こんな方におすすめ
- 安定した収入源を求めている人
- 投資知識の向上をしたい人
- 投資判断の材料が欲しい人
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安定した収入源を求めている人、投資知識の向上をしたい人、投資判断の材料が欲しい人の参考になれば幸いです
Contents
決算概要
■① 売上高:前年比 +5.8%の 4兆6,356億円
売上はしっかり伸びてます。
背景としては、USスチールの買収効果で海外売上が一気に上乗せされていること、ここが今回の売上成長のほぼ“主役”です。
一方で国内は、市況が弱めで価格がやや重たかったんですが、
“海外のプラスの方が大きくて、トータルでは売上は増えた”という構図ですね。
■② 営業利益:まさかの -28億円(赤字転落)
「次に営業利益ですが……ここは正直かなりショッキングな数字です。
前年は 3,757億円の黒字だったのに、今年は 28億円の赤字。
何が起きたのか?というと、ポイントは2つ。
-
USスチール買収に関連する費用
-
国内の市況悪化で利益が圧迫された
つまり、“本業が弱かった”というよりは、
『買収関連のコストが重くのしかかった』という構図の方が近いですね。」
■③ 経常利益:-301億円(大幅赤字)
「経常利益は営業利益よりさらに悪化して、301億円の赤字です。
これは、営業利益の悪化に加えて――
為替評価損や金利負担の増加など、金融関連のマイナス要素が積み上がったためです。
特にアメリカの金利高が続いていますので、
海外案件を持つ日本製鉄にとっては、金利コストが効いてきますね。」
■④ 最終利益:-1,133億円(大幅赤字)
「最終利益は、なんと 1,133億円の赤字まで落ち込みました。
この赤字の主因は、
-
USスチール買収に伴う一時的な費用
-
金融損益の悪化
つまり“特殊要因のパンチが強かった”というのが実態です。
本業の国内鉄鋼だけが崩れたわけではなく、
“買収直後ならではのドカッとした負担”が重なった結果ですね。
◆① 売上高:10兆円(据え置き)
「まず売上ですが、今回の下方修正でも 10兆円で据え置き です。
背景は明確で、
👉 USスチール買収のフル寄与で、売上はブレにくい。
鉄鋼市況が弱くても、
ただ単純に “連結範囲が増えた” ので売上は強いままです。」
◆② 「営業利益に相当する”事業利益”」:4800億 → 4500億(▲6.3%)
「今回のメインはここ、“事業利益の下方修正”です。
会社は 4800億 → 4500億 と、
300億円の下振れ を発表しました(2025/11/5)。
理由は2つです:
✔ 理由①:米国市況が弱く、USスチールの利益見通しを下方修正
資料でも明確に
👉 「米国市場の不透明感を踏まえた USスチールの業績見直し」
と書かれています。
自動車向け需要の弱さなどが影響し、
USスチール側の利益が想定より落ちる見通しになったため、
その分だけ事業利益を減額しています。
✔ 理由②:コスト削減は進んだが、市況の悪化を吸収しきれず
会社はコスト改善を続けていますが、
米国の下振れが大きく、
改善よりも悪化がおおきかった という状況です。
要するに今回の事業利益の下方修正は
“ほぼUSスチール側の下振れ分”
と理解するのが一番正しいです。」
◆③ 経常利益:会社は“そもそも開示していない”指標
『会社は経常利益という指標は出していませんが、
今回の下方修正の中心は事業利益(営業利益相当)の見直しです』
◆④ 最終利益(親会社株主に帰属する当期利益)
▲400億 → ▲600億(赤字拡大)
「そして最終利益は ▲400億 → ▲600億 へと、
200億円の赤字拡大 となりました。
理由は:
✔ 理由①:USスチールの業績悪化(アメリカ要因)
事業利益と同じく、
USスチールの利益見通し引き下げ が最終利益まで波及。
✔ 理由②:ブラジル・ウジミナス売却に伴う“事業再編損”の計上
資料にハッキリ書かれています:
「Usiminas社の当社持分譲渡に伴う事業再編損の計上等」
(業績修正資料より)日本製鉄業績修正
これが最終利益をさらに押し下げた“特別損失”になります。
つまり今回の赤字拡大の本質は、
“アメリカの業績下振れ”+“ブラジルの一時損”
という 海外要因のWパンチ です。
本業の国内製鉄が崩れて赤字になったわけではありません。」
…ということで、ここまでが今期の通期予想と、
11月時点で発表された下方修正の中身でした。
数字だけ見ると
『売上は10兆だけど、利益は弱いし最終赤字だし、大丈夫なの?』
と不安になるところなんですが、
ポイントは “今期はUSスチール買収や事業再編のコストが一気に乗っている特殊な年度” だという点です。
むしろ大事なのは、
“この負担を乗り越えた先に、日本製鉄はどんな姿を目指しているのか?”
というところなんですよね。
そこで押さえておきたいのが、
この決算発表のあと、**12月12日に公表された『2030中長期経営計画』**です。
この中長期計画では、
-
2030年度に 実力利益1兆円以上
-
将来は 粗鋼能力1億トン超
-
海外ではUSスチールやインド事業を軸に成長
-
そして 配当下限24円を5年間約束
といった形で、
“今の赤字を踏まえたうえで、ここからどう立て直していくのか” が具体的に示されています。
つまり、
今期:買収コストが重くて一時的に数字が歪んでいる年
中長期:その投資を回収して、どこまで利益と株主還元を伸ばすかの勝負
という構図なんですね。
ここからは、その 12月12日に発表された中長期経営計画 をもとに、
日本製鉄が
『2030年にどんな会社になっているイメージなのか?』
『海外とGX、そして配当をどうしていくのか?』
このあたりを順番に見ていきたいと思います。
「2030中長期経営計画」ポイント
■ 1. 計画の基本方針
まず、日本製鉄が今回どんな方向性を示したのか、サクッと押さえておきましょう。
日本製鉄はですね、“世界 No.1 の鉄鋼メーカーにもう一度返り咲く”っていう、かなり大きな中長期計画を打ち出してきました。
鉄鋼業界って、新興国とかアメリカでは需要が伸びてる一方で、中国の過剰供給がずーっと続いていて、正直かなり厳しい環境なんですよ。
そんな中でも、日本製鉄はすでに 年間6,000億円超の利益を安定して出せる体制まで仕上げてきていると。
つまり、“外部環境が荒れてても、しっかり利益を出せる強い会社に変わってきてますよ”っていうのが今回の大きなメッセージなんですね。
■ 2. 2030年度の財務目標と長期ビジョン
続いて、じゃあ日本製鉄は“どこを目指していくのか?”というゴールの部分ですね。
ここがまたインパクト大きいんですよ。
まず、2030年度の目標として掲げているのが “連結実力利益で1兆円以上”。
はい、いきなりケタが大きい(笑)。
でも会社としては、“本気で1兆円稼げる体質にするんだ”という強いメッセージを出してきています。
さらに ROEは10%程度、そして翌年度以降は 10%超を狙うと。
これは株主価値の指標としても分かりやすくて、投資家からするとかなり前向きな数字なんですよね。
財務面では D/Eレシオを0.7程度、D/EBITDAを3.5以下に抑えていくということで、借金に頼りすぎない健全な体制をキープする方針をしっかり示しています。
で、もう一つ注目なのがこれ。
“粗鋼の生産能力を2031年度以降に1億トン以上へ”。
これ、ざっくりいうと“世界トップレベルの規模に戻すぞ”っていう宣言なんですよ。
もちろんすぐにできる話じゃないんですが、長期で見たときの成長イメージがかなりクリアになります。
■ 3. 国内事業:収益基盤の強化
じゃあ次は、日本製鉄の“国内でどう戦っていくのか?”という話です。
結論から言うと、日本製鉄は 国内の体制をもっとスリムで強い形に作り直していきますよという方向性なんですね。
まず大事なのが コスト競争力の底上げ。
鉄鋼って、巨大なプラントをどう組み合わせるかでコストがガラッと変わるので、設備の“最適配置”ってむちゃくちゃ重要なんですよ。
そのために、鹿島を含めた国内設備の休止や再編を進めていく、という表現で会社も説明しています。
そして国内市場では、自動車とか建設、エネルギーなど、需要がまだしっかりある分野に対して、
・自動車なら NSafe(日本製鉄が**自動車メーカー向けに提供している“鉄鋼ソリューションの総称”**です。)
・インフラなら ProStruct(橋・ビル・トンネル・道路・港湾などの“インフラ向け”に特化した日本製鉄のソリューションブランド)
といった 高機能の商品やソリューションをセットで提案していくスタイルにシフトしていきます。
“鉄を売る”だけじゃなくて“鉄を使った価値を売る”っていう方向性ですね。
さらに、電磁鋼板の増産や中山製鋼との協業など、国内での供給力と対応力も強化していく。
つまり、日本の中で取りこぼしを出さないように、しっかり取りにいくぞ、という戦略です。
国内は人口減で市場自体は縮んでいくんですが、その中でも **“勝てる分野に集中して利益体質を固める”**というのが日本製鉄の狙いになってきます。
■ 4. 海外事業:グローバル成長戦略の加速
日本製鉄の成長戦略の“本丸”とも言えるのが、この 海外事業の強化です。
国内市場は人口も需要も減っていくので、“海外でどれだけ稼げるか”が超重要なんですね。
まず一番注目なのが アメリカ。
日本製鉄は USスチール を買収して、アメリカのど真ん中に“鉄の巨大拠点”を手に入れました。
で、ここに 2028年末までに110億ドルの投資をぶち込みます。
もうケタ違いの本気度です(笑)。
技術も品質管理も日本製鉄のノウハウを入れ込んで、
“アメリカで一番強い高級鋼メーカーに育てるぞ”という方向ですね。
次に インド。
世界で一番鉄が伸びている国ですから、ここを押さえない手はない。
AM/NS India という合弁企業の、ハジラ製鉄所の能力増強に加えて、
南部に新しい一貫製鉄所まで建てます。
これはもう“インド市場のど真ん中を取りに行く”戦略です。
そして タイ。
東南アジアでもとくに需要が伸びている、鉄鋼の超重要マーケット。
日本製鉄はすでに タイの鉄の基礎素材を大量に作る工場のG Steel(ジー・スチール) / G J Steel(ジー・ジェイ・スチール)や 自動車メーカーがよく使う“高品質な鋼板”工場NS-SUS(エヌエス・サイアムユナイテッドスチール)を通じて約30%のシェアを持っていますが、
ここからさらに 鉄源から最終製品まで一貫で強いサプライチェーンを作っていく方針です。
“インサイダーとして市場を抑える”っていう感じですね。
つまり日本製鉄が何をしているかというと…
“国内で効率化、海外で一気にスケールアップ”
この二段構えで、世界No.1の鉄鋼メーカーに返り咲こうとしているわけです。
■ 5. GX(グリーントランスフォーメーション)
日本製鉄の中長期計画で、実はめちゃくちゃ重要なのが GX=グリーントランスフォーメーション のパートです。
要するに、“鉄を作るときのCO₂をどう減らすか”っていう、避けて通れないテーマですね。
鉄鋼業って世界全体のCO₂排出のかなり大きな割合を占めてるので、ここを変えられるかどうかは企業価値に直結します。
日本製鉄が何をやるのかというと、大きく3つです。
まずひとつ目。
2030年までに大型電炉を国内で導入する、という目標をはっきり示しています。
電炉は高炉に比べてCO₂排出が少ないので、「環境対応しながら鉄を作る仕組みを増やしていくよ」という方向性ですね。
2つ目。
“GXスチール市場”をちゃんと整えていく、ということ。
これどういう意味かというと、
「CO₂の少ない鉄をちゃんと価値として評価してもらう仕組みを国際的に作っていく」
ということなんですよ。
日本製鉄だけじゃなく、政府とか大学とかいろんなところと連携して、
“グリーンスチールってこう扱うべきだよね”というルールづくりにも関わっていくわけです。
そして3つ目。
2050年のカーボンニュートラルに向けて、革新的な技術を本気で開発していく。
たとえば水素還元製鉄とか、CO₂を極端に減らす次世代技術ですね。
これはもう「一朝一夕じゃできないけど、今からやらないと未来がない」という超長期テーマです
■ 6. 経営基盤強化(技術・DX・人材)
ここまで海外戦略とかGXとかいろいろ話してきましたが、
実は日本製鉄が一番大事にしているのが、この “経営基盤の強化” というパートなんです。
なぜかというと、
どれだけ大きな投資をしても、
どれだけ環境対応を進めても、
“足腰” が弱いと全部が中途半端になっちゃうんですよね。
その足腰を作るのが、この3つの取り組みです。
🧪 ① 最先端技術の開発を続ける
まずは 技術力の底上げ。
高級鋼を作る技術、安定生産の技術、コストを下げるプロセス改善、
そしてカーボンニュートラルに向けた新技術まで、
ここに継続的に研究リソースを投入していくと明言しています。
特に今後は USスチールとも連携して研究体制をグローバル化。
アメリカの現場と日本の技術が組み合わさると、技術開発のスピードが一気に上がります。
💻 ② DXで業務を刷新して効率化
次に DX(デジタル化)による効率化。
これは単にデジタルツールを入れるという話じゃなくて、
“生産性の低い仕事はどんどん自動化して、
人は付加価値の高い仕事に集中できるようにする”
という考え方です。
生産性を上げながら、技術力や営業力も強化するという
“いいとこ取り” を狙っています。
👥 ③ 人材競争力を高める
そして3つ目が 人材育成。
グローバル化を進める以上、海外で戦える人材が必須なので、
海外派遣を含めた育成を強化。
さらに育児支援なども整えて、
社員が働きながらしっかり力を発揮できる環境も整えていく、という方向です。
つまり、日本製鉄は
“設備や技術だけじゃなく、そこで働く人の力を最大化する”
というところまでしっかり見据えているわけです。
■ 7. 財務戦略と株主還元
最後に、みんなが一番気になる “お金の話” いきましょう。
日本製鉄がこの先どうやってお金を使って、どうやって株主に返してくれるのか?
ここ、超重要です。
💰 ① 今後5年間で “6兆円” 投資します
まず、日本製鉄は
今後5年間で総額6兆円の投資 をぶっ込むと言っています。
規模がデカすぎて一瞬現実感ないですが(笑)、
これは国内外の設備投資、USスチールへの超大型投資など、
“将来の稼ぐ力を一気に伸ばすための投資” です。
言い換えると、
「攻めの投資で、世界で勝てる体制をつくる」
ということなんですね。
📈 ② 2030年度の収益・財務目標
先に説明したように、
-
実力利益1兆円以上
-
ROE10%程度
-
健全な財務バランス
こういった中長期の目標を達成するためにも、
この投資が土台になります。
🎁 ③ 株主還元:配当性向30%は継続、さらに“下限配当”を導入!
そして株主にとって大事なのがここ。
日本製鉄は、これまでの「配当性向30%目安」はそのまま継続。
さらに今回、配当に “下限” を設けました。
👉 年間配当の下限は 24円
👉 期間は 2026〜2030年度(2027〜2031年3月期) の5年間
これがめちゃくちゃ大きい。
なぜかというと…
“最低でも24円は必ず出しますよ”
と会社が公式に約束したということだからです。
鉄鋼株は景気敏感で利益が上下しやすいんですが、
下限配当があることで 配当の予見性が一気に高まる。
つまり、
「景気が悪くても一定額は絶対もらえる安心感」
これが株主側のメリットですね。
◆今回の解説のまとめ
-
① 今期の赤字は“事業悪化”ではなく、USスチール買収に伴う一時コストが中心
まず今回の赤字ですけど、これは“事業が崩れた”っていう話じゃないんですよ。
USスチールを買った直後に出てくる 一時コスト がドンと乗っただけで、
いわば“引っ越し費用みたいなもん”。
数字のインパクトは大きいけど、本質は短期的な会計負担なんです。 -
② 下方修正の主要因は「USスチールの見通し悪化」と「ウジミナス売却損」という海外要因
じゃあ下方修正の理由は何かというと、
これも 国内ではなく海外が主役。
USスチールの業績見通しを下げたのと、
ブラジルのウジミナス売却で 一時損失 が出たのが大きい。
つまり、赤字の原因は“海外要因のダブルパンチ”で、
日本の本業が弱ったわけじゃないんですよね。 -
③ 売上10兆円は買収効果でブレにくく、短期の利益ブレと長期の成長戦略を切り分けて考える必要がある
売上10兆円は据え置きで強いままなのもポイント。
これは鉄鋼市況が爆上げしたんじゃなくて、
買収効果がフルで乗るからブレにくいってことなんです。
だから短期の利益ブレと、長期の成長ストーリーは
ちゃんと切り離して見る必要があります。 -
④ 12月12日に発表された中長期経営計画が“短期の赤字をどう成長に変えていくか”の答えになっている
そして一番大事なのがここ。
12月12日に発表された 中長期経営計画 が、
この短期の赤字を“どう未来の成長につなげるか”を示してるんですよ。粗鋼1億トン、実力利益1兆円、
海外戦略、GX 投資、配当下限24円──。“今の痛みは、未来を取りに行くための前向きなコストだ”
というのが会社のメッセージなんです。
今後も別の個別株も解説していきますので、ひとつの参考にしてみてください(^^)

