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セブン&アイ・ファーストリテイリング・ABCマート・吉野家の最新決算|物価高で客が増えたのは吉野家だけ。セブンは国内減益、配当1.7倍のユニクロは翌日4%安

※この記事は各社の決算資料・月次資料などの公開資料をもとにした情報の整理です。特定の銘柄の売買をすすめるものではありません。

※株価・指数は2026年10月9日終値(株探)。決算は、セブン&アイ・ABCマート・吉野家HDが2027年2月期 中間期(2026年3〜8月)、ファーストリテイリングが2026年8月期 通期(2025年9月〜2026年8月)です。

2026年10月7日から8日にかけて、毎日のように使うお店の会社が、そろって決算を発表しました。

セブン-イレブンのセブン&アイ・ホールディングス、ユニクロのファーストリテイリング、靴のABCマート、牛丼の吉野家ホールディングスです。

物価が上がり続ける中で、お客さんはお店から離れたのでしょうか。今回は4社の決算と月次資料から、客数(来たお客さんの数)と客単価(1人が使った金額)を同じ物差しで並べました。

すると、同じ物価高でも、効き方は4社でまったく違っていました。

1. まず結論

  1. 3〜8月に客が増えたのは吉野家だけ。客数+1.3%、客単価+5.1%。セブン-イレブン(客数△1.7%)、ABCマート(△1.5%)、ユニクロ(△0.6%)は、客は減ったが1人の支払いが増えて売上を保った
  2. セブン&アイは国内コンビニが減益、海外が大幅増益。国内コンビニの営業利益は△9.8%、海外は+87.7%。セブン-イレブン・ジャパンの減益の一番の理由は、システム費用など費用の増加だった
  3. 6月は天気で客が消えた。ユニクロの客数△15.0%、ABCマート△12.6%。一方、吉野家は△1.7%で、服・靴ほどは落ちていない
  4. 決算翌日の株価は逆に動いた。予想を引き上げた吉野家は+5.42%、ABCマートは+3.63%。配当を1.7倍にしたファーストリテイリングは△4.04%

2. 取り上げる4社

会社(コード) 今回の決算 発表日 時価総額(10/9)
ファーストリテイリング(9983) 2026年8月期 通期(1年分) 10月8日 22兆8,419億円
セブン&アイ・ホールディングス(3382) 2027年2月期 中間期(3〜8月) 10月8日 4兆6,208億円
ABCマート(2670) 2027年2月期 中間期(3〜8月) 10月7日 7,063億円
吉野家ホールディングス(9861) 2027年2月期 中間期(3〜8月) 10月8日 2,573億円

ファーストリテイリングだけは、9月から翌年8月までの1年分の決算です。客数の比較では、同社の月次資料から3〜8月(下期)の数字を取り出して、他の3社とそろえました。

なお、セブン-イレブンの比較相手になりそうなローソンとファミリーマートは、今は上場していません。そこで今回は、業種をまたいで「物価高と客数」でそろえています。

3. 決算の一覧

会社 売上 営業利益(本業のもうけ) 最終的なもうけ
ファーストリテイリング(1年) 3兆9,634億円(+16.6%) 7,431億円(+31.7%) 5,425億円(+25.3%)
セブン&アイ(3〜8月) 5兆4,603億円(△2.8%) 2,323億円(+11.5%) 1,244億円(+2.2%)
ABCマート(3〜8月) 2,023億円(+6.4%) 361億円(+7.4%) 259億円(+6.6%)
吉野家HD(3〜8月) 1,215億円(+10.0%) 57.8億円(+30.3%) 38.1億円(+44.1%)

※最終的なもうけ=親会社株主(親会社の所有者)に帰属する当期・中間純利益。

4社とも営業利益は増えています。ファーストリテイリングは過去最高の業績でした。

4. 【山場1】客が増えたのは吉野家だけ

既存店(1年以上前からある店)の3〜8月の数字です。

会社 既存店の売上 客数 客単価 出所
吉野家(牛丼の吉野家) +6.5% +1.3% +5.1% 会社の月次推移
ユニクロ(国内) +3.5% △0.6% +4.1% 会社の売上推移速報(Eコマースを含む)
ABCマート(国内) +4.5% △1.5% +6.1% 会社の月次概況
セブン-イレブン・ジャパン +1.1% △1.7% +2.8% 決算補足資料

※ユニクロの1年分(9〜8月)は、売上+5.1%・客数+0.2%・客単価+4.8%。

客が増えたのは吉野家だけでした。ほかの3社は、客は減ったものの、1人が使う金額が増えて、売上はプラスを保っています。

吉野家:値上がりしても客を呼び戻した

吉野家は、客単価を+5.1%上げながら、客数も+1.3%増やしました。決算短信では、「牛鉄板焼肉定食」など吉野家ならではの商品や、「トッピング祭」「牛丼弁当2丁800円キャンペーン」などの販売促進を進め、「客数および客単価の向上につながりました」と説明しています。

ただ、月ごとに見ると春と夏で違います。客数は3月+5.0%、4月+3.5%、5月+3.4%と大きく増えた一方、6月△1.7%、7月△0.4%、8月△1.3%と、夏は前年を下回りました。9月は+4.3%に戻っています。

セブン-イレブン:客の減り方が大きくなった

セブン-イレブン・ジャパンの客数は、3〜5月が△0.9%、6〜8月が△2.5%でした。減り方が大きくなっています。既存店の売上も、3〜5月の+2.0%から、6〜8月は+0.3%に鈍りました。会社は「夏の天候影響を受けつつ、施策効果により前年を上回る」と説明しています。

ABCマート:訪日客で1人の支払いが増えた

ABCマートは、客数が△1.5%でも、客単価が+6.1%と4社でいちばん伸びました。決算短信では「円安の進行によりインバウンド売上が好調だった」と説明しています。

ただし会社は、11月から国内の免税制度が「リファンド方式」に変わることの影響も考えられるとして、下期の予想は期初の計画どおりにしています。

5. 客単価の上がり方を、物価と比べる

1人が使う金額が増えたのは、値上がりのせいなのか、それとも多く買ったからなのか。総務省の消費者物価指数(2026年8月)と並べてみます。

物価(前年同月比) 8月
総合 +1.9%
生鮮食品を除く食料 +2.7%
外食 +2.1%
被服及び履物 +1.5%

※3〜8月の総合は+1.4〜1.9%で推移。

会社 客単価(3〜8月) 近い物価 読み方(目安)
セブン-イレブン +2.8% 生鮮食品を除く食料+2.7% ほぼ物価の上がり分
ユニクロ +4.1% 被服及び履物+1.5% 物価の約2.7倍
ABCマート +6.1% 被服及び履物+1.5% 物価の約4倍
吉野家 +5.1% 外食+2.1% 物価の約2.4倍

※会社の客単価と物価指数は、対象の商品も期間も違うので、あくまで目安です。

セブン-イレブンは、1人の支払いの増え方が、ほぼ食料の物価の上がり分と同じでした。買う量は増えていない計算です。一方、ABCマート・ユニクロ・吉野家は、物価の上がり方を大きく上回っています。新商品や高い商品、訪日客の買い物など、物価以外の理由でも単価が上がっていると読めます。

6. 6月は天気で客が消えた

会社 6月の客数
ユニクロ(国内) △15.0%
ABCマート(国内) △12.6%
吉野家 △1.7%

ABCマートは月次概況で、6月は「前年よりも日曜日が1日少ない曜日並び」だったうえ、「台風襲来や全国的に気温が上がらない梅雨らしい気候だったことで客数が伸び悩み」と説明しています。ユニクロも8月に客数△9.1%となり、会社は「低い気温や天候不順の影響により、夏物商品の需要が盛り上がらず」としています。

同じ6月でも、服と靴の店は客が1割以上減り、牛丼は△1.7%。天気の影響は、売る物で大きく違いました。

最新の9月は、どこも戻りつつあります。ユニクロは既存店売上+10.8%(客数△0.5%・客単価+11.3%)、吉野家は売上+10.1%・客数+4.3%、ABCマートも客数が前年を1割以上上回りました。気温が下がって、秋物が動いた月です。

7. 【山場2】セブン&アイ:国内は減益、海外が大幅増益

事業 前年3〜8月 今年3〜8月 前年比
国内コンビニ 1,218億円 1,099億円 △9.8%
海外コンビニ 801億円 1,504億円 +87.7%
その他 414億円 27億円 —

会社は説明資料で「国内CVSの減益を海外CVSが大きくカバーし、連結では大幅増益」と書いています。前の年は国内が海外の約1.5倍稼いでいましたが、今年は海外が国内を405億円上回り、稼ぎの順番が入れ替わりました。

国内の減益の正体は「費用」

セブン-イレブン・ジャパンの営業利益は、1,214億円から1,102億円へ、112億円減りました(会社の説明資料)。その内訳です。

要因 金額
収入など(売上の増加) +59億円
荒利率(もうけの率) △1.3億円
販売費・一般管理費(費用) △170億円

費用の主な増加は、システム費用△87億円(次世代システムの運用費など)と、広告宣伝費△18億円です。会社は「増加影響は、4Qで一巡」「上期の販管費は計画線」と説明しています。

客は減っていますが、もうけが減った一番の理由は、売上ではなく費用でした。なお、1店1日あたりの売上(平均日販)は全店で71万円(+7千円)でしたが、新しく開いた店は58万3千円で、前年より8万円低くなっています。

売上が△2.8%なのは、スーパーなどの事業が外れたから

セブン&アイの売上が減ったのは、本業の不振ではありません。「その他の事業」の売上が9,455億円から324億円に減ったためです。

  • 2025年9月1日:イトーヨーカ堂・ヨークベニマル・ロフト・赤ちゃん本舗などの食品スーパー・専門店の事業を、ベインキャピタルが設立した会社に承継(セブン&アイは35.07%を出資)
  • 2025年6月24日:セブン銀行が連結子会社から外れ、持分法適用会社に

去年の3〜8月にはこれらの事業が入っていて、今年は入っていない。そのぶん売上が小さく見えています。

7.5. 海外を見ると、稼ぎ頭はもう国内ではない

国内の客数で苦戦していても、海外が大きく伸びている会社があります。

会社 国内 海外
ファーストリテイリング(1年) 国内ユニクロ:売上1兆848億円(+5.7%)、事業利益1,960億円(+8.1%) 海外ユニクロ:売上2兆4,111億円(+26.2%)、事業利益4,398億円(+44.1%)
セブン&アイ(3〜8月) 国内コンビニ:営業利益1,099億円(△9.8%) 海外コンビニ:営業利益1,504億円(+87.7%)
ABCマート(3〜8月) 単体:営業利益316億円(+4.7%) 海外:売上587億円(+10.8%)、利益43億円(+31.5%)

ファーストリテイリングは、海外ユニクロの事業利益が国内の2倍以上になりました。会社は「すべての地域で2桁の増収増益」と説明しています。セブン&アイも、利益の大きさで海外が国内を上回りました。

ただし海外でも、お客さんの数は増えていません。アメリカの7-Eleven, Inc.は、3〜8月の客数が△3.8%、客単価が+4.6%でした。会社は北米について「低所得者層を中心に食品や生活必需品への節約志向が引き続き見られました」と書いています。海外の利益は、客数ではなく、店のつくり直しや、直営店のフランチャイズ化などの収益構造の見直しで伸ばした形です。

8. 予想の修正と配当

会社 予想の修正 配当(前期→今期予想) 配当利回り(10/9)
ファーストリテイリング 2026年8月期の配当を640円→850円に引き上げ 500円→850円(実績)、2027年8月期は900円の予想 1.25%
吉野家HD 通期の営業利益を85億円→100億円 22円→24円(中間・期末とも11円→12円) 0.61%
ABCマート 通期の営業利益を656億円→672億円 75円→80円 2.80%
セブン&アイ 修正なし(営業利益4,250億円、純利益2,780億円の予想) 50円→60円 3.01%

4社とも増配です。ファーストリテイリングは、配当予想の修正の理由を「グローバルでの成長の柱が強固となったことで、事業の収益力とキャッシュ創出力は大きく向上」「高成長を最優先としながら、株主の皆様への高還元を両立していく方針」と説明しています。配当性向(利益のうち配当に回す割合)は48.1%で、今期の予想は49.3%です。

セブン&アイは、中間期の最終的なもうけは+2.2%ですが、通期では△5.0%の予想のまま据え置いています。

9. 【山場3】決算翌日の株価

会社 決算翌日 同じ日のTOPIX
吉野家HD +5.42%(10月9日) +0.33%
ABCマート +3.63%(10月8日) △1.51%
セブン&アイ +0.20%(10月9日) +0.33%
ファーストリテイリング △4.04%(10月9日) +0.33%

予想を引き上げた吉野家とABCマートは、素直に上がりました。一方、過去最高益で配当を1.7倍にしたファーストリテイリングは、4%下がりました。

ユニクロの今期予想は「下の段ほど伸びが小さい」

理由は資料に書かれていないので断定はしませんが、投資家が見る数字を並べます。

2027年8月期の予想 金額 前期比
売上収益 4兆4,500億円 +12.3%
事業利益(本業のもうけ) 8,300億円 +15.5%
税引前利益 8,800億円 +9.7%
親会社の所有者に帰属する当期利益 5,600億円 +3.2%

本業のもうけは+15.5%伸びる予想なのに、最終的なもうけ(1株あたりの利益も)は+3.2%にとどまります。前期は、利息や為替差益などの金融収益・費用が593億円のプラスでした。税引前利益から最終利益までの割合は、前期の67.6%から、今期の予想は63.6%に下がります。税金や、子会社の他の株主の取り分が増える前提の計算ですが、会社は理由を書いていません。

もう1つの事実として、ファーストリテイリングの株価はこの1年で+48.6%上がっていて、PER(株価÷1株あたり利益)は39.3倍です。

10. 株価の1年

会社 1年(2025/10/9→2026/10/9) 年初来 PER(10/9)
ファーストリテイリング +48.6% +26.1% 39.3倍
吉野家HD +29.8% +28.6% 42.4倍
ABCマート +7.6% +7.4% 14.8倍
セブン&アイ +0.6% △11.5% 16.2倍
日経平均 +42.1% +37.1%
TOPIX +26.0% +20.4%

1年で日経平均とTOPIXの両方を上回ったのはファーストリテイリングと吉野家。セブン&アイは、年初から△11.5%です。

11. 投資家が次に確認すること

  1. セブン-イレブンの客数:6〜8月の△2.5%から戻るか。システム費用の増加が会社の言うとおり一巡するか
  2. ABCマートの免税制度:11月からのリファンド方式への変更で、訪日客の売上がどう動くか
  3. 吉野家の夏の客数:6〜8月は前年割れ。9月の+4.3%が続くか、原材料費・人件費の上昇をこなせるか
  4. ユニクロの今期:本業+15.5%の予想と、最終利益+3.2%の差がどう埋まるか

まとめ

  • 客数:3〜8月に客が増えたのは吉野家だけ(+1.3%)。セブン-イレブン△1.7%、ABCマート△1.5%、ユニクロ△0.6%
  • 客単価:セブン-イレブンの+2.8%は、ほぼ食料の物価並み。ABCマート+6.1%、吉野家+5.1%、ユニクロ+4.1%は物価を大きく上回る
  • 天気:6月はユニクロの客数△15.0%、ABCマート△12.6%、吉野家△1.7%
  • セブン&アイ:国内コンビニ△9.8%(費用増、システム費用△87億円)、海外+87.7%。売上△2.8%はスーパー事業などが外れたため
  • 配当:4社とも増配。ファーストリテイリングは500円→850円
  • 株価:決算翌日、吉野家+5.42%、ファーストリテイリング△4.04%

同じ物価高でも、セブンは「客が減り、費用が増えた」、ABCマートは「訪日客で単価が上がった」、吉野家は「客を呼び戻した」、ユニクロは「本業は伸びるが、最終利益の伸びは小さい予想」。毎日使う店の決算は、同じ景気の中でもこれだけ違う顔を見せていました。

関連する過去の記事

この記事で見た資料

  • セブン&アイ・ホールディングス「2027年2月期 第2四半期(中間期)決算短信」「決算補足資料」「決算説明資料」(2026年10月8日)、「当社子会社における会社分割(吸収分割)による子会社の異動に関するお知らせ」(2025年3月6日)、「当社子会社における会社分割(吸収分割)による事業承継の完了のお知らせ」(2025年9月1日)、「(開示事項の経過)子会社の異動完了に関するお知らせ」(2025年6月24日)
  • ファーストリテイリング「2026年8月期 決算短信」「2026年8月期の配当予想の修正に関するお知らせ」(2026年10月8日)、「国内ユニクロ事業 売上推移速報 2026年8月期」「同 2027年8月期(9月度)」(会社サイト)
  • ABCマート「2027年2月期 第2四半期(中間期)決算短信」「業績予想の修正に関するお知らせ」「決算データ資料」(2026年10月7日)、「2027年2月期6月度概況」「9月度概況」
  • 吉野家ホールディングス「2027年2月期 第2四半期(中間期)決算短信」「剰余金の配当(中間配当の増配)および配当予想の修正に関するお知らせ」「連結業績予想と実績との差異および通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」(2026年10月8日)、「吉野家月次推移(2026年度)」(会社サイト)
  • 総務省「2025年基準 消費者物価指数 全国 2026年8月分」

※株価・指数・時価総額・配当利回り・PERは2026年10月9日終値(株探)。株価の変化率、物価との比較、税引前から最終利益までの割合は、資料の数字をもとに私が計算したものです。投資の判断はご自身でお願いします。

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コロナショック直前の2020年に投資をスタート。リアルタイムで暴落を経験しながら独学で投資の基礎を習得。 現在の運用総額5,000万円超・年間配当収入120万円超を達成。投資信託・ETF・個別株・米国株など100銘柄超に分散投資し、相場の波に強いポートフォリオを構築中。 高配当株の長期保有と新NISAの積立を組み合わせた"2刀流"スタイルで資産形成を実践。保有銘柄の決算・配当・株価をブログで赤裸々公開しています。YouTubeでも投資情報を発信中!

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