア 17,478 18,738 1,182 929 1,413 1,295
その他 1,847 2,213 157 158 338 355
合計 20,572 22,101 3,716 3,387 3,700 3,589
増減率 +7.4% △8.9% △3.0%

※PPはパワープロダクツ事業。台数は千台。※アジアの四輪△253千台には中国△199千台を含むと注記(説明資料P.6)。

所在地別売上収益/営業利益(12ヵ月間)

説明資料P.25の所在地別データから、12ヵ月間の売上収益・営業利益を見ます。

所在地 売上収益(25/3期) 売上収益(26/3期) 営業利益(25/3期) 営業利益(26/3期)
日本 5兆5,845億円 5兆4,492億円 1,911億円 △7,650億円
北米 13兆1,082億円 12兆8,819億円 4,352億円 △2,273億円
欧州 9,462億円 1兆155億円 53億円 158億円
アジア 4兆8,963億円 4兆8,804億円 4,082億円 3,525億円
その他 1兆2,262億円 1兆4,323億円 1,778億円 2,140億円

日本所在地・北米所在地が営業損失となった一方、欧州・その他は増益、アジアは減益ながら3,525億円の営業利益を維持しています(説明資料P.25)。

キャッシュ・フローと財務基盤

連結キャッシュ・フロー(決算短信P.10)

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業活動によるキャッシュ・フロー 2,921億円 1兆1,352億円
投資活動によるキャッシュ・フロー △9,419億円 △8,521億円
財務活動によるキャッシュ・フロー +2,804億円 △369億円
現金及び現金同等物の期末残高 4兆5,288億円 5兆1,185億円

※億円未満四捨五入。決算短信P.1注記「百万円未満四捨五入」に準拠(原典:4,528,795百万円→5,118,477百万円)。

営業キャッシュ・フローは前期比+8,431億円の大幅増加。決算短信P.2では「部品や原材料の支払いの減少や金融サービスに係る債権の回収の増加などにより」と説明されています。

なお、本表は連結ベースのキャッシュ・フロー計算書(決算短信P.10)から主要4項目を抜粋しています。財務活動キャッシュ・フローや為替影響など、より詳細な内訳は決算短信原典をご確認ください。

事業会社(金融サービス事業除く)のキャッシュ・フロー

説明資料P.12の金融サービス事業を除く事業会社のキャッシュ・フローも確認します。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業活動によるキャッシュ・フロー +1兆8,831億円 +1兆6,819億円
投資活動によるキャッシュ・フロー △1兆2,172億円 △6,239億円
フリーキャッシュ・フロー +6,658億円 +1兆580億円
ネットキャッシュの期末残高 3兆2,157億円 3兆3,245億円
R&D調整後営業キャッシュ・フロー +2兆8,066億円 +2兆6,579億円

説明資料P.2では「R&D調整後営業キャッシュ・フロー26,579億円(前期同等、強固なキャッシュ創出力を維持)」と説明されています。

財務基盤|自己資本比率・有利子負債・ネットキャッシュ

説明資料P.4「健全な財務基盤(金融サービス事業を除く)」より、過去5期分の自己資本比率推移は以下のとおりです(数値は事業会社ベース)。

自己資本(兆円) 有利子負債(兆円) 他負債(兆円) 自己資本比率
22年3月期 8.4 0.8 3.8 64%
23年3月期 8.9 0.8 4.1 65%
24年3月期 10.2 0.8 5.1 63%
25年3月期 10.0 0.6 5.3 63%
26年3月期 9.3 1.2 6.5 55%

事業会社ベースの自己資本比率は前期63%から55%へと低下しています(説明資料P.4)。R&D調整後営業キャッシュ・フローは2.6兆円(前期2.8兆円)、ネットキャッシュ期末残高は3.3兆円(前期3.2兆円)と、キャッシュ創出力を維持していると説明されています。

なお、決算短信P.1の連結ベースでは、親会社所有者帰属持分比率(連結自己資本比率)は2025年3月期40.1%→2026年3月期35.3%です。連結と事業会社ベースで集計範囲が異なるため、数字の水準も差があります。

連結財政状態計算書(B/S)の主要項目

決算短信P.5〜P.6および説明資料P.27の事業会社/金融子会社別連結財政状態計算書を確認します。連結ベースでは以下のとおり総資産が前期末から+2兆7,334億円増加しています。

項目 2025年3月期末 2026年3月期末
資産合計 30兆7,758億円 33兆5,092億円
負債合計 18兆1,480億円 21兆3,612億円
資本合計 12兆6,278億円 12兆1,480億円
親会社の所有者に帰属する持分 12兆3,265億円 11兆8,175億円
親会社所有者帰属持分比率 40.1% 35.3%
1株当たり親会社所有者帰属持分 2,835.96円 3,035.91円

決算短信P.2では「総資産は、オペレーティング・リース資産の増加や為替換算による資産の増加影響などにより」増加、「資本合計は、為替換算による資本の増加影響などはあったものの、自己株式の取得による減少や当期損失による利益剰余金の減少などにより」減少と説明されています。

1株当たり親会社所有者帰属持分は2,835.96円→3,035.91円へ増加している点が特徴的です。これは後述する自己株式の消却・取得により発行済株式数(自己株式を除く)が減少したことが主因と考えられます。

株主還元方針|配当・自己株式取得・DOE指標の導入

1株当たり配当金|2026年3月期70円、2027年3月期予想も70円

決算短信P.1および説明資料P.18より、配当の状況は以下のとおりです。

中間配当 期末配当 年間配当 配当性向 DOE
2025年3月期 34.00円 34.00円 68.00円 38.0% 2.5%
2026年3月期 35.00円 35.00円 70.00円 2.4%
2027年3月期(予想) 35.00円 35.00円 70.00円 104.8%

※2026年3月期は当期損失のため配当性向は「-」と決算短信に記載。配当金総額は2,728億円(2026年3月期)、3,073億円(2025年3月期)。

説明資料P.3の本決算サマリーには次のとおり明記されています。

2027年3月期配当予想:1株当たり70円(2026年3月期実績同額)
DOE3.0%を目安としつつ、安定的かつ継続的な配当方針を維持し、2026年3月期と同額となる1株当たり70円とする

説明資料P.18では「2026年3月期以降、還元指標にDOE*1を導入」「3.0%を目安に行うように努め、より安定的・継続的な配当を実現」と記載されています。

※DOEの定義(説明資料P.18注記):調整後親会社所有者帰属持分配当率(「親会社の所有者に帰属する持分」から「その他の資本の構成要素」を除外)。

2027年3月期予想の配当性向104.8%は、決算短信P.1の数値です。基本的1株当たり当期利益見通し66.79円に対して年間配当70円を支払う計算となるため、配当性向が100%を超える形になっています。

自己株式取得・消却|2026年3月期に発行済株式数が大幅減

決算短信P.2およびP.9の連結持分変動計算書から、自己株式関連の動きを確認します。

項目 2025年3月期 2026年3月期
期末発行済株式数(自己株式を含む) 5,280,000,000株 4,533,000,000株
期末自己株式数 933,490,429株 640,419,559株
期中平均株式数 4,671,383,489株 3,997,276,887株
自己株式の取得(持分変動計算書) △7,224億円 △6,709億円

2026年3月期は自己株式の消却1兆462億円が連結持分変動計算書(決算短信P.9)に計上されており、利益剰余金から1兆462億円が振り替えられています。この消却の結果、期末発行済株式数(自己株式を含む)は5,280,000,000株→4,533,000,000株へと約7.5億株(約14.1%)減少しました。

2026年3月期も自己株式取得6,709億円が継続して実施されており、説明資料P.19の参考情報では、2027年3月期見通しの基本的加重平均普通株式数は3,892,580,441株(決算短信P.13の期末発行済株式数(自己株式を除く)と同値)と記載されています。

2026年3月期 第4四半期(3ヵ月間)の業績

説明資料P.22の2026年3月期第4四半期(3ヵ月間)の営業利益増減要因を見ると、当該四半期にEV関連損失△1兆1,864億円が集中して計上されたことがわかります。

増減要因(Q4・3ヵ月間) 金額
2025年3月期 第4四半期 営業利益 735億円
販売影響 +797億円
売価/コスト影響 +663億円
諸経費 △99億円
研究開発費 △60億円
関税影響 △570億円
為替影響 +339億円
EV関連損失 △11,864億円
2026年3月期 第4四半期 営業利益 △10,058億円

第4四半期の調整後営業利益(EV関連損失除く)は1,806億円(営業利益率3.1%)で、前年同期比+1,070億円/+145.6%の増加でした(説明資料P.22)。

2027年3月期 連結業績見通し

説明資料P.15および決算短信P.1から、2027年3月期の連結業績見通しは以下のとおりです。

項目 2026年3月期実績 2027年3月期見通し 増減
売上収益 21兆7,966億円 23兆1,500億円 +1兆3,533億円(+6.2%)
営業利益 △4,143億円 5,000億円 +9,143億円
営業利益率 △1.9% 2.2% +4.1pt
持分法による投資損益 △1,620億円 0 +1,620億円
税引前利益 △4,033億円 5,000億円 +9,033億円
親会社の所有者に帰属する当期利益 △4,239億円 2,600億円 +6,839億円
1株当たり当期利益 △106.06円 66.79円 +172.85円
期中平均為替レート(米ドル) 151円 145円 6円円高
EV関連損失 △14,536億円 △5,000億円 +9,536億円
調整後営業利益 10,393億円 10,000億円 △393億円

2027年3月期の見通しは、為替前提を1米ドル=145円(前期151円から6円円高)に置きつつ、調整後営業利益は10,000億円とほぼ前期並みを計画しています。説明資料P.3には次のとおり記載されています。

営業利益5,000億円(EV関連損失除く調整後営業利益:10,000億円)
中東情勢への懸念や材料価格の高騰影響はあるものの、二輪台数の増加と事業効率向上による固定費削減等により、前年並みの調整後営業利益を目指す

2027年3月期 営業利益増減要因(調整後営業利益ベース)

説明資料P.16の調整後営業利益増減要因は以下のとおりです。

増減要因 金額
2026年3月期 調整後営業利益 10,393億円
販売影響 +2,667億円
売価/コスト影響 △3,130億円
諸経費 △80億円
研究開発費 +100億円
関税影響 +1,470億円
為替影響 △1,420億円
2027年3月期 調整後営業利益 10,000億円

関税影響は2026年3月期の△3,469億円から2027年3月期見通しで+1,470億円のプラスとなる計画です。一方、売価/コスト影響△3,130億円・為替影響△1,420億円が主なマイナス要因となっています。

2027年3月期 Honda販売台数見通し(千台)

説明資料P.14の販売台数見通しは以下のとおりです。

事業 2026年3月期実績 2027年3月期見通し 増減
二輪事業 22,101 22,800 +699
四輪事業 3,387 3,390 +3
パワープロダクツ事業 3,589 3,650 +61

説明資料P.3では「二輪事業:インドにおける生産能力拡大などにより、旺盛な需要を的確に捉え、過去最高となる2,280万台の販売を計画」「四輪事業:アジアではモデルチェンジなどにより台数の下支えを行いながら、北米を中心にICE/HEVの販売強化で台数を伸ばす」と説明されています。

2027年3月期 設備投資・減価償却費・研究開発支出見通し

説明資料P.17より、2027年3月期の設備投資は1兆2,500億円(前期7,513億円から+4,986億円の大幅増)が計画されています。

項目 2026年3月期実績 2027年3月期見通し 増減
設備投資 7,513億円 12,500億円 +4,986億円
減価償却費 4,102億円 3,900億円 △202億円
研究開発支出 11,748億円 11,700億円 △48億円

※注記:オペレーティング・リース資産、使用権資産および無形固定資産に係る設備投資および減価償却費は含まれていません(説明資料P.17注記)。

四輪電動車(パワートレイン別)小売台数の状況

説明資料P.30のパワートレイン別四輪電動車小売台数(決算発表日時点の速報値)を確認すると、2026年3月期通期のグローバル販売(千台)は以下のとおりです。

パワートレイン 2025年3月期(グローバル) 2026年3月期(グローバル) 増減 2026年3月期(中国除く)
HEV 898 929 +31 870
PHEV 17 11 △6 4
EV 77 73 △4 57
FCEV 0 0 +0 0

HEVが前期から+31千台増加した一方、EVは77千台→73千台に減少しています。中国を除く小売ベースのEVは67千台→57千台と△10千台の減少です。説明資料P.30は「決算発表日時点の速報値」と注記されています。

セグメント情報の推移(四半期ベース)

説明資料P.28のセグメント情報推移から、2026年3月期の四半期別営業利益を見ると、四輪事業の損失が第4四半期に集中していることが鮮明です。

セグメント Q1 Q2 Q3 Q4 通期
二輪事業 1,890 1,792 1,782 1,853 7,319
四輪事業 △296 △434 △934 △12,446 △14,111
金融サービス事業 850 582 747 575 2,755
PP事業及びその他 △2 △0 △62 △40 △106
合計 2,441 1,939 1,533 △10,058 △4,143

※単位:億円(説明資料P.28)。四輪事業のQ4営業損失△1兆2,446億円のうち、EV関連損失(第4四半期発生分の追加損失)が大宗を占めています。

二輪事業は4四半期すべてで1,700〜1,900億円台の営業利益を安定的に計上しており、通期合計7,319億円と説明資料P.2記載の「過去最高の販売台数・営業利益」を実現しています。

リスク・特殊事項|EV戦略見直し関連の引当金と後発事象

決算短信P.13〜P.14には、EV関連損失に係る引当金と重要な後発事象が記載されています。

EV関連損失に係る引当金(決算短信P.13)

引当金の繰入額6,674億円は主に以下の項目で構成されます(決算短信P.13)。

  • 不利な契約の引当金:1,063億円。特定のアライアンス契約に関して、関税、EVの税制優遇措置廃止、排出規制の緩和等を含む米国政府の政策転換、生産台数の減少に伴う経済的便益の減少およびコストの上昇等による。
  • EVモデル関連の契約損失引当金:5,611億円。EVモデルに関連して他社と締結した契約から生じる損失または費用に関する引当金。業務提携契約や部品の供給および調達に関する契約に関する補償などを含む。

後発事象(決算短信P.14)

決算短信P.14の「重要な後発事象(四輪電動化戦略見直しに関する後発事象)」では次のように記載されています。

当社および連結子会社は、取引先との間で部品調達に関する契約を締結しています。当年度において、北米で生産予定であったEVモデルの上市および開発中止を決定しました(中略)。当該決定に伴い、当社および連結子会社は、翌年度において、取引先で生じる影響を把握する目的の調査を開始しています。今後の調査および取引先との協議の状況に応じて、取引先に対する追加支出が発生する可能性がありますが、取引先への影響について現在調査中であり、当該支出による当社および連結子会社の財政状態および経営成績へ与える影響額を見積ることはできません。

北米EVモデルの上市・開発中止に伴い、翌年度に取引先への追加支出が発生する可能性があり、現時点では金額を見積もれないため引当金は認識していない旨が明示されています。

エアバッグインフレーター関連(決算短信P.14)

決算短信P.14の「その他の注記」には、「エアバッグインフレーターに関連した市場措置」について、引当金を計上している旨と、新たな事象の発生等により追加的な引当金の計上が必要となる可能性がある旨が記載されています。現時点では将来の引当金の金額・発生時期を合理的に見積もることはできないとされています。

株価指標(PER・PBR・配当利回り)について

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本記事の根拠資料である決算短信および説明資料には、株価指標(PER・PBR・配当利回り)の記載はありません。実際の数値は公式IR資料および証券取引所の最新データを参照してください。

ただし、決算短信P.16および説明資料P.19から、以下の1株当たり指標は確認できます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
1株当たり親会社所有者帰属持分(BPS) 2,835.96円 3,035.91円
基本的1株当たり当期利益(EPS) 178.93円 △106.06円
2027年3月期予想1株当たり当期利益(EPS) 66.79円
1株当たり年間配当金 68.00円 70.00円
2027年3月期予想1株当たり年間配当金 70.00円
期末発行済株式数(自己株式を除く) 4,346,509,571株 3,892,580,441株

PER・PBR・配当利回りは、上記のEPS・BPS・配当金と、各自で確認した株価から算定可能です。

まとめ|ホンダ(7267)2026年3月期決算で押さえるべきポイント

ホンダ(7267)の2026年3月期決算(2026年5月14日発表)について、決算短信と決算説明会資料の数値から押さえておきたいポイントを整理します。

  1. EV関連損失1兆5,778億円(営業利益への影響△1兆4,536億円、持分法損益△1,241億円)の計上により、営業損失△4,143億円・親会社所有者帰属当期損失△4,239億円を計上。
  2. 一方、EV関連損失を除いた調整後営業利益は1兆393億円(営業利益率4.8%)を確保。R&D調整後営業キャッシュ・フローも2兆6,579億円と前期同等。
  3. 二輪事業は営業利益7,319億円(営業利益率18.2%)と過去最高。アジア・南米中心に販売台数も+1,529千台の22,101千台。
  4. 四輪事業はEV関連損失と関税影響3,316億円が直撃し営業損失△1兆4,111億円。ただし調整後営業利益は425億円で黒字維持。
  5. 年間配当は70円(中間35円・期末35円)で2025年3月期68円から2円増配。2027年3月期予想も70円据え置き。DOE3.0%を目安とする安定配当方針を新たに導入。
  6. 2026年3月期は自己株式の消却1兆462億円を実施。期末発行済株式数(自己株式を含む)は5,280百万株→4,533百万株へ大幅減。自己株式取得も6,709億円実施。
  7. 2027年3月期見通しは売上収益23兆1,500億円(+6.2%)、営業利益5,000億円、親会社所有者帰属当期利益2,600億円、1株当たり当期利益66.79円。為替前提は1米ドル=145円。
  8. 2027年3月期もEV関連損失△5,000億円(戦略変更に伴う追加的な費用)を見込む。調整後営業利益は10,000億円で前期並みを計画。
  9. 後発事象として、北米EVモデルの上市・開発中止に伴う取引先への追加支出可能性、エアバッグインフレーター関連の追加引当金可能性が決算短信に明記。

2026年3月期は「EV戦略の大幅な見直しに伴う一時損失」と「二輪事業の過去最高益・年間配当70円維持」が同居する決算でした。本記事は決算短信と説明資料に記載された数値のみを根拠としています。最新の業績数値・株価指標は必ず公式IRサイト(https://global.honda/jp/investors/)でご確認ください。

※本記事は2026年5月14日発表の「2026年3月期決算短信〔IFRS〕(連結)」および「2026年3月期決算説明会資料」に記載された情報を整理したものであり、投資判断を提供するものではありません。実際の投資判断はご自身の責任において行ってください。

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たぐ

コロナショック直前の2020年に投資をスタート。リアルタイムで暴落を経験しながら独学で投資の基礎を習得。 現在の運用総額5,000万円超・年間配当収入120万円超を達成。投資信託・ETF・個別株・米国株など100銘柄超に分散投資し、相場の波に強いポートフォリオを構築中。 高配当株の長期保有と新NISAの積立を組み合わせた"2刀流"スタイルで資産形成を実践。保有銘柄の決算・配当・株価をブログで赤裸々公開しています。YouTubeでも投資情報を発信中!

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