※本記事は2026年8月23日時点で公表されている資料をもとに作成しています。株価、時価総額、PER、PBR、予想配当利回りは2026年8月21日終値基準です。特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身でお願いします。
スーパーやコンビニのお菓子売り場では、値上げや内容量の変更が続いています。それなら菓子メーカーは大幅増益なのかというと、答えは単純ではありません。
時価総額1,000億円以上の菓子・スナック主要4社を最新決算で比べると、売上高は4社とも増えました。しかし営業利益は、明治ホールディングス、カルビー、江崎グリコの3社が増益、森永製菓が減益です。
さらに会社全体が増益でも、菓子事業だけを見ると利益が減った会社があります。反対に会社全体は減益でも、国内の菓子食品事業は増益だった会社もあります。
今回のポイントは次の3つです。
- 値上げの成否は売上高ではなく、原材料・物流・数量を差し引いた営業利益で見る
- 会社全体の増益と、国内菓子事業の増益を同じ意味にしない
- 海外成長には自然増だけでなく、買収会社の連結、為替、取得費用が混ざる
まず結論|4社全社増収、営業利益は3社増益・1社減益
対象は、2026年8月21日終値時点で時価総額が1,000億円以上あり、菓子・スナックを主要事業または主要ブランド群として持つ上場会社です。
- 明治ホールディングス(2269)
- カルビー(2229)
- 江崎グリコ(2206)
- 森永製菓(2201)
まず、最新決算の増減率を並べます。
| 会社 | 対象期間 | 売上高 | 前年比 | 営業利益 | 前年比 |
|---|---|---|---|---|---|
| 明治HD | 2026年4~6月 | 2,894億円 | +5.8% | 226億円 | +27.7% |
| カルビー | 2026年4~6月 | 867.59億円 | +5.5% | 65.85億円 | +24.4% |
| 江崎グリコ | 2026年1~6月 | 1,803.69億円 | +9.7% | 46.54億円 | +42.8% |
| 森永製菓 | 2026年4~6月 | 636.17億円 | +5.6% | 61.23億円 | △13.7% |
4社とも増収です。営業利益の増益率では江崎グリコが42.8%で最大、次いで明治HD、カルビーです。森永製菓だけ13.7%減りました。
ただし、ここで江崎グリコの売上高や利益額を他3社とそのまま比べてはいけません。江崎グリコは6か月累計、他3社は3か月累計です。今回は金額の大小より、前年同期比、営業利益率、事業別の増減要因を中心に見ます。
結論を会社別に短く言うと、次のようになります。
| 会社 | 最新決算の読み方 |
|---|---|
| 明治HD | 食品全体は値上げ効果で増益。ただしカカオ事業は原料高で34.2%減益 |
| カルビー | 数量減とコスト増を、価格・規格改定と工場の生産性改善で吸収 |
| 江崎グリコ | 海外が全社増益を主導。栄養菓子は51.2%減益、通期営業利益予想も下方修正 |
| 森永製菓 | 全社減益だが国内菓子食品は増益。M&A取得費用などが全社利益を圧迫 |
4社の違いを投資家向けに言い換えると、明治HDは「複数事業で原料高を分散する会社」、カルビーは「価格と工場生産性で利益を作る会社」、江崎グリコは「海外利益が国内の弱さを補う会社」、森永製菓は「国内の高い利益率を保ちながら海外M&Aへ踏み出した会社」です。
これは将来の優劣ではなく、今回の決算に表れた利益構造の違いです。次回に同じ構造が続くとは限らないため、各社が示した改善策を実績で確かめます。
なお、商品知名度の高さと投資収益も同じではありません。ブランドの強さが価格改定を支えても、原材料の調達、工場稼働、海外投資、株価評価まで含めると、株主が受け取る結果は会社ごとに変わります。
身近さを入口にしつつ、最後は決算数値と会社の開示へ戻る。この順番を今回の比較の基本にします。
対象4社は時価総額1,000億円以上
比較対象は、共通日で時価総額1,000億円以上というルールを適用しています。
| 会社 | 終値 | 時価総額 |
|---|---|---|
| 明治HD | 4,351円 | 1兆2,278.52億円 |
| カルビー | 3,070円 | 4,111.64億円 |
| 江崎グリコ | 5,185円 | 3,550.10億円 |
| 森永製菓 | 2,584.5円 | 2,225.56億円 |
基準を下回る会社は、事業内容の良し悪しではなく、共通ルールにより対象外としています。非上場会社も株価、PER、配当を比較できないため入りません。
また、4社を「菓子専業」とは呼びません。明治HDには医薬品、江崎グリコには乳業や健康・食品、森永製菓には冷菓やin事業があります。会社全体の利益が、チョコやスナックだけで決まるわけではないからです。
菓子市場は金額増、数量減
今回の業界全体の論点は、「値上げで売上金額は増えたが、数量は減った」です。
全日本菓子協会の2025年推計では、菓子の小売金額は前年比5.7%増の4兆996億円となり、初めて4兆円を超えました。生産金額も5.4%増の2兆9,403億円です。
一方、生産数量は0.8%減の196万8,100トンでした。金額は過去最高でも、数量は減っています。
この組み合わせは、売上高だけを見て「需要が強い」と判断できないことを示します。値上げや高単価商品の構成比上昇で金額が増えれば、数量が減っても売上高は増えるからです。
投資家が見る順番は、売上高、数量・商品構成、売上総利益、営業利益です。値上げで増えた金額が、カカオ、乳原料、油脂、包装資材、物流費、人件費、広告費を上回って初めて、営業増益につながります。
この市場統計は菓子業界全体の推計であり、今回の4社売上高を合計した数字ではありません。アイスクリームや乳製品、医薬品など、各社の連結売上に含まれる範囲とも一致しません。業界の方向を確認する資料として使い、個社の業績は各社決算資料を優先します。
また、2025年の菓子類輸出額は前年比6.0%増の505億円で過去最高でした。海外需要は成長余地ですが、輸出統計と各社の海外売上高は別物です。各社海外売上には現地生産、現地販売、買収会社、為替換算が含まれるため、505億円と直接比較しません。
営業利益率は森永製菓が首位、ただし減益
営業利益を売上高で割り、現在の本業の利益率を比べます。
| 会社 | 営業利益率 | 前年同期 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 森永製菓 | 9.62% | 11.78% | △2.16pt |
| 明治HD | 7.81% | 6.47% | +1.34pt |
| カルビー | 7.59% | 6.44% | +1.15pt |
| 江崎グリコ | 2.58% | 1.98% | +0.60pt |
意外なのは、営業減益だった森永製菓が9.62%で4社首位なことです。ただし前年同期の11.78%からは2.16ポイント低下しました。
反対に、営業増益率が最も大きい江崎グリコは、利益率では2.58%にとどまります。前年から改善していても、現在の利益率が高いとは限りません。
明治HDとカルビーは、利益率がともに7%台後半へ改善しました。ここでも「現在どれだけ稼げるか」と「前年からどれだけ良くなったか」を分ける必要があります。
売上総利益率と販売管理費率も利益率を動かします。原材料高を価格へ転嫁できれば売上総利益率を守れますが、広告や販促、新商品、買収統合に費用を使えば、営業利益率は下がることがあります。短期の利益率低下が必ず悪いのではなく、その費用が将来の売上と利益へつながるかを次回以降に検証します。
明治HD|食品全体は増益、カカオは34%減益
明治HDは、売上高2,894億円、営業利益226億円でした。売上高は5.8%増、営業利益は27.7%増です。
食品セグメントも売上高2,339億円で4.1%増、営業利益151億円で10.9%増えました。
食品の営業利益増減を会社資料で分解すると、価格改定効果が75億円のプラス、数量や商品構成は6億円のマイナス、原材料コスト増は53億円のマイナスです。価格改定が原材料増を上回りました。子会社損益などの改善もあり、食品全体では増益を確保しています。
しかし、カカオ事業だけを見ると景色が変わります。
カカオ事業は売上高436億円で12.7%増えましたが、営業利益は20億円で34.2%減りました。国内チョコレート売上高は275億円で8.9%増えているため、販売金額は伸びています。それでもカカオ原料高を吸収しきれませんでした。
第1四半期の食品コスト増では、カカオが24億円で最大です。国内生乳13億円、海外乳原料11億円が続きます。会社はカカオ原料高の影響が第1四半期で最大になり、下期からコスト面のメリットへ転じる見通しを示しています。
ただし、これは会社の見通しであり確定利益ではありません。次の決算では、カカオ事業の営業利益が底打ちするか、追加の円安や原料高が計画を崩さないかを確認します。
もう1つの注意は医薬品です。医薬品は売上高556億円で13.6%増、営業利益84億円で76.3%増でした。全社27.7%増益には医薬品の大幅増益も含まれます。明治HDの全社増益を、チョコレートだけの値上げ成果と説明するのは不正確です。
会社は通期売上高1兆2,120億円、営業利益1,000億円の計画を据え置きました。食品では価格改定と容量変更による通期効果153億円に対し、原材料・エネルギーのコスト増140億円を見込んでいます。さらに円安や中東情勢、海外乳原料による追加コスト80億円から90億円のワーストシナリオも示しました。計画達成には、単なる値上げだけでなく、配合変更、コスト削減、高収益商品の数量増も必要です。
カルビー|数量減を価格改定と生産性で吸収
カルビーは売上高867.59億円、営業利益65.85億円でした。売上高は5.5%増、営業利益は24.4%増、営業利益率は7.6%です。
国内売上高は629.83億円で2.0%増えました。国内スナック菓子は584.51億円で1.8%増です。
商品別では、ポテトチップスが259.66億円で2.4%増、その他スナックが200.76億円で3.1%増。一方、じゃがりこは124.08億円で1.3%減りました。前年秋のばれいしょ収量減の影響が続いたためです。
国内シリアル食品は78.29億円で3.9%減でした。会社は市場が縮小に転じたことなどを理由に挙げています。
利益面では、コスト高と販売数量減がありましたが、価格・規格改定の効果と、せとうち広島工場の稼働増による生産性改善が上回りました。値上げだけでなく、工場の効率改善が同時に効いた点が重要です。
海外売上高は237.76億円で16.2%増えました。ただし、この数字には前年8月に連結子会社化したHodoの寄与と為替影響が含まれます。既存の海外事業が同じ率で自然成長したわけではありません。
地域では欧米が減益、アジア・オセアニアの増益がそれを上回りました。会社は中東情勢の影響が第1四半期では限定的だったとしていますが、今後の物流や原材料コストは継続確認が必要です。
通期営業利益予想は262億円で据え置きです。第1四半期の単純進捗率は25.1%。順調に見えますが、1四半期の25%だけで上方修正を予想することはできません。
国内スナックの中でも商品ごとの差があります。定番ポテトチップスと堅あげポテトは増収、じゃがりこは原料事情で減収、小麦・コーン・豆系スナックは拡販で増収です。会社全体の数量を一言で増減と決めず、原料制約、商品構成、工場稼働を合わせて見る必要があります。
また海外は円換算で16.2%増でも、現地通貨ベースでは5.6%増です。北米既存事業は現地通貨で減収でした。円安時には円換算売上が大きく見えるため、現地通貨と連結範囲を確認します。
江崎グリコ|海外増益と国内菓子減益が同時に発生
江崎グリコの2026年1月から6月までの売上高は1,803.69億円、営業利益は46.54億円です。売上高は9.7%増、営業利益は42.8%増えました。
全社だけを見ると4社で最も高い営業増益率です。しかし、増益の中心は海外です。
海外事業は売上高540.63億円で32.3%増、営業利益75.77億円で66.1%増でした。海外の営業利益が全社営業利益を上回るのは、国内の一部事業が赤字で、全社調整もあるためです。
栄養菓子事業は売上高299.24億円で0.2%増にとどまり、営業利益は9.68億円で51.2%減りました。プリッツやカプリコは伸びましたが、神戸ローストショコラなどが前年を下回り、売上原価率上昇も負担になりました。
乳業事業も売上高は4.9%増えましたが、営業損失は41.68億円へ悪化しています。全社の増収増益と、国内事業の利益改善は同じ方向ではありません。
さらに重要なのが通期予想です。会社は売上高予想を3,800億円から3,900億円へ100億円引き上げました。一方、営業利益予想は140億円から120億円へ20億円引き下げています。最終利益予想も100億円から90億円へ下げました。
会社が示した理由は、上期の海外事業が伸びた一方、国内事業の利益改善と新商品の開発・発売が遅れていることです。
つまり「上期は42.8%営業増益だから通期も上振れる」とは読めません。売上予想は上がり、利益予想は下がったという組み合わせこそ、値上げ後の利益変換を考えるうえで重要です。
事業別では健康・食品が14.42億円の営業損失、乳業が41.68億円の営業損失です。栄養菓子、食品原料、国内その他は黒字ですが、海外利益75.77億円が国内の赤字や低利益を補っています。海外が強いことは事実でも、国内の利益改善が遅れたままでは、全社利益が海外景気や為替へ依存しやすくなります。
会社は自己株式も取得していますが、株主還元だけで国内事業の課題が解消するわけではありません。利益下方修正後の1株利益予想143.52円に対し、年間配当95円の予想配当性向は約66.2%です。今後の配当余力を見るうえでも、国内利益回復が重要です。
森永製菓|全社減益でも、国内菓子食品は増益
森永製菓は売上高636.17億円で5.6%増、営業利益61.23億円で13.7%減でした。
営業減益だけを見ると、値上げで原材料高を吸収できなかったように見えます。しかし会社は、原材料費や物流費などの増加を、価格改定などで概ね吸収したと説明しています。
減益の大きな要因は、2026年4月に買収したMyMo Holdcoに関する取得費用などです。取得関連費用は8.92億円、のれん償却額は第1四半期で3.59億円でした。
MyMoは米国のモチアイス事業です。新規連結により米国事業が伸び、全社増収へ貢献しました。米国事業は売上高91億円で65.1%増、営業利益6億円で16.9%増です。ただし、買収した会社の売上・利益とのれん償却を含みます。
国内売上高は516.10億円で1.0%減りました。海外売上高は120.07億円で47.8%増え、海外比率は13.5%から18.9%へ上昇しています。
さらに国内の菓子食品事業は、売上高210億円で0.6%減った一方、営業利益は22億円で3.6%増えました。つまり、会社全体は営業減益でも、国内菓子食品の利益は増えています。
この決算を「値上げ失敗」と片づけると、国内事業の価格効果と、海外M&Aの初期費用を混同します。次の焦点は、取得関連費用が一巡した後にMyMoが利益へどこまで寄与するか、国内のin事業やチョコレート商品の弱さが改善するかです。
営業利益の増減分析では、価格改定効果が14.9億円のプラスでした。これに対し、原材料関係が9.5億円、物流費が2.7億円、減価償却費が1.3億円のマイナスです。価格効果だけを見れば、原材料と物流費の合計を上回っています。
一方、国内売上は1.0%減で、in事業は売上3.1%減、営業利益11.0%減でした。M&A費用を除けばすべて好調というわけでもありません。国内の菓子食品増益、in事業の減益、米国の成長、取得費用を別々に残すのが正確です。
通期予想|グリコだけ売上上方・利益下方
| 会社 | 通期売上高予想 | 通期営業利益予想 | 最新累計の単純進捗率 | 予想修正 |
|---|---|---|---|---|
| 明治HD | 1兆2,120億円 | 1,000億円 | 22.6% | 据え置き |
| カルビー | 3,700億円 | 262億円 | 25.1% | 据え置き |
| 江崎グリコ | 3,900億円 | 120億円 | 38.8% | 売上上方、利益下方 |
| 森永製菓 | 2,570億円 | 228億円 | 26.9% | 据え置き |
江崎グリコだけ期間が6か月なので、38.8%を他社の約25%と直接比べません。むしろ会社が通期営業利益予想を下げたことを優先します。
明治HDは第1四半期の進捗が22.6%でも、上期計画に対する営業利益進捗率は50.4%です。カカオ高の影響が第1四半期で最大という前提が実現するかが重要です。
森永製菓は第1四半期営業減益でも通期では1.8%増益を見込んでいます。M&A費用の一巡と米国事業の利益成長が計画の前提です。
配当・PER・PBRを比較
2026年8月21日終値基準です。
| 会社 | 年間配当予想 | 予想利回り | 予想配当性向 | 予想PER | 実績PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 森永製菓 | 70円 | 2.71% | 35.7% | 13.15倍 | 1.50倍 |
| 明治HD | 110円 | 2.53% | 47.7% | 18.87倍 | 1.53倍 |
| カルビー | 69円 | 2.25% | 48.2% | 21.46倍 | 1.80倍 |
| 江崎グリコ | 95円 | 1.83% | 66.2% | 36.13倍 | 1.18倍 |
予想配当利回りは森永製菓が2.71%で最大ですが、4社を一括して「高配当株」と呼べる水準ではありません。
予想配当性向は、各社が開示した年間配当予想を会社予想1株利益で割って計算しています。市場情報サイトの1株利益表示は株式数の更新時期で数十銭の差が出るため、配当性向には一次資料の数値を使いました。PERは8月21日時点の市場表示を使っています。同じ表でも、計算目的に応じて出典を分けています。
江崎グリコは予想PER36.13倍、配当性向66.2%です。会社予想利益を下方修正した後の数値であり、今後は国内利益回復が評価の前提になります。
森永製菓はPERが13.15倍で4社最低ですが、M&Aによる財務・利益構造の変化を確認する必要があります。低PERだけで割安、高PERだけで割高と決めません。
共通期間の株価|明治HDだけ市場を上回る
4社で最も早いカルビーの決算発表前日、2026年7月29日から8月21日までの株価騰落を比べます。
| 対象 | 騰落率 |
|---|---|
| 明治HD | +9.51% |
| カルビー | △3.91% |
| 江崎グリコ | △2.15% |
| 森永製菓 | △7.70% |
| 日経平均 | +7.46% |
| TOPIX | +2.05% |
この期間は明治HDだけが日経平均とTOPIXの両方を上回りました。ただし、決算だけでなく、相場全体、需給、他のニュースも含む期間騰落です。「好決算だからこの率だけ上がった」と因果を断定しません。
カルビー、江崎グリコ、森永製菓は下落しましたが、決算内容の悪さだけで説明するのも危険です。特に江崎グリコは決算直後に安値をつけた後、8月21日までに戻しています。1日の反応と3週間の騰落は分けます。
比較の起点を7月29日にしたのは、4社で最も早いカルビーの決算発表が7月30日だからです。全社に同じ期間を使うことで、会社ごとに都合のよい起点を選ぶことを避けています。一方、この方法は純粋な決算翌日反応を測るものではありません。そのため記事では「決算後の株価反応」ではなく「共通期間の株価騰落」と表現しています。
次の決算で確認する5項目
1. 値上げ後も数量が維持できたか
売上高が増えても、数量減が続けば次の値上げ余地は狭くなる可能性があります。会社ごとに開示粒度が違うため、非開示数量を推計で埋めず、商品別売上や会社コメントを確認します。
2. カカオ高のピークアウト
明治HDはカカオコストの影響が第1四半期で最大と見ています。カカオ事業の利益が改善するかが、見通しの検証になります。江崎グリコの栄養菓子も原価率上昇が続くかを見ます。
3. 国内と海外の利益差
江崎グリコは海外が全社利益を支え、森永製菓は買収で海外比率が上がりました。海外売上の伸びだけでなく、現地通貨ベース、利益率、為替、買収効果を分けます。
4. M&A費用の一巡
森永製菓は取得関連費用とのれん償却が発生しました。初期費用が減った後もMyMoの売上と利益が伸びるか、買収価格に見合う収益を作れるかが重要です。
5. 通期予想の再修正
江崎グリコは売上を上げ、利益を下げました。他3社は予想を据え置いています。次回は、原材料、物流、販売数量、国内利益改善が会社前提どおりかを確認します。
まとめ|値上げ力は売上より利益への変換で見る
菓子大手4社は最新決算で全社増収でした。しかし、営業利益は3社増益、1社減益です。
さらに詳しく見ると、明治HDは食品全体が増益でもカカオ事業は減益、江崎グリコは全社増益でも栄養菓子が大幅減益、森永製菓は全社減益でも国内菓子食品は増益でした。
カルビーは価格・規格改定と工場生産性の改善により、数量減とコスト増を吸収しました。会社によって「増収を利益へ変えた方法」が違います。
菓子株を見るときは、売上高だけで結論を出さず、次の順番で確認するのが安全です。
- 価格改定と容量変更
- 販売数量と商品構成
- 原材料・物流・広告費
- 国内菓子と海外・医薬品
- M&Aの連結効果、取得費用、のれん
- 通期予想と配当の持続性
この順番で見ると、「増収だから好決算」「減益だから失敗」という二択を避けられます。同じ決算でも、短期のコスト負担と中長期の成長投資を分け、会社の説明が次の四半期で実現したかを追えるようになります。
値上げで市場金額が増えても、数量と利益が同じ方向へ動くとは限りません。次の決算では、価格改定の効果が一時的な売上増ではなく、持続的な営業利益へつながっているかを見ていきます。
参考資料
- 明治ホールディングス「2026年度 第1四半期決算説明資料」
- カルビー「2027年3月期 第1四半期決算短信」
- 江崎グリコ「2026年12月期 第2四半期(中間期)決算短信」「通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」
- 森永製菓「2027年3月期 第1四半期決算短信」
- 全日本菓子協会「菓子関係データ」
- Yahoo!ファイナンス各社株価・時系列
- 日経平均プロフィル、Yahoo!ファイナンスTOPIX時系列