こんな方におすすめ
- 鉄鋼業業界について知りたい人
- 日本製鉄について知りたい人
2020年12月上旬に、日本製鉄株式会社より中間報告書をいただきました。
株主なのに実際にどんなことをやっているのか、なんとなくしかわかっていなかったので、今回は、日本製鉄を分析したので、解説していきます。
大きな需要で言うと、建設、自動車、産業機械、造船などがあります。
動画でご覧になりたい方は、下記をご覧ください(^^)
Contents
日本製鉄の企業分析
企業概要
企業概要
- 2012年に『新日本製鉄』と『住友金属工業』が経営統合
- 2017年に日新製鋼を買収、子会社化し2020年に吸収合併
- 世界第3位の鉄鋼メーカー(日本では1位)
- 製鉄、エンジニアリング、ケミカル&マテリアル、システムソリューションの4つの事業を展開
- 傘下企業は、上場企業17社をもつ
- 主要取引は、日鉄物流、住友商事など
細かく言えばもっとあるのですが、日本製鉄の過去の歴史を知ることも重要ですが、現在と未来に向けてのほうがもっと大切だと思うので、細かい過去までは解説しません(>_<)
下記は、2019年の生産量の順位です。
上位を見ても中国が多いですね。
日本製鉄の業績推移
四半期の業績推移
売上高と営業利益のグラフです。
点線よりも下はマイナスを表しています。
なので、4四半期連続で営業利益はマイナスです。
第2四半期の業績
- 売上高 約1兆1103億円 前年比-27.2%
- 営業益 -1213億円 赤字転落
- 経常益 約-1271億円 赤字転落
- 最終益 約-1490億円 赤字転落
- 利益率 -10.9%
前期の2Qは黒字でしたが、当期の2Qは赤字転落になってしまいました。
通期の業績を見てみましょう。
通期の業績推移
2020年3月期に約4315億円の赤字をだし、今期も最終赤字予測となっています。
通期の業績予測
- 売上高 約4兆8000億円 前年比-18.9%
- 営業益 非開示
- 経常益 非開示
- 最終益 約-1700億円 赤字縮小
半期において、販売管理費は、前年同期比で約533億円少なくなったものの、赤字予測となっています。
配当は残念ながら中間配当は見送りとなりました。
セグメント業績
セグメント売上構成
- 製鉄事業 約86%
- エンジニアリング事業 約6%
- システムソリューション事業 約4%
- ケミカル&マテリアル事業 約3%
事業は4つありますが、製鉄業が全体売上の86%になっているため、製鉄事業が不振になると、日本製鉄は業績が落ちます。
昨年においては、製鉄事業以外が利益を出しても割合の大きい製鉄事業が大赤字だったため、日本製鉄としては赤字でした。
製鉄事業以外を触れておくと、
- エンジニアリング事業 ⇒ 製鉄、環境、エネルギー関連の施設を建設
- システムソリューション事業 ⇒ 製造業、金融、流通、公共等にITを活用したシステムを提供
- ケミカル&マテリアル事業 ⇒ 総合素材の対応強化
物流施設を建設したり、ITでの事業効率化などを図っています。
ケミカル&マテリアル事業については、NECのモバイルパソコンである、『LAVIE Pro Mobile』の底面部に製品が採用されました。
ノートPCの薄型・軽量化に貢献し、本体の温度上昇を防ぐ放熱特性が評価されました。
日本製鉄の現在の状況
世界の鋼材需要は、2020年は2019年と比べて-2.5%を予測していて、日本においては、-19.6%を想定しています。
各地域が需要減少想定の中、中国が8%の増加を想定しています。
そして、2021年の世界の鋼材需要は上がっていくということです。
グラフをみてわかる通り、ほぼ世界の鋼材需要の半分は中国が占めていることになります。
ポイント
- 中国の自動車需要が堅調
自動車メーカーと同じように、自動車販売台数に注目しているのが鉄鋼業界です。
上記のグラフの一番濃いブルーが2020年の各国の自動車生産台数です。
各国のコロナの流行時期には自動車生産台数は落ちています。
年初の販売台数を取り戻したところもあれば、中国は1月の生産台数をアウトパフォームしています。
中国では鉄鋼需要が多くなるのも当然ですね。
ポイント
- 再稼働3基(室蘭、君津、鹿島)
- 休止3基(和歌山、呉×2)
それでは、日本製鉄の生産能力はどうなのか見てみましょう。
改修工事を終えた、北海道の室蘭製鉄所は、11月22日に再稼働が本格化しました。
また、11月24日には、千葉県の君津製鉄所も再稼働されました。
説明会資料にはありませんが、12月4日に茨城県の鹿島製鉄所も2021年1月をめどに再稼働のニュースが出ています。
自動車向けを中心に需要が戻ってきているという証拠でしょう。
ちなみに、広島県の呉市にある、呉製鉄所は、既に全ての高炉の休止が決定されています。
呉については、度重なる災害も背景に赤字が続いており、合理化のスピードを早めるための休止のようです。
旧住友金属工業の主力製鉄所だった和歌山製鉄所では、2基のうち2009年に稼働した比較的新しい高炉1基も休止することが決定されています。
今後の取り組みについても詳しく説明してありましたが、私の理解力が足りなく完全に理解できませんでした。
詳しく知りたい人は、日本製鉄のIRをご覧ください(>_<)
日本製鉄の株価と配当
2020年4月には、1株798.1円の価格をつけました。
そこからすると、500円は上昇し、1株あたり1300円前後となっています。
競合との比較
競合と、株価について、年初来を0%として、比較してみます。
赤は、『日本製鉄』
青は、『JFE』
緑は、『神戸製鋼』
黒は、『日立金属』です。
日立金属が8月に他社を引き離して上昇していますが、大きな要因としては、日立製作所が保有株の売却を検討というニュースが出て、再編プレミアムを期待する動きが先行したようです。
その後の10月の下落は、日立製作所が今度は、日立建機の約51%保有している株の半数を売却を検討というニュースで日立建機が下落し、日立金属も同様の検討をされていることから、下落しました。
11月に入ってからは、鉄鋼需要の高まりから各社株価は上昇しています。
日本製鉄の配当金、利回り
ポイント
- 21年中間『無配』
- 21年期末『未定』
前述したように、通期で赤字のため無配でもしょうがないです。
一応、期末配当は未定となっています。
景気敏感株なので、18年のように1株あたり70円だすこともあれば、翌年の19年には一転して無配となったり『安定』した配当は見込めないのがわかります。
景気が悪くなると、しっかり減配しています。
そのかわり、景気がよくなると、がっつり配当をくれますけどね(>_<)
日本製鉄の財務
財務
- 自己資本比率 33.8%
- 自己資本 約2兆4296億円
- 剰余金 約1兆7080億円
- 有利子負債倍率 なし
借金はありませんが、着実に会社のライフゲージ(資本)が削られてきています。
ちなみに、当期予測の最終益-1700億円が自己資本に与える影響は、約7%です。
今後の、建設、自動車需要の拡大に期待しましょう!
日本製鉄のまとめ
日本製鉄【まとめ】
- 世界第3位の鉄鋼メーカー(日本では1位)
- 4四半期連続の最終赤字と厳しい状況
- 鉄鋼需要は回復しているので、今後に期待!
- 製鉄事業以外の3つの事業にも期待!
鉄鋼業業界の世界第3位の日本製鉄を解説しました。
今までの結果は厳しい物でしたが、鉄鋼需要は少しずつ回復してきています。
中国の鉄鋼需要が世界の半数を占めるという予測があり、中国の鉄鋼メーカーが数多く世界売上ランキングに顔を出しています。
中国の安い鉄に対して『価値』で勝てるか、または、製鉄事業以外の3つの事業でカバーしていけるか今後の日本製鉄に注目ですね(^^)
今後も別の個別株も解説していきますので、ひとつの参考にしてみてください(^^)