日本株 配当金

9月の権利取りは9月28日が締切。高配当株18社を「減配しない約束」の型で分けた|3社は株式分割の基準日も同じ日

9月の配当をもらうための締切は、2026年9月28日(月)です。あと10日です。

ただ、この記事でいちばん伝えたいのは「急いで買いましょう」ではありません。去年の権利落ち日(けんりおちび)に実際どうなったかを18社ぶん調べたら、思っていたのと違う結果が出たからです。

今回は、9月30日が中間配当の基準日になっている高配当株18社を、「配当を減らさない」と会社が自分で言っているかどうかで並べ直します。株価は2026年9月17日の終値、配当と方針の数字はすべて各社の決算短信・有価証券報告書・決算説明資料から取りました。

結論:締切は9月28日。ただし「買って翌日売る」は、去年のデータだと分が悪い

先に3つだけ。

  1. 権利付き最終日は9月28日(月)。この日の取引終了時点で持っていれば、9月末の配当がもらえます
  2. 去年の権利落ち日(2025年9月29日)、18社すべてが下がりました。しかも18社中15社は、もらえる中間配当より大きく下げています。いちばん大きかったみずほフィナンシャルグループは、配当72円50銭に対して165円下げました。配当の2.28倍です
  3. だから見るべきは利回りの高さではなく、「減らさない」と会社が自分で約束しているか。その約束には4つの型があって、強さが違います
  4. そしてその約束が試された年があります。18社のうち11社を調べたところ、利益がいちばん減った年に9社は増配か据え置きでした。三菱商事は純利益が67.8%減った年に、それでも増配しています

そしてもうひとつ。9月30日は、配当だけの日ではありません。三井住友フィナンシャルグループ、東京海上ホールディングス、大和ハウス工業の3社は、同じ9月30日が株式分割の基準日でもあります。

1. まず日程を押さえます

9月末が権利確定日の銘柄の日程は、こうなっています。

日付 曜日 何の日か
2026年9月28日 権利付き最終日(この日の取引終了時点で持っていれば権利がもらえる)
2026年9月29日 権利落ち日(この日に買っても今回の配当はもらえない)
2026年9月30日 権利確定日(株主名簿(かぶぬしめいぼ)に載る日)

29日の朝に売っても配当はもらえます。持っていなければいけないのは28日の取引終了時点までです。

ひとつ注意があります。夜間取引を使う場合は締切が早くなります。楽天証券の案内では、夜間取引(17時〜23時59分)の権利付き最終日は9月25日(金)、権利落ち日が9月28日(月)です。日中に買うつもりなら28日で問題ありませんが、「夜しか取引しない」という方は3日早いと覚えておいてください。

出典:楽天証券「2026年9月末決算銘柄の取引、株主優待獲得、移管等に関するご注意」

2. 今回並べる18社と、選んだ理由

条件は3つです。

  • 3月期決算で、9月30日が中間配当の基準日になっていること(各社の定款(ていかん)・有価証券報告書で1社ずつ確認しました)
  • 時価総額が1,000億円以上あること(今回は18社すべて1兆円を超えています)
  • 配当の方針を、会社が文章で公表していること

この条件で選んだのが、次の18社です。

銀行・保険が5社(三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループ、東京海上ホールディングス、SOMPO(ソンポ)ホールディングス)、金融が2社(三菱HC(エイチシー)キャピタル、オリックス)、エネルギーと素材が2社(ENEOS(エネオス)ホールディングス、日本製鉄)、海運が2社(商船三井、日本郵船)、建設が1社(大和ハウス工業)、医薬品が1社(武田薬品工業)、通信が3社(NTT(エヌティティ)、KDDI(ケーディーディーアイ)、ソフトバンク)、商社が2社(三菱商事、双日)です。

ひとつだけ正直に書いておきます。ソフトバンクは、今期の中間配当について「基準日は2026年9月30日」と書いた取締役会の決議がまだ出ていません。決算短信には中間4円40銭の予想が載っていて、去年は2025年10月23日の取締役会で「2025年9月30日を基準日とする」と決議しています。同じやり方になる可能性は高いのですが、決まっていないことを決まったようには書けないので、そのまま書いておきます。

3. 去年の権利落ち日、18社すべてが下がりました

ここからが本題です。

去年の9月末の権利落ち日は2025年9月29日(月)でした。その前営業日(9月26日)の終値と、権利落ち日の終値を、18社すべてについて調べました。

結果は、18社すべて下落です。例外はありませんでした。

会社 9月26日終値 9月29日終値 下落額 下落率
ソフトバンク 229.5円 220.7円 −8.8円 −3.83%
武田薬品工業 4,438円 4,280円 −158円 −3.56%
日本郵船 5,333円 5,147円 −186円 −3.49%
三井住友フィナンシャルグループ 4,243円 4,105円 −138円 −3.25%
みずほフィナンシャルグループ 5,085円 4,920円 −165円 −3.24%
商船三井 4,693円 4,550円 −143円 −3.05%
東京海上ホールディングス 6,276円 6,098円 −178円 −2.84%
三菱UFJフィナンシャル・グループ 2,394.5円 2,327.0円 −67.5円 −2.82%
三菱商事 3,613円 3,512円 −101円 −2.80%
大和ハウス工業 5,513円 5,359円 −154円 −2.79%
SOMPOホールディングス 4,632円 4,509円 −123円 −2.66%
KDDI 2,443円 2,385.5円 −57.5円 −2.35%
NTT 159.1円 155.4円 −3.7円 −2.33%
ENEOSホールディングス 969.7円 947.1円 −22.6円 −2.33%
オリックス 3,960円 3,870円 −90円 −2.27%
三菱HCキャピタル 1,252.5円 1,227.5円 −25.0円 −2.00%
双日 3,988円 3,912円 −76円 −1.91%
日本製鉄 631.2円 620.0円 −11.2円 −1.77%

※株価は株式分割を反映したあとの数字です。

18社が18社とも下がる、というのは偶然ではありません。権利落ち日には、配当をもらう権利が外れる分だけ株価が下がるという考え方があるからです。

問題は、その「分だけ」が本当に配当の分だけだったのか、です。

4. しかも15社は、配当より大きく下げていました

同じ表に、そのとき実際にもらえた中間配当を並べます。この中間配当は2025年9月30日が基準日、つまり9月29日に下がったのと引き換えにもらえた金額です。

会社 下落額 もらえた中間配当 下落は配当の何倍か
みずほフィナンシャルグループ 165円 72.50円 2.28倍
大和ハウス工業 154円 75.00円 2.05倍
ソフトバンク 8.8円 4.30円 2.05倍
三菱UFJフィナンシャル・グループ 67.5円 35.00円 1.93倍
三菱商事 101円 55.00円 1.84倍
三井住友フィナンシャルグループ 138円 78.00円 1.77倍
東京海上ホールディングス 178円 105.50円 1.69倍
商船三井 143円 85.00円 1.68倍
SOMPOホールディングス 123円 75.00円 1.64倍
日本郵船 186円 115.00円 1.62倍
武田薬品工業 158円 100.00円 1.58倍
KDDI 57.5円 40.00円 1.44倍
NTT 3.7円 2.65円 1.40倍
ENEOSホールディングス 22.6円 17.00円 1.33倍
三菱HCキャピタル 25.0円 22.00円 1.14倍
オリックス 90円 93.76円 0.96倍
日本製鉄 11.2円 12.00円 0.93倍
双日 76円 82.50円 0.92倍

18社のうち15社が、もらえる配当より大きく下げています。配当より下げが小さかったのは、オリックス・日本製鉄・双日の3社だけでした。

みずほフィナンシャルグループは、72円50銭の配当をもらう代わりに株価が165円下がっています。差し引き92円50銭のマイナスです。もちろん翌日以降の値動きは別の話ですが、権利落ち日のその瞬間だけを切り取れば、こうなっていました。

(ちなみに、下げ幅がいちばん小さかった日本製鉄の11.2円は、当時の株価の1.77%です。つまり「小さい」と言っても、1日で1.77%です。株価は配当のことなど気にせず動きます。)

5. 同じ日、日経平均は0.69%しか下げていません

「その日はたまたま地合いが悪かったのでは」と思われるかもしれないので、指数も並べます。

9月26日 9月29日 下落 下落率
日経平均株価 45,354.99 45,043.75 −311.24 −0.69%
TOPIX(トピックス) 3,187.02 3,131.57 −55.45 −1.74%

日経平均は0.69%、TOPIXは1.74%の下落でした。これに対して18社は1.77%から3.83%下げています。いちばん下げの小さかった日本製鉄でさえ、日経平均の2.5倍以上下げています。

なお、日経平均やTOPIXにも、構成銘柄の配当落ちの影響は入ります。それでも、高配当の銘柄ほど落ちる幅が大きいという差ははっきり出ています。当たり前といえば当たり前で、配当が大きいほど、外れる権利も大きいからです。

6. 配当には20.315%の税金がかかります

もうひとつ、計算に入れなければいけないものがあります。税金です。

上場株式の配当には、所得税と復興特別所得税が15.315%、住民税が5%、合わせて20.315%が源泉徴収(げんせんちょうしゅう)されます(国税庁タックスアンサー No.1330)。

つまり、手取りは配当の79.685%です。

100円の配当なら、手元に残るのは79円69銭。1万円の配当なら7,968円です。約2割が引かれる、と覚えておけば十分です。

7. だから「配当だけ取って翌日売る」は、計算が合いにくい

ここまでを一本の計算にしてみます。みずほフィナンシャルグループの去年の数字を使います。

  • もらえた配当:72円50銭(100株で7,250円)
  • 税金を引いた手取り:約57円77銭(100株で約5,777円)
  • 権利落ち日の下落:165円(100株で16,500円)

配当を受け取ったうえで権利落ち日に売った場合、差し引きは1株あたり約107円23銭のマイナス(100株で約1万723円)になります。

もちろん、これは「権利落ち日の終値で売ったら」という話です。その後に株価が戻れば損は消えますし、実際どうなるかは誰にも分かりません。それに配当をもらう権利が外れただけで会社の中身が変わったわけではないので、戻ることも多いです。

ただ、「権利付き最終日に買って、配当だけもらって翌日売る」という作戦は、税金の分だけ最初から不利だということは、押さえておいて損はないと思います。配当は2割引かれるのに、株価の下落は割引なしで全額きます。

(この話をすると「じゃあ買わないほうがいいのか」と聞かれるのですが、そうではありません。配当をもらって持ち続ける人にとっては、権利落ちで下がった株価は「買い増ししやすくなった」という意味にもなります。短期で往復するときだけ不利になる、という話です。)

8. では何を見るか。「減らさない」と会社が自分で言っているか

前置きが長くなりました。ここからが今回の本題です。

高配当株を選ぶとき、利回りの高さで並べるのがいちばん簡単です。でも利回りは「配当÷株価」でしかないので、配当が減れば利回りも下がります。株価が下がって利回りが高く見えているだけ、ということも起きます。

そこで今回は、会社が「配当を減らしません」と自分で公表しているか、そしてその約束がどういう言い方になっているかで、18社を並べ直しました。

調べてみると、約束の言い方は4つの型に分かれました。そして、この4つは強さが違います。

何を約束しているか 社数
①累進配当・累進的 減らさない。増やすか維持する 8社
②下限配当 最低◯円は出す 4社
③DOE 純資産の◯%を配る 1社(①と兼ねる)
④配当性向だけ 利益の◯%を配る(減れば減る) 6社

※双日は①と③の両方にあてはまります。8+4+6で18社です。

9. 型①「減らさない」と言葉で約束している ― 8社

いちばん強いのが、累進配当(るいしんはいとう)です。「増やすか、同じにするか。減らすことはしない」という意味です。

18社の資料を1社ずつ当たったところ、「累進配当」または「累進的」という言葉を使っている会社が8社ありました。

三菱商事

「株主還元は、持続的な利益成長に合わせて増配していく『累進配当』を継続し、自己株式の取得も機動的に実施することを基本方針としています。」(2026年3月期決算短信)

今期は中間62円・期末63円の年間125円。前期は110円でした。

商船三井

「2026年度より、205円/株を起点とする累進配当を導入」(グループ経営計画「BLUE ACTION 2035」Phase 2)

今期は中間100円・期末105円の年間205円。前期は200円でした。

武田薬品工業

「毎年の1株当たり年間配当金を増額または維持する累進配当の方針を採用し」(2026年3月期決算短信)

今期は中間102円・期末102円の年間204円。前期は200円でした。

ENEOSホールディングス

「30円/株の配当を起点とする、業績に応じた累進配当を導入」(株主還元に関するIR資料)

今期は中間17円・期末17円の年間34円。前期も34円で、18社の中では数少ない据え置きです。

双日

「『中期経営計画2026』においては、安定的かつ継続的な配当を行うため、株主資本DOE 4.5%を基本とする累進的な配当方針としています。」(2026年3月期決算短信)

DOEと累進をセットで使っている書き方です。DOEについては次のあとの章で説明します。今期は中間90円・期末90円の年間180円。前期は165円でした。

三井住友フィナンシャルグループ

「配当は持続的な利益成長を勘案し累進的に行うものとし、本中期経営計画期間中においても配当性向を40%とする方針といたします。なお、本中期経営計画では累進的配当から一歩踏み込み、毎期の増配を原則といたします。」(有価証券報告書 第24期)

今期は中間90円・期末90円(株式分割前の換算で年間180円)。前期は157円でした。

みずほフィナンシャルグループ

「株主還元については『累進的な一株あたりの増配に加え、機動的な自己株式取得を実施する』こととしております。配当は、安定的な収益基盤の着実な成長に基づき、毎期5円を目安に増配を実施し」(2026年3月期決算短信)

「累進的な増配」と書いたうえで、毎期5円という金額まで出しています。今期は145円から150円へ、たしかに5円増えています。

三菱UFJフィナンシャル・グループ

「累進的な配当」「累進的配当を維持」(2025年度決算 投資家説明会資料)

今期は中間48円・期末48円の年間96円。前期は86円でした。

この8社の中でも、書き方には差があります。起点になる金額まで示しているのは、商船三井(205円)とENEOS(30円)の2社だけです。他の6社は「減らさない」「増やしていく」という考え方を示すところまでです。

そしてENEOSと三菱UFJの2社は、この言葉が決算短信には載っていません。どこに書いてあるかの話は、あとの章でまとめます。

10. 型②下限配当 ―「最低◯円は出します」

次が下限配当です。「業績次第で上は増えるけれど、最低でもこの金額は出す」という約束です。累進配当のように「前より減らさない」とは言っていませんが、床があるという点で強い方針です。

この4社は、資料を全部調べても「累進」という言葉を使っていませんでした。代わりに金額で約束しています。

日本製鉄

「『2030中長期経営計画』の5年間(2027年3月期〜2031年3月期)においては、1株当たりの年間配当額の下限を24円とする方針とします。」(2026年3月期決算短信)

配当性向は30%程度が目安。今期の配当はちょうど下限と同じ24円です。

日本郵船

「連結配当性向40%を目安に1株当たりの配当下限金額を年間200円として、業績の見通し等を総合的に勘案して利益配分を決定します。」(2026年3月期決算短信)

今期は8月5日に予想を引き上げて、年間240円になりました。下限の200円より40円多い水準です。

大和ハウス工業

「配当性向について、親会社株主に帰属する当期純利益の35%以上として業績に連動した利益還元を行い、かつ安定的な配当の観点から、年間の1株当たりの配当金額の下限を定め、145円を下限としております。」(有価証券報告書 第87期)

今期は8月6日に引き上げて、年間178円(株式分割前の換算)になりました。

オリックスも、言い方は違いますが実質的にはこの型です。

「次期(2027年3月期)につきましては、1株当たりの年間配当金の予想額は、配当性向39.0%もしくは当期と同額の156.10円のいずれか高い方と致します。」(2026年3月期決算短信)

「前期と同じ金額か、配当性向39%か、高いほう」なので、前期の金額が実質的な床になっています。

11. 型③DOE ― 純資産に対する率で決める

3つ目がDOE(ディーオーイー)です。日本語では株主資本配当率といいます。

ふつうの配当性向は「利益の◯%を配当に回す」なので、利益が半分になれば配当も半分になります。DOEは「純資産の◯%」なので、利益が半分になっても純資産はそう簡単に半分にならず、配当が下がりにくいという性質があります。

18社の中で、方針としてDOEを掲げているのは双日の1社だけでした。さきほど累進のところでも出てきた会社です。「DOE 4.5%」と「累進的」を組み合わせているのが双日の書き方です。

この双日、ひとつだけ他の17社と違うところがあります。中間配当の90円が、すでに取締役会で決議されて確定しています。

「2027年3月期の中間配当は、配当基準日である2026年9月30日時点の発行済普通株式に対し、1株当たり90円とすることを、本日開催の取締役会にて決議しております。」(2026年3月期決算短信)

他の17社は「予想」ですが、双日は「決議済み」です。

12. 型④配当性向だけ ― 利益が減れば配当も減る

4つ目は、「累進」とも「下限」とも「DOE」とも書いていない会社です。目標はあるけれど、それは「利益の何%を配るか」の話なので、利益が減れば配当も減ります。この型が6社ありました。

KDDI

「次期以降の3ヶ年は、調整後当期利益に対する連結配当性向40%超を維持する方針といたします。」(2026年3月期決算短信)

三菱HCキャピタル

「配当性向の中期的な目標水準は、中期経営計画(2028中計)の対象期間である2026年度(2027年3月期)からの3年間において45%以上としており」(有価証券報告書)

東京海上ホールディングス

「IFRS(イファース)移行後の配当は、IFRS修正純利益(3年平均)を配当原資とし、配当性向は50%を原則とする。」(2025年度決算説明資料)

東京海上は「3年平均」を使うところがポイントです。1年だけ利益が落ちても、3年で均されるので配当への影響が小さくなります。

SOMPOホールディングス

「基礎還元(修正連結利益(直近3年平均)の50%)に加え、原則として政策株式売却損益等(税後)の50%を追加還元することとしております。」(2026年3月期決算短信)

こちらも3年平均です。

NTT

「継続的な増配の実施を基本的な考えとする」(中期経営戦略の一部見直し等に関するお知らせ)

ソフトバンク

「業績動向、財政状態、キャッシュ・フローの状況などを総合的に勘案して安定性、継続性に配慮しながら実施していきます。」(2026年3月期決算短信)

ソフトバンクについては、決算短信61ページを全部検索しましたが、「累進」「減配しない」「DOE」「下限」「総還元性向」という言葉はひとつも出てきませんでした。書いていないものを「たぶんこうだろう」とは書けないので、そのまま書いておきます。

13. 同じ「累進」でも、中身は同じではありません

「累進」という言葉を使う会社が8社あると書きましたが、その中身は横並びではありません。ここが今回いちばん面白かったところです。

三井住友フィナンシャルグループは、方針を一段進めていました。

さきほど引用した有価証券報告書の「累進的配当から一歩踏み込み、毎期の増配を原則といたします」。これに続けて、投資家向けの説明資料には、こう書いてあります。

「累進的配当方針の進化:『減配しない』から、『毎期増配』へ」(2025年度決算投資家説明会)

「減らさない」では足りない、「毎年増やす」にするという宣言です。実際、前の中期経営計画の3年間で90円から157円まで、合計67円増やしています。今期の予想は180円です。

同じ「累進」という言葉でも、踏み込み方はこれだけ違います。並べるとこうなります。

会社 「累進」の使い方 どこまで踏み込んでいるか
三井住友フィナンシャルグループ 累進的配当から一歩踏み込み、毎期の増配を原則 毎期増やすと言い切っている
みずほフィナンシャルグループ 累進的な一株あたりの増配。毎期5円を目安に増配 増やす金額まで出している
商船三井 205円/株を起点とする累進配当 起点の金額を出している
ENEOSホールディングス 30円/株の配当を起点とする累進配当 起点の金額を出している
双日 株主資本DOE 4.5%を基本とする累進的な配当方針 計算の根拠を出している
三菱商事 利益成長に合わせて増配していく「累進配当」を継続 考え方まで
武田薬品工業 増額または維持する累進配当の方針 考え方まで
三菱UFJフィナンシャル・グループ 累進的な配当/累進的配当を維持 考え方まで(説明資料のみ)

「累進配当だから安心」とひとくくりにすると、この差が見えなくなります。

14. どこに書いてあるかも、会社によって違います

もうひとつ、調べていて気づいたことがあります。同じ会社でも、資料によって書いてあることが違うのです。

ENEOSホールディングスの決算短信の配当方針には、こう書いてあります。

「中期的な連結業績の推移及び見通しを反映した利益還元の実施を基本としながら、安定的な配当の継続に努めることとしています。」

累進配当という言葉は、ここには出てきません。「30円/株の配当を起点とする累進配当」が書いてあるのは、決算説明資料と会社のIRページのほうです。

三菱UFJフィナンシャル・グループも同じです。決算短信と有価証券報告書の配当方針には「配当性向40%程度」としか書いておらず、「累進的な配当」「累進的配当を維持」と書いてあるのは投資家説明会の資料のほうでした。

どちらが本当か、という話ではありません。どちらも会社が出した資料です。ただ、決算短信にしか目を通していないと、その会社が累進配当を掲げていることに気づけないということは知っておいていいと思います。逆に、説明資料の見栄えのいい言葉だけを見て「短信にはそこまで書いていない」と気づかないことも起こります。

15. 会社が自分で数えている「連続増配」の年数

方針は言葉ですが、実績は数字です。18社のうち、会社自身が「◯期連続増配」と公表しているのは6社でした。

会社 会社が公表している連続増配 出典
三菱HCキャピタル 27期連続(2026年3月期)/今期予想で28期連続 剰余金の配当に関するお知らせ、決算短信
KDDI 24期連続(2026年3月期) 2026年3月期決算説明会資料
NTT 16期連続(今期予想) 2025年度決算概要
大和ハウス工業 16期連続(2026年3月期) 有価証券報告書 第87期
東京海上ホールディングス 15期連続(今期予想) 2025年度決算説明資料
SOMPOホールディングス 13期連続(今期予想) 2025年度決算説明補足資料

※三菱UFJ、三井住友FG、みずほFG、オリックス、三菱商事、双日、商船三井、日本郵船、日本製鉄、ENEOS、武田薬品、ソフトバンクについては、決算短信・有価証券報告書・説明資料を調べましたが、「◯期連続増配」という表現は見つかりませんでした。増配していないという意味ではなく、会社が年数を数えて公表していない、という意味です。

三菱HCキャピタルの27期は、18社の中では突出しています。

「1株当たり年間配当金は前期比6円増配の46円00銭となり、27期連続での増配となります。」(2026年5月20日 剰余金の配当に関するお知らせ)

「2027年3月期の1株当たり年間配当金予想は、28期連続増配となる前期比5円増配の51円(中間:25円、期末:26円)、業績予想に対する配当性向は45.8%としています。」(2026年3月期決算短信)

累進配当とは書いていないけれど、27年間やめていない。言葉の約束と、実績の積み上げは別の物差しだということが、この表からは見えます。

16. 約束が試された年に、実際どうしたか

方針は言葉です。実績は数字です。では、利益が大きく減った年に、その会社は本当に配当を守ったのか。

18社のうち11社について、2015年3月期から2026年3月期までの純利益と1株当たり配当を有価証券報告書から拾って、いちばん利益が減った期に配当をどうしたかを調べました。株式分割や株式併合があった会社は、有価証券報告書の注記で調整の有無を確認しています。

会社 いちばん利益が減った期 減益率 その期の配当
ENEOSホールディングス 2023年3月期 −73.2% 据え置き 22円
三菱商事 2021年3月期 −67.8% 増配 132円→134円
商船三井 2024年3月期 −67.1% 減配 560円→220円
双日 2021年3月期 −55.6% 減配 17円→10円
三菱UFJフィナンシャル・グループ 2020年3月期 −39.5% 増配 22円→25円
東京海上ホールディングス 2021年3月期 −37.7% 増配 225円→235円
オリックス 2021年3月期 −36.4% 増配 76円→78円
三井住友フィナンシャルグループ 2021年3月期 −27.1% 据え置き 190円
三菱HCキャピタル 2021年3月期 −21.8% 増配 25.00円→25.50円
大和ハウス工業 2021年3月期 −16.5% 増配 115円→116円
KDDI 2024年3月期 −7.8% 増配 135円→140円

11社のうち9社が、いちばん利益が減った年にも増配か据え置きでした。減らしたのは商船三井と双日の2社だけです。

いちばん驚いたのは三菱商事でした。2021年3月期の純利益は5,353億円から1,725億円へ、67.8%減っています。3分の1以下です。それでも配当は132円から134円へ、2円ですが増やしました。

ENEOSも同じです。2023年3月期は5,371億円から1,437億円へ73.2%減。それでも22円を据え置きました。さらにENEOSは、2016年3月期と2020年3月期の2回、最終赤字になっています。そのどちらでも配当を減らしていません(16円据え置き、21円→22円で増配)。

その一方で、正直に書いておかなければいけないことがあります。

調べた11社のうち、いま「累進」という言葉を使っているのは6社(三菱商事・商船三井・ENEOS・双日・三井住友FG・三菱UFJ)です。そのうち3社には、減配した過去がありました。

  • 商船三井:2024年3月期に560円→220円。さらに直近の2026年3月期にも360円→200円
  • 三菱商事:2016年3月期に最終赤字となり、70円→50円
  • 双日:2021年3月期に減配(上の表の17円→10円)

累進配当は「これから減らしません」という約束であって、「これまで一度も減らしたことがない」という実績の話ではありません。ここは混ぜて読まないほうがいいと思います。

逆に、調べた11社のうち、この11年間で一度も配当を減らしていないのは6社でした。

三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、三菱HCキャピタル、ENEOSホールディングス、大和ハウス工業、KDDIです。

このうち「累進配当」という制度名を使っているのはENEOSだけ(三菱UFJと三井住友FGは「累進的」)。そして三菱HCキャピタル・大和ハウス・KDDIの3社は、累進という言葉をまったく使っていません。それでも11年間減らしていない。言葉の約束がある会社と、実績で減らしていない会社は、重なっているようで重なっていません。

なお、ここで調べたのは18社のうち11社です。みずほフィナンシャルグループ、日本製鉄、日本郵船、武田薬品工業、NTT、ソフトバンク、SOMPOホールディングスの7社については、同じ調べ方をしていません。「この7社は減配していない」とも「している」とも、この記事では言えません。

2つ、読み方の注意を付け加えます。

ひとつは東京海上です。2020年3月期に250円→225円と、表面上は下がって見えます。ただしこれは資本の水準を調整するための一時的な配当が70円から35円に減ったためで、ふだんの配当は180円→190円で増えています。有価証券報告書の注記で確認しました。

もうひとつは双日です。上の表の「17円→10円」は当時の株数での金額です。双日はその後2021年10月1日に5株を1株にまとめる株式併合をしているので、いまの株数に直すと85円→50円にあたります。どちらで見ても減配であることは変わりません。

17. 9月30日は、配当だけの日ではありません

ここからは、今年ならではの話です。

18社の開示を1件ずつ確認したところ、3社が9月30日を基準日に株式分割をします。

会社 分割 基準日 効力発生日
三井住友フィナンシャルグループ 1株→2株 2026年9月30日 2026年10月1日
東京海上ホールディングス 1株→15株 2026年9月30日 2026年10月1日
大和ハウス工業 1株→2株 2026年9月30日 2026年10月1日

つまり、9月28日までに買えば、中間配当と株式分割の両方がもらえます。

東京海上の1株→15株は、かなり思い切った分割です。9月17日の終値8,298円がそのまま15分の1になるとすると、1株553円くらい。100株で約5万5,000円です。いまは100株買うのに約83万円かかるので、だいぶ手が届きやすくなります。

「当社株式の投資単位当たりの金額を引き下げることにより、より投資しやすい環境を整え、投資家層の拡大を図ることを目的としております。」(2026年8月25日 開示資料)

三井住友フィナンシャルグループは687,800円が約34万円に、大和ハウス工業は462,600円が約23万円になる計算です。

そして東京海上は、同じ8月25日の開示で株主優待制度も新しく作りました。

「当社普通株式100株以上を3年以上継続保有した場合、初回の株主優待として7,500円相当の電子マネー等」「初回の株主優待の翌年以降も、当社普通株式100株以上を継続保有した場合、2,500円相当の電子マネー等」

最初の基準日は2027年3月31日、以後は毎年3月31日です。

18. 優待の「3年継続」は、9月末の名簿も数えます

東京海上の優待には、読み飛ばすと損をしそうな一文があります。

「継続保有期間は、毎年3月31日および9月30日時点の株主名簿に基づき判定します。3年以上継続保有とは、毎年3月31日および9月30日時点の株主名簿に、当社普通株式100株以上を保有する株主として、同一株主番号で連続して7回以上記載または記録された場合をいいます。」

3月末だけでなく、9月末の名簿も数えるという作りです。年2回のチェックポイントがあって、7回連続で載っていることが条件になります。

大和ハウス工業の優待も、まったく同じ仕組みです。

「『3年以上継続保有』とは、毎年3月末日及び9月末日の当社株主名簿において、同一の株主番号で7回以上連続して記載または記録されていることといたします。」

大和ハウスは今回の分割にあわせて優待も広げていて、分割後は100株以上(分割前の50株以上)が新しく対象になります。2027年3月末日の名簿から適用です。

ここで気をつけたいのは、9月末に売ってしまうとカウントが途切れるということです。「優待は3月末だけ見ているんだろう」と思って9月に手放すと、それまで積み上げた継続保有期間が消えます。売却で株主番号の連続性が切れた場合、それ以前の保有期間は通算されません。

配当の権利日として9月末が語られることは多いのですが、優待の継続保有を数える日でもある、というのは覚えておいて損はないと思います。

19. 去年、まったく同じことがありました

「配当の基準日と株式分割の基準日が重なると、権利落ち日はどうなるのか」。これは今年の3社で初めて起きたことではありません。

日本製鉄が、去年まったく同じことをしています。

「2025年9月30日(火曜日)を基準日として、同日最終の株主名簿に記録された株主の所有する普通株式を、1株につき5株の割合をもって分割いたします。」「効力発生日 2025年10月1日(水曜日)」(2025年8月1日 開示資料)

基準日が2025年9月30日、効力発生日が2025年10月1日。今年の3社とまったく同じ日程の組み方です。

そして、そのときの権利落ち日(2025年9月29日)の下落は、分割後に直すと11.2円でした。中間配当は分割後換算で12円です。0.93倍。ほぼ配当の分だけしか下がっていません。

18社の中でいちばん配当に近い下げ方をしたのが、この日本製鉄でした。分割があったから下げが小さかったのか、それともたまたまなのかは、1社の1回のデータでは断定できません。ただ、分割と配当が重なった年に、下げが配当を超えなかった例があるというのは、事実として残っています。

日本製鉄は分割にあわせて配当予想の書き方も直していて、こう説明しています。

「2025年9月30日を基準日とする2026年3月期の第2四半期末配当金については、株式の分割前の当社普通株式が対象となりますが、2026年3月31日を基準日とする2026年3月期の期末配当金については、株式の分割後の当社普通株式が対象となります。」

中間配当は分割前の株数に対して、期末配当は分割後の株数に対して払われます。今年の三井住友フィナンシャルグループ、東京海上、大和ハウスも同じです。中間配当の1株あたりの金額は分割しても変わらず、期末配当だけが割られた金額になります。年間配当を単純に足すと間違えるので、注意してください。

20. 今年の中間配当と利回り(2026年9月17日終値)

18社の今期の配当と、9月17日終値での利回りです。

会社 株価 中間配当 年間配当 利回り 前期の年間配当
大和ハウス工業 4,626円 86円 178円※ 3.85% 175円
三菱HCキャピタル 1,404.5円 25円 51円 3.63% 46円
ソフトバンク 251.6円 4.40円 8.80円 3.50% 8.60円
武田薬品工業 5,946円 102円 204円 3.43% 200円
日本製鉄 702.6円 12円 24円 3.42% 24円
日本郵船 7,566円 120円 240円 3.17% 230円
双日 5,888円 90円 180円 3.06% 165円
オリックス 6,215円 107.27円 187.36円 3.01% 156.10円
NTT 180.0円 2.70円 5.40円 3.00% 5.30円
東京海上ホールディングス 8,298円 122.5円 245.05円※ 2.95% 218円
SOMPOホールディングス 6,994円 100円 200円 2.86% 150円
商船三井 7,438円 100円 205円 2.76% 200円
KDDI 3,109.0円 42円 84円 2.70% 80円
三菱UFJフィナンシャル・グループ 3,652.0円 48円 96円 2.63% 86円
三井住友フィナンシャルグループ 6,878円 90円 180円※ 2.62% 157円
三菱商事 4,979円 62円 125円 2.51% 110円
ENEOSホールディングス 1,459.5円 17円 34円 2.33% 34円
みずほフィナンシャルグループ 8,549円 75円 150円 1.75% 145円

※印は株式分割を考慮する前の金額に直したものです。会社の開示では、分割をまたぐため年間合計を「−」と表示しています。

この表で見ておきたいのは、利回りの順番と、約束の強さの順番が一致していないことです。

いちばん利回りが高い大和ハウス工業は「下限配当145円」の型、2位の三菱HCキャピタルは「配当性向45%以上」の型で、累進配当とは書いていません。逆に累進配当と明記している三菱商事は2.51%、ENEOSは2.33%で、18社の中では下のほうです。

「減らさないと約束している会社ほど利回りが高い」わけではない、ということです。

もうひとつ。18社のうち16社が前期より増配、2社(ENEOSと日本製鉄)が据え置きで、減配した会社はゼロでした。増配の幅がいちばん大きいのはSOMPOホールディングスで、150円から200円へ33.3%増やしています。

21. 100株買うといくらかかって、いくらもらえるか

実際の金額で見たほうが早いので、100株あたりで並べます。中間配当の手取りは20.315%を引いたあとの金額です。

会社 100株の購入金額 中間配当(100株) 税引き後(めやす)
NTT 18,000円 270円 215円
ソフトバンク 25,160円 440円 351円
日本製鉄 70,260円 1,200円 956円
三菱HCキャピタル 140,450円 2,500円 1,992円
ENEOSホールディングス 145,950円 1,700円 1,355円
KDDI 310,900円 4,200円 3,347円
三菱UFJフィナンシャル・グループ 365,200円 4,800円 3,825円
大和ハウス工業 462,600円 8,600円 6,853円
三菱商事 497,900円 6,200円 4,940円
双日 588,800円 9,000円 7,172円
武田薬品工業 594,600円 10,200円 8,128円
オリックス 621,500円 10,727円 8,548円
三井住友フィナンシャルグループ 687,800円 9,000円 7,172円
SOMPOホールディングス 699,400円 10,000円 7,969円
商船三井 743,800円 10,000円 7,969円
日本郵船 756,600円 12,000円 9,562円
東京海上ホールディングス 829,800円 12,250円 9,761円
みずほフィナンシャルグループ 854,900円 7,500円 5,976円

NTTは100株1万8,000円で買えます。18社の中では圧倒的に手が届きやすく、その代わり中間配当は270円、手取りで215円です。缶コーヒー2本ぶんくらいですが、連続増配は会社の公表で16期です。

いちばん金額が大きいのはみずほフィナンシャルグループの85万4,900円。それでも中間配当は7,500円で、東京海上(12,250円)や日本郵船(12,000円)より少なくなります。買うのに必要なお金と、もらえる配当は比例しません。

そして10月1日以降は、東京海上が約5万5,000円、三井住友フィナンシャルグループが約34万円、大和ハウス工業が約23万円で100株買えるようになります(9月17日の株価を分割比率で割った場合)。急がないなら、分割後を待つという選択肢もあります。ただし、そのときは9月末の配当と、優待の継続保有のカウント開始は付いてきません。

22. NISAなら、20.315%の話が変わります

最後に、税金の話に戻ります。

ここまで「配当には20.315%かかる」と書いてきましたが、NISA(ニーサ)口座で買った株の配当は非課税です。100円の配当なら100円まるごと受け取れます。

ただし、条件がひとつあります。

「『株式数比例配分方式』を選択される場合 ⇒非課税になります!」

「『配当金領収証方式』や『登録配当金受領口座方式』などを選択される場合 ⇒課税になります!」

(日本証券業協会「NISA口座における上場株式の配当金等受取方式に関する注意事項」)

配当の受け取り方には3つあって、

  1. 配当金領収証方式(ゆうちょ銀行や郵便局に領収証を持ち込んで受け取る)→ 課税
  2. 登録配当金受領口座方式・個別銘柄指定方式(指定した銀行口座で受け取る)→ 課税
  3. 株式数比例配分方式(証券会社の口座で受け取る)→ 非課税

NISAで買っていても、受け取り方が1か2になっていると20.315%引かれます。せっかくの非課税が効きません。設定は証券会社の画面で変えられるので、心当たりのある方は9月28日までに確認しておいてください。

もうひとつ、知っておいたほうがいいことがあります。

「証券会社で、いったん『株式数比例配分方式』を選択されると、同一の証券会社や他の証券会社の特定・一般口座で保有されている全ての上場株式の配当金等についても、自動的に『株式数比例配分方式』が選択」されます。

一度これを選ぶと、他の証券会社の特定口座・一般口座の株も全部この方式になります。銀行口座で配当を受け取る習慣のある方は、そこが変わることになります。損得の話ではなく、受け取り場所が変わるという話です。

23. まとめ

長くなったので、要点だけ並べます。

日程

  • 権利付き最終日は2026年9月28日(月)。権利落ち日が29日(火)、権利確定日が30日(水)
  • 夜間取引を使う場合は締切が早い(楽天証券では9月25日(金))

去年のデータが教えてくれたこと

  • 2025年9月29日の権利落ち日、18社すべてが下落した
  • 18社中15社は、もらえる配当より大きく下げた。最大はみずほフィナンシャルグループの2.28倍
  • 同じ日、日経平均は0.69%、TOPIXは1.74%の下落だった
  • 配当には20.315%の税金がかかるので、「配当だけ取って翌日売る」は最初から不利

配当の約束は4つの型に分かれる

  • ①累進配当・累進的(減らさない)=8社。三菱商事・商船三井・武田薬品工業・ENEOS・双日・三井住友FG・みずほFG・三菱UFJ
  • ②下限配当(最低◯円は出す)=4社。日本製鉄24円・日本郵船200円・大和ハウス工業145円。オリックスも実質的にこの型
  • ③DOE(純資産に対する率)=1社。双日4.5%(①と兼ねる)
  • ④配当性向と増配方針だけ6社。KDDI・三菱HCキャピタル・東京海上・SOMPO・NTT・ソフトバンク
  • 同じ「累進」でも踏み込み方が違う。三井住友FGは「減配しない」から「毎期増配」へ、みずほFGは「毎期5円を目安に増配」と金額まで出している
  • 起点の金額まで示しているのは商船三井(205円)とENEOS(30円)の2社
  • 同じ会社でも、決算短信と説明資料で書いてあることが違う(ENEOS、三菱UFJは短信に「累進」の記載なし)

約束が試された年に、実際どうしたか(18社のうち11社を調査)

  • 11社中9社が、いちばん利益が減った年にも増配か据え置き。減配したのは商船三井と双日の2社
  • 三菱商事は純利益が67.8%減った2021年3月期に、132円→134円で増配
  • ENEOSは73.2%減った2023年3月期に22円を据え置き。2度の最終赤字でも減配していない
  • ただしいま「累進」を使っている商船三井・三菱商事・双日には、減配した過去がある。累進配当は「これから」の約束
  • 調べた11社のうち、11年間まったく減配していないのは6社(三菱UFJ、三井住友FG、三菱HCキャピタル、ENEOS、大和ハウス、KDDI)。うち3社(三菱HCキャピタル・大和ハウス・KDDI)は累進という言葉を使っていない
  • 残る7社(みずほFG、日本製鉄、日本郵船、武田薬品、NTT、ソフトバンク、SOMPO)は同じ調べ方をしていないので、この記事では判断していない

今期の配当

  • 16社が増配、2社が据え置き、減配ゼロ
  • 利回りのトップは大和ハウス工業3.85%、次いで三菱HCキャピタル3.63%、ソフトバンク3.50%
  • 会社が公表している連続増配は、三菱HCキャピタル27期、KDDI 24期、NTT 16期、大和ハウス工業16期、東京海上15期、SOMPO 13期

9月30日は配当だけの日ではない

  • 三井住友フィナンシャルグループ(1株→2株)、東京海上(1株→15株)、大和ハウス工業(1株→2株)は、株式分割の基準日も9月30日
  • 東京海上は株主優待を新設。100株以上を3年継続で初回7,500円相当
  • 東京海上と大和ハウス工業の優待は、継続保有を3月末と9月末の両方の名簿で数える。9月末に売ると継続がリセットされる
  • 去年は日本製鉄が同じ日程で1株→5株の分割をしていて、そのときの権利落ちは配当の0.93倍だった

NISAを使うなら

  • 配当を非課税にするには受け取り方を「株式数比例配分方式」にしておくこと
  • ただし一度選ぶと、他の証券会社の特定口座・一般口座の株も全部この方式になる

締切は9月28日です。でも、この記事を書きながらいちばん強く思ったのは、「9月28日までに何かしなければ」と焦る必要はないということでした。

去年のデータが示しているのは、権利落ちの下げが配当を超えることのほうが多い、という事実です。それでも高配当株を持つ意味があるとすれば、それは1回の配当ではなく、減らさないと言った会社が本当に減らさないかを、何年も見ていくことのほうにあります。三菱HCキャピタルの27期連続増配は、1回の権利取りでは手に入らないものです。

数字はすべて各社の決算短信・有価証券報告書・決算説明資料と、2026年9月17日の終値から取りました。実際に買うかどうかは、ご自身で判断してください。

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たぐ

コロナショック直前の2020年に投資をスタート。リアルタイムで暴落を経験しながら独学で投資の基礎を習得。 現在の運用総額5,000万円超・年間配当収入120万円超を達成。投資信託・ETF・個別株・米国株など100銘柄超に分散投資し、相場の波に強いポートフォリオを構築中。 高配当株の長期保有と新NISAの積立を組み合わせた"2刀流"スタイルで資産形成を実践。保有銘柄の決算・配当・株価をブログで赤裸々公開しています。YouTubeでも投資情報を発信中!

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