化学 日本株

トイレタリー株6社、全社が増収。なのに3社が減益|最新決算で確認

※この記事は、各社が公表した決算短信をもとに、2026年8月22日時点の情報でまとめたものです。特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資の判断はご自身の責任でお願いします。株価・指標は2026年8月21日の終値を基準にしています。

はじめに|モノは売れている。でも儲かっていない

歯みがき、洗剤、紙おむつ、殺虫剤、消臭剤。毎日どこかで使っているものばかりです。

こういう日用品を作っている上場6社の最新決算を並べてみたところ、6社すべてが増収でした。売上の伸びは1.8%から9.6%。モノはちゃんと売れています。

ところが、利益を見たら話がまったく違いました。

プラス54.7%から、マイナス67.5%まで。 同じ業界で、ほぼ同じ期間なのに、これだけ開いています。しかも1社は営業赤字です。

売上が増えたのに、利益が減った会社が3社ある。

なぜこうなるのか。売れているなら、その分は利益になるはずです。

答えは、損益計算書を1行ずつ開けたら出てきました。利益が消えた場所が、会社ごとに違っていたのです。 原材料で消えた会社、宣伝費で消えた会社。そして、本業以外で利益がふくらんだ会社もありました。

順番に見ていきます。

結論

先に結論をお伝えします。

6社とも増収。でも営業利益はプラス54.7%からマイナス67.5%まで割れました。

損益計算書を開けると、こうなっていました。

  • 小林製薬(マイナス67.5%) ── 粗利(あらり。売上から原価を引いた利益のことです)は1.85億円しか増えなかったのに、販管費が46.72億円増えた
  • エステー(営業赤字) ── 売上は増えたのに、原価が上がって粗利そのものが1.66億円減った
  • アース製薬(マイナス2.5%) ── 会社の説明は「売上原価や物流費・広告宣伝費などの増加」
  • ライオン(プラス54.7%) ── 本業を示す事業利益はプラス21.3%。差は子会社2社を売った利益70.16億円
  • フマキラー(プラス7.0%) ── 売上原価率68.1%を前期並みに守りきった
  • ユニ・チャーム(プラス14.1%) ── 利益は伸びたが、株主の取り分である最終利益はマイナス1.9%

「増収だから好調」とは限りません。 売れたお金がどこで消えたのかは、決算書の中身を見ないとわからない、というのが今回の決算でした。

1. 買える会社と、買えない会社

まず対象を整理します。今回取り上げるのは、トイレタリーと殺虫剤を主力にしている上場6社です。

会社 コード 市場 主な商品
ユニ・チャーム 8113 東証プライム 紙おむつ、生理用品、ペット用品
ライオン 4912 東証プライム ハミガキ、洗剤、ハンドソープ
アース製薬 4985 東証プライム 殺虫剤、入浴剤、モンダミン
小林製薬 4967 東証プライム 消臭元、ブルーレット、熱さまシート
エステー 4951 東証プライム 消臭力、ムシューダ
フマキラー 4998 東証スタンダード 殺虫剤、園芸用品

一方で、名前を知っていても株を買えない会社があります。

  • サンスター ── オーラルケアの大手。スイスにグローバル拠点を置いています
  • 大日本除虫菊 ── 「KINCHO」の殺虫剤や虫よけ
  • 白元アースバスクリン ── どちらもアース製薬の子会社です
  • クラシエ ── ディアボーテ、プロスタイルなど
  • P&Gジャパン/ユニリーバ・ジャパン/ジョンソン・エンド・ジョンソン ── いずれも外資の日本法人

つまり、この業界で毎日目にしている商品のうち、株として買えるのは一部だけということになります。

なお業界の規模は、国内洗浄剤の販売額で9,477億円(2025年、日本石鹸洗剤工業会)。業界地図の2027年度の天気図は108となっています。

2. 比較の前提|3つ注意してください

数字を並べる前に、注意点を3つお伝えします。地味ですが、ここを飛ばすと数字を読み違えます。

ひとつ、決算期が2種類あります。

6社のうち4社(ユニ・チャーム、ライオン、アース製薬、小林製薬)は12月決算で、今回の対象は2026年1月〜6月の6か月

エステーとフマキラーは3月決算で、今回は2026年4月〜6月の3か月です。

期間の長さが違うので、金額の大小は比べられません。 増減率と利益率で見ていきます。

ふたつ、会計基準が2種類あります。

ユニ・チャームとライオンがIFRS(アイファース。国際会計基準です)、他の4社が日本基準。IFRSには経常利益という項目がありませんので、6社を並べた表に経常利益の欄は作れません。

みっつ、2社が独自の利益指標を使っています。

ユニ・チャームは「コア営業利益」。 決算短信の注記にはこう書かれています。

「コア営業利益は当社グループの経常的な事業業績を測る指標として有用な情報であり、売上総利益から販売費及び一般管理費を控除して算出しております。」

同社の決算短信の1ページ目には営業利益の行がありません。 ですから、この記事ではコア営業利益を使います。他の5社の営業利益と厳密には同じものではない、という点はご承知おきください。

ライオンは「事業利益」。 こちらは営業利益と両方が載っています。

「事業利益は、売上総利益から販売費及び一般管理費を控除したもので、恒常的な事業の業績を測る当社の利益指標です。」

中間期は事業利益153.34億円、営業利益207.03億円。この差が、実は今回の記事の山場のひとつになります。

3. 6社の決算一覧

では、数字を見ていきます。

会社 期間 売上 前年同期比 利益 前年同期比 利益率
フマキラー 3か月 228億円 +9.6% 13.4億円 +7.0% 5.9%
ライオン 6か月 2,168億円 +8.7% 207億円 +54.7% 9.5%
アース製薬 6か月 1,091億円 +6.2% 132億円 △2.5% 12.1%
ユニ・チャーム 6か月 4,871億円 +4.9% 650億円 +14.1% 13.3%
小林製薬 6か月 707億円 +2.5% 22億円 △67.5% 3.1%
エステー 3か月 112億円 +1.8% △0.5億円 赤字 △0.4%

※ユニ・チャームはコア営業利益、ライオンは営業利益、他4社は営業利益です。

※期間の長さが違うので、金額の大小は比べられません。

6社すべてが増収です。 一番伸びていないエステーでも+1.8%。フマキラーは+9.6%です。

ところが利益は、増益が3社、減益が2社、赤字が1社

利益率で見ても、ユニ・チャームの13.3%からエステーのマイナス0.4%まで開いています。

同じ業界で、同じように売れているのに、なぜここまで違うのか。

4. 【本題】利益はどこで消えたのか

売上から利益までの間には、大きく2つの関門があります。

ひとつめが売上原価。原材料費や製造費です。売上から原価を引いたものが粗利(売上総利益)

ふたつめが販管費(はんかんひ。販売費及び一般管理費のことです)。宣伝費、物流費、人件費などがここに入ります。粗利から販管費を引いたものが営業利益になります。

つまり、利益が消えるとしたら「原価」か「販管費」のどちらか、ということです。

6社を分解したら、消えた場所がきれいに分かれました。順番に見ていきます。

5. 小林製薬|粗利は1.85億円しか増えず、販管費が46.72億円増えた

まず、いちばん落ち込んだ小林製薬です。

項目 前年同期 今回 増減
売上高 690.18億円 707.49億円 +17.31億円
売上原価 328.73億円 344.18億円 +15.45億円
売上総利益(粗利) 361.45億円 363.30億円 +1.85億円
販売費及び一般管理費 294.96億円 341.68億円 +46.72億円
営業利益 66.48億円 21.62億円 △44.86億円

見ていただくとわかります。

売上は17.31億円増えました。ところが原価も15.45億円増えたので、粗利は1.85億円しか増えていません。

そこへ、販管費が46.72億円増えた。これで営業利益が44.86億円吹き飛びました。

営業利益率は9.6%から3.1%へ。

では、販管費の46.72億円は何に使われたのか。残念ながら、決算短信には内訳が書かれていません。 ですから「宣伝費が増えた」と断定することはできません。

ただ、会社はこう書いています。

「紅麹関連製品の自主回収に伴い広告を一時停止していましたが、2025年7月の本格的なテレビ広告再開を機に、その後も継続的にマーケティング活動を展開しております。」

紅麹(べにこうじ)は「べにこうじ」と読みます。同社は今も「健康被害にあわれた方々への誠実な補償対応を最優先に進める」と記載しており、今回の決算でも特別損失に製品回収関連損失6.61億円を計上しています(前年同期は29.12億円)。

なお国内事業では、今春発売した9品目の新製品が売上に貢献したとのことです。国内事業の売上は546.17億円で+1.8%、一方でセグメント利益は42.91億円で47.6%減でした。

通期予想は営業利益125億円ですが、半年での進捗は17.3%にとどまっています。

もうひとつ、決算短信には後発事象(こうはつじしょう。決算日のあとに起きた重要なできごとです)の注記があります。2026年8月6日の取締役会で、中国の連結子会社(孫会社)である江蘇小林製薬有限公司の持分をすべて譲渡することを決議したとのことです。2018年6月に中国の一般用医薬品ビジネスの拡大を目的として取得した会社でした。

6. エステー|売上が増えたのに、粗利が減った

エステーはもっとはっきりしています。

項目 前年同期 今回 増減
売上高 109.61億円 111.55億円 +1.94億円
売上原価 67.08億円 70.68億円 +3.60億円
売上総利益(粗利) 42.53億円 40.87億円 △1.66億円
販売費及び一般管理費 38.16億円 41.34億円 +3.18億円
営業利益 4.37億円 △0.47億円 △4.84億円

売上が1.94億円増えたのに、原価が3.60億円増えたせいで、粗利が1.66億円減っています。

つまり、売れば売るほど利益が薄くなる状態になっていた、ということです。そこへ販管費が3.18億円増えて、営業損益は0.47億円の赤字になりました。

会社は経営環境について、こう書いています。

「消費者物価が緩やかに上昇を続ける中、緊迫化する中東情勢に伴う原油・原材料価格の高騰や調達面への影響に加え、金融資本市場の変動など、依然として景気の下振れリスクが高まっており、先行きについては不透明な状況が継続しております。」

カテゴリー別に見ると、明暗が分かれています。

カテゴリー 売上高 構成比 前年同期比
エアケア(消臭芳香剤) 49.47億円 44.3% +2.6%
衣類ケア(防虫剤) 16.02億円 14.4% +1.4%
ハンドケア(手袋) 15.49億円 13.9% +32.0%
ホームケア(フードケア・クリーナー他) 11.23億円 10.1% △16.2%
ペットケア(猫用トイレ用品) 9.32億円 8.4% △4.8%
湿気ケア(除湿剤) 8.73億円 7.8% △6.0%
サーモケア(カイロ) 1.27億円 1.1% △6.0%
合計 111.55億円 100.0% +1.8%

手袋が32.0%伸びた一方、ホームケアが16.2%減っています。

ひとつ書き添えておきます。この赤字を「転落」と呼ぶのは早いかもしれません。 会社は中間期(4〜9月)で営業利益14億円を見込んでおり、第2四半期に利益が集中する計画になっています。第1四半期だけを見て判断するのは避けたほうがよさそうです。

7. アース製薬|虫ケアは伸びたが、入浴剤が減った

アース製薬は営業利益が2.5%減でした。売上は6.2%増えています。

会社の説明はこうです。

「利益面では、売上原価や物流費・広告宣伝費などの販売費及び一般管理費の増加があり、セグメント利益(営業利益)は122億57百万円(前年同期比1.8%減)となりました。」

原価と販管費の両方が増えたということですね。

部門別に見ると、こうなっています。

部門 前年同期 今回 増減率
虫ケア用品 473.97億円 517.21億円 +9.1%
園芸用品 52.69億円 65.14億円 +23.6%
口腔衛生用品 40.25億円 42.60億円 +5.8%
その他日用品 181.06億円 185.09億円 +2.2%
入浴剤 112.72億円 105.48億円 △6.4%
ペット用品・その他 62.33億円 61.19億円 △1.8%

※部門別の売上には内部売上高が含まれており、連結売上高とは一致しません。

虫ケア用品が9.1%、園芸用品が23.6%伸びています。 一方で入浴剤が6.4%減。会社は「モンダミン」シリーズの売上が伸長したとも書いています。

ここでひとつ、面白い数字があります。通期予想の営業利益90億円に対して、半年で132億円。進捗率は146.9%です。

すでに通期予想を46.9%も超えています。殺虫剤は暖かい時期に売上が集中しますから、上期に利益が偏るのは自然です。ただし会社は通期予想を修正していません。 どうなるかは次の決算を待つことになります。

配当は年125円から130円へ増配の予想です。

8. ライオン|プラス54.7%の中身は、子会社の売却益

ライオンは6社でいちばん利益が伸びました。営業利益が133.79億円から207.03億円へ、プラス54.7%です。

ただし、決算短信をよく見ると、もうひとつ利益の欄があります。事業利益です。

項目 前年同期 今回 前年同期比
事業利益 126.39億円 153.34億円 +21.3%
営業利益 133.79億円 207.03億円 +54.7%

同じ会社の同じ期間で、+21.3%と+54.7%。 どこで差がついたのか。

損益計算書を開くと、すぐわかりました。

項目 前年同期 今回 増減
売上総利益 905.39億円 1,017.03億円 +111.64億円
販売費及び一般管理費 △778.99億円 △863.69億円 △84.70億円
その他の収益 10.34億円 79.75億円 +69.41億円
その他の費用 △2.94億円 △26.06億円 △23.12億円
営業利益 133.79億円 207.03億円 +73.24億円

営業利益が73.24億円増えたうち、69.41億円が「その他の収益」の増加です。

では、その他の収益とは何か。会社の本文にこう書かれています。

「構造改革事業に位置付けていた化学品子会社2社の株式譲渡を6月末に完了しました。」

そしてキャッシュ・フロー計算書には、関係会社株式売却益70.16億円が計上されています(前年同期はゼロ)。投資活動のところにも「連結範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入153.41億円」とあります。

つまり、子会社2社を売った利益が入っているということです。

これは悪いことではありません。会社が構造改革として位置づけて進めたものです。ただ、毎年起きることではないという点は押さえておきたいところです。

本業の実力を見るなら、事業利益のプラス21.3%のほうです。 こちらでも十分に良い数字です。売上も8.7%増(為替の影響を除いた実質では4.5%増)で伸びています。

なお同社は2026年1月に、オーストラリアでナチュラルビューティケア製品を製造・販売するPNB Consolidated Pty Ltdを100%子会社にしています。ベトナムでの医薬品新工場の建設も決定したとのことです。

原材料については、こう書かれています。

「当中間期は、中東情勢の緊迫化を背景とした原材料価格の高騰やサプライチェーンの混乱など、経営環境の厳しさが増す中、当社グループにおいても一部の原材料で調達コスト上昇等の影響を受けましたが、製品の安定供給を最優先に様々な追加施策を速やかに実行するなど、影響の最小化に全社一丸となって努めた」

9. フマキラー|原価率を守りきった

フマキラーは売上が9.6%増と6社でいちばん伸び、営業利益も7.0%増えました。

なぜ利益が守れたのか。会社の説明にはっきり書かれています。

「売上原価は、前年同期比13億60百万円増加し155億35百万円、売上原価率は68.1%となり前期並みとなりました。」

原価率を前の年と同じ水準に保てたということです。原材料が上がるなかで、これは簡単なことではありません。

売上総利益は72.80億円で9.5%増。販管費は「人件費・広告宣伝費等の増加により、前年同期比10.0%増」の59.36億円。粗利と販管費がほぼ同じペースで増えたので、営業利益も7.0%増で着地しました。

国内では殺虫剤が49.80億円から56.61億円へ、13.7%増。海外は現地通貨ベースで前期並みでしたが、円安の影響で11.5%増の134.27億円になっています。

ただし、営業利益から下は様子が違います。

項目 前年同期 今回 前年同期比
営業利益 12.55億円 13.43億円 +7.0%
経常利益 12.75億円 12.19億円 △4.4%
親会社株主に帰属する四半期純利益 5.30億円 3.94億円 △25.7%

損益計算書を見ると、営業外費用の為替差損が1.29億円から2.28億円へ増えています。さらに四半期純利益5.73億円→4.45億円のうち、非支配株主(ひしはいもちぶん。子会社のうち親会社以外が持っている分です)に帰属する分が0.43億円から0.51億円に増えたため、親会社の取り分が3.94億円まで減りました。

本業は伸びたが、為替と子会社の持ち分で目減りしたという形です。

10. ユニ・チャーム|利益は伸びたのに、株主の取り分は減った

最後にユニ・チャームです。売上は4,871億円で4.9%増、コア営業利益は650億円で14.1%増。利益率も12.3%から13.3%へ上がりました。6社で最も高い利益率です。

ところが、下まで見ていくと様子が変わります。

項目 前年同期 今回 前年同期比
コア営業利益 570.14億円 650.32億円 +14.1%
税引前中間利益 624.96億円 666.08億円 +6.6%
中間利益 466.97億円 488.29億円 +4.6%
親会社の所有者に帰属する中間利益 418.13億円 410.31億円 △1.9%

下にいくほど伸び率が下がり、最後はマイナスになっています。

中間利益(会社全体の利益)は4.6%増えているのに、そこから子会社の他の株主の分を引いた親会社の取り分だけが1.9%減っている、ということです。

1株当たりの中間利益も、23.84円から23.75円へわずかに減りました。

この原因までは、決算短信には書かれていません。 非支配持分の内訳が開示されていないので、推測は書きません。事実として「会社全体の利益は増えたが、株主の取り分は減った」とだけ書いておきます。

なお財務は非常に厚く、親会社所有者帰属持分比率は65.9%。配当は年18円から22円へ増配の予想です。

11. 配当はどうなっているか

配当も見ておきます。

会社 前期実績 今期予想 予想配当利回り 配当性向
エステー 4951 年44円 年46円 2.99% 53.3%
アース製薬 4985 年125円 年130円 2.64% 45.8%
ユニ・チャーム 8113 年18円 年22円 2.19% 54.1%
フマキラー 4998 年24円 年24円 2.02% 24.3%
小林製薬 4967 年104円 年106円 1.88% 78.8%
ライオン 4912 年30円 年34円 1.80% 37.6%

6社のうち5社が増配の予想です。据え置きはフマキラーだけ。

注目していただきたいのは小林製薬の配当性向78.8%です。営業利益が67.5%減っているなかで、配当は104円から106円へ増やす計画になっています。利益に対する配当の割合が高くなっている、ということです。

一方でフマキラーの配当性向は24.3%と低く、利回りは2.02%。利益に対してまだ余裕がある水準です。

利回りだけを見ると2%前後で横並びに見えますが、その配当が利益のどれくらいを使っているかは、会社ごとにかなり違います。

12. 株価はどう動いたか

株価も見ておきます。

決算発表日が8月5日から8月7日までの3日間に集まっているので、全社が発表する前の8月4日の終値から、直近の8月21日の終値までで比べます。

会社 8/4終値 8/21終値 騰落率
ライオン 4912 1,684.5円 1,894.0円 +12.44%
アース製薬 4985 4,610円 4,920円 +6.72%
エステー 4951 1,490円 1,538円 +3.22%
(参考)日経平均株価 63,957.53円 66,016.36円 +3.22%
小林製薬 4967 5,502円 5,634円 +2.40%
ユニ・チャーム 8113 998.4円 1,003.5円 +0.51%
フマキラー 4998 1,191円 1,188円 △0.25%

日経平均を上回ったのが2社、ちょうど同じが1社、下回ったのが3社でした。

いちばん上がったのはライオンの+12.44%。営業利益が最も伸びた会社です。

一方で、利益率が最も高いユニ・チャームは+0.51%とほとんど動いていません。

ここは正直に書いておきます。「決算が良かったから上がった」とは断定できません。 株価は決算だけで動くものではなく、相場全体、為替、金利、需給、ほかの材料でも動きます。この期間は2週間半ですから、決算以外の要因も入っています。

13. PER・PBR・配当利回り

指標をまとめます。

会社 終値 PER PBR 予想配当利回り
ユニ・チャーム 8113 1,003.5円 24.7倍 2.13倍 2.19%
ライオン 4912 1,894.0円 21.0倍 1.57倍 1.80%
アース製薬 4985 4,920円 17.3倍 1.33倍 2.64%
小林製薬 4967 5,634円 41.9倍 2.01倍 1.88%
エステー 4951 1,538円 17.8倍 0.95倍 2.99%
フマキラー 4998 1,188円 12.0倍 0.71倍 2.02%

PBR(ピービーアール。株価純資産倍率のことで、会社の純資産に対して株価が何倍かを示します)とPERは、会社が公表している数字から自分で計算し、株探の値と突き合わせました。6社すべて一致しています。

PBRが1倍を割っているのは、エステー(0.95倍)とフマキラー(0.71倍)の2社です。ただし「1倍割れだから割安」とは書きません。 純資産に比べて株価が安いという事実と、市場が将来の稼ぐ力を厳しく見ているという解釈は、両立します。

小林製薬のPER41.9倍は6社で突出しています。今期の利益予想が営業利益ベースで16.2%減となっているためです。

14. 次の決算で見たい項目

1つめ、小林製薬の販管費。 半年で46.72億円増えました。通期予想の営業利益125億円に対して進捗は17.3%です。下期にどこまで戻すか。

2つめ、エステーの原価率。 売上が増えたのに粗利が減りました。会社は中間期で営業利益14億円を見込んでいます。

3つめ、アース製薬の下期。 半年で通期予想を146.9%まで達成しています。予想が修正されるかどうか。

4つめ、ライオンの事業利益。 今回の営業利益は子会社売却益を含んでいます。次の決算では本業の伸びがそのまま見えます。

5つめ、フマキラーの為替。 本業は伸びているのに、為替差損で最終利益が25.7%減りました。

6つめ、ユニ・チャームの株主の取り分。 会社全体の利益は増えているのに、親会社の取り分だけが減っています。

まとめ

1. 6社すべてが増収だった。 売上の伸びは+1.8%から+9.6%。モノは売れている。

2. それでも営業利益は+54.7%から△67.5%まで割れた。 増益3社、減益2社、赤字1社。

3. 小林製薬は、粗利が1.85億円しか増えないなかで販管費が46.72億円増えた。 内訳は開示されていない。

4. エステーは、売上が増えたのに原価が上がって粗利そのものが1.66億円減った。

5. ライオンの+54.7%は、子会社2社を売った利益70.16億円を含んでいる。 本業を示す事業利益は+21.3%。

6. フマキラーは売上原価率68.1%を前期並みに守りきった。 ただし為替差損で最終利益は25.7%減。

7. ユニ・チャームは利益率13.3%で6社最高。 それでも株主の取り分である最終利益は1.9%減った。

8. アース製薬は半年で通期予想の146.9%を達成。 殺虫剤は上期に売上が偏る。

「増収」という言葉だけでは、その会社が儲かっているかどうかはわかりません。売れたお金が、原価で消えたのか、宣伝費で消えたのか、それとも本業以外から入ってきたのか。 そこまで見ないと判断できない、というのが今回の決算でした。

次の決算も追いかけます。

主な参照資料

  • ユニ・チャーム「2026年12月期 第2四半期(中間期)決算短信〔IFRS〕(連結)」(2026年8月5日)
  • ライオン「2026年12月期 第2四半期(中間期)決算短信〔IFRS〕(連結)」(2026年8月7日)
  • アース製薬「2026年12月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)」(2026年8月6日)
  • 小林製薬「2026年12月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)」(2026年8月6日)
  • エステー「2027年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」(2026年8月5日)
  • フマキラー「2027年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」(2026年8月7日)
  • 株探(株価・指標、2026年8月21日終値)
  • 日本経済新聞社『日経業界地図 2027年度版』194〜195ページ(業界の全体像・市場規模のみ参照)

※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資の判断はご自身の責任でお願いします。

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コロナショック直前の2020年に投資をスタート。リアルタイムで暴落を経験しながら独学で投資の基礎を習得。 現在の運用総額5,000万円超・年間配当収入120万円超を達成。投資信託・ETF・個別株・米国株など100銘柄超に分散投資し、相場の波に強いポートフォリオを構築中。 高配当株の長期保有と新NISAの積立を組み合わせた"2刀流"スタイルで資産形成を実践。保有銘柄の決算・配当・株価をブログで赤裸々公開しています。YouTubeでも投資情報を発信中!

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