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【2026年3月期】通信3社の決算を徹底比較|NTT・KDDI・ソフトバンク

※本記事には広告(PR)を含みます。

2026年5月、高配当株投資家から常に注目を集める通信大手3社(NTT・KDDI・ソフトバンク)の2026年3月期(2025年度)決算が出揃いました。

共通点は「いずれも売上高は前期比プラスで、過去最高水準の業績」となった点です。一方で、利益面・株主還元・新しい中期経営計画の方向性を読み解くと、3社のカラーは明確に分かれます。

本記事では、各社が公表した決算短信および中期経営計画に基づき、業績・配当・自社株買い・新中計を客観的に比較・整理します。数値はすべて各社の決算短信原本(2026年5月8日〜12日発表分)を出典としています。

この記事でわかること

  • 通信3社の2026年3月期決算の実績と来期予想
  • 3社の株主還元(配当・自社株買い・連続増配年数)の違い
  • NTT・KDDI・ソフトバンクが発表した新中期経営計画の方向性
  • 高配当株として通信3社をどう比較するか

目次

1. 通信3社の決算ハイライト一覧(比較表)

まずは、3社の業績全体像を確認します。NTTのみIFRSベースで「営業収益」、KDDIとソフトバンクは「売上高」と表記されますが、いずれも一般的な売上に相当します。

2026年3月期(2025年度)決算実績

項目 NTT(9432) KDDI(9433) ソフトバンク(9434)
売上高(営業収益) 14兆4,091億円
(前期比+5.1%)
6兆719億円
(前期比+4.1%)
7兆387億円
(前期比+7.6%)
営業利益 1兆7,062億円
(前期比+3.4%)
1兆991億円
(前期比+1.1%)
1兆426億円
(前期比+5.4%)
当期純利益
(親会社帰属)
1兆370億円
(前期比+3.7%)
7,071億円
(前期比+7.9%)
5,508億円
(前期比+4.7%)

※出典:各社2026年3月期決算短信P1

2027年3月期(2026年度)来期予想

項目 NTT KDDI ソフトバンク
売上高 15兆600億円
(+4.5%)
6兆4,100億円
(+5.6%)
7兆5,000億円
(+6.6%)
営業利益 1兆7,100億円
(+0.2%)
調整後
1兆2,100億円
1兆1,000億円
(+5.5%)
当期純利益 9,800億円
(▲5.5%)
調整後
7,310億円
5,600億円
(+1.7%)

※KDDIは2027年3月期から、減損損失等の一過性要因を除外した「調整後利益」を主要経営指標として開示しています。

3社業績のポイント

表をご覧いただくとわかる通り、3社すべて売上高は前期比でプラス成長となりました。利益面でも3社とも増益で、全体としては好調と言える決算です。

  • NTT:営業収益で過去最高を更新。営業利益・当期利益も増益となりました。ただし、来期は当期利益で▲5.5%の減益見通しを公表しており、先行投資負担が利益を圧迫する局面に入る点には注意が必要です。
  • KDDI:売上高・営業利益・当期利益のすべてが過去最高水準を更新。当期利益は前期比+7.9%と高い伸びを示しました。なお、決算資料では一過性要因(後述)の影響を除いた「事業成長ベース」での比較が併記されています。
  • ソフトバンク:売上高は前期比+7.6%で過去最高を更新。営業利益は1兆426億円となり、ソフトバンクが上場以来初めて1兆円の大台を突破しました。当期利益も過去最高水準です。

次章からは、各社の決算内容と新中期経営計画を個別に整理します。

2. NTT(9432)2026年3月期決算

NTTの2026年3月期決算は、売上・利益とも過去最高水準を維持しつつ、同時発表された中期経営戦略の見直しによって「事業ポートフォリオの大転換」が改めて鮮明になった内容でした。

業績ハイライト(増収増益、利益率は安定)

営業収益(一般的な企業の売上高に相当)は14兆4,091億円(前期比+5.1%)と、過去最高を更新しました。営業利益は1兆7,062億円(前期比+3.4%)、当社に帰属する当期利益は1兆370億円(前期比+3.7%)となり、それぞれ前期からプラス成長です。

営業利益率は11.8%(前期12.0%)、当期利益率は4.1%(前期5.2%)とほぼ前年並みで、事業規模拡大に伴って利益も着実に積み上がっています。

セグメント別の明暗

セグメント別に見ると、グループ内での収益源の入れ替わりが進んでいます。

  • 総合ICT事業(NTTドコモ等、国内通信中核):競争激化で減益基調
  • グローバル・ソリューション事業(NTTデータ、海外データセンター等):大型案件獲得とデータセンター事業の拡大によって大きく利益貢献
  • 地域通信事業(NTT東日本・西日本):堅調

国内通信の伸び悩みを、海外ITサービスとデータセンター事業がカバーする構造が決算でも確認できました。データセンターの総受電容量はおよそ2,000MWで国内1位・世界3位とされており、2030年度までに3,000MWへ拡張する計画が公表されています。

来期予想:先行投資局面で当期利益▲5.5%減益見通し

2027年3月期(来期)の業績予想は、営業収益15兆600億円(+4.5%)、営業利益1兆7,100億円(+0.2%)、当社に帰属する当期利益9,800億円(▲5.5%)です。

増収・営業利益微増を維持する一方、当期利益では減益見通しが示されました。AI・データセンターを軸とする次世代インフラへの巨額の先行投資を優先する姿勢の表れと考えられます。

配当:16期連続増配+2,000億円の自社株買い

株主還元への姿勢は引き続き強気です。年間配当金は2025年度5.30円→2026年度予想5.40円と増配される予定で、これで16期連続の増配となります(NTT説明資料P11)。配当性向は42.0%→44.6%へ上昇予定です。

あわせて、上限2,000億円(取得株式数の上限14億株)の自己株式取得枠を設定(取得期間2026年5月11日〜2027年3月31日、出典:NTT決算短信P26)。配当と自社株買いを組み合わせた継続的な株主還元方針が改めて示されました。

中期計画の見直し:「2027年度EBITDA 4兆円」目標を2030年度に先送り

今回の決算発表で市場の注目を集めたのが、中期経営戦略の数値目標見直しです。

NTTはこれまで「2027年度に連結EBITDA 4兆円」という財務目標を掲げていましたが、今回これを2030年度に達成時期を変更することが明らかにされました(出典:NTT中期経営戦略資料)。あわせて、ROIC(金融除く)は2025年度5.0%→2030年度5.5%を目標とする方針です。

背景として、既存通信ビジネスの収益環境が厳しいことや、AI・データセンター・金融への巨額の先行投資が必要になっている点が説明されています。市場目線では「事実上の下方修正」と受け止める向きもあり、長期投資家としては慎重に評価しておきたいポイントです。

非通信領域の強化:住信SBIネット銀行とNTTデータ完全子会社化

通信分野の成長鈍化を踏まえ、NTTは非通信領域(バリュー分野)への投資を急ピッチで進めています。

  • 住信SBIネット銀行を連結子会社化:2025年10月に連結子会社化を完了。本公開買付けは2025年7月10日に成立し、対象者株式1,826億円を取得。非支配持分等を含む取得対価は合計4,200億円(出典:NTT決算短信P25)
  • NTTデータグループを完全子会社化:2025年5月に公開買付けを開始し、2025年9月に完全子会社化を完了。総取得対価は約2兆3,683億円規模(売渡対価ベース)

これらの結果、連結ベースの総資産は2024年度末の30兆円から2025年度末は約46.7兆円まで膨張しました(決算短信P1)。通信会社の枠を超えて「データセンター+金融+AIインフラ」を主軸とする会社へと、事業構造を急速に転換させている段階にあると言えます。

3. KDDI(9433)2026年3月期決算

KDDIの2026年3月期決算は、堅調な本業の成長と、投資家にとって極めてポジティブな大型還元策が同時に発表された内容となりました。

業績ハイライト(売上・利益とも過去最高水準)

売上高は6兆719億円(前期比+4.1%)、営業利益は1兆991億円(前期比+1.1%)、親会社の所有者に帰属する当期利益は7,071億円(前期比+7.9%)となりました(出典:KDDI決算短信P1)。

営業利益率は18.1%、当期利益率は14.0%と高水準を維持しており、安定したキャッシュ創出力が改めて確認できる決算です。

一過性要因と「事業成長ベース」の実力値

今回の決算では、以下の一過性要因が業績に含まれている点が説明されています。

  • 子会社ビッグローブにおける架空循環取引に伴う外部流出額:171億円
  • 契約コストの減損(営業利益ベース):482億円

これら一過性要因を除いた「事業成長ベース」では、KDDIは営業利益・当期利益ともにより大きな伸びを示しており、本業の収益力は引き続き堅調と評価できる内容です。来期からは「調整後利益」を主要指標として開示する方針で、投資家にとっては企業本来の成長力を把握しやすくなる変更です。

セグメント別の状況

セグメント 2025年3月期 利益 2026年3月期 利益 増減
パーソナル 8,463億円 8,283億円 ▲2.1%
ビジネス 2,353億円 2,639億円 +12.2%

※KDDI決算短信P36(百万円→億円換算)

個人向けの「パーソナルセグメント」はモバイル通信料収入の伸び悩みや一過性要因により小幅な減益。一方、法人向けのDX支援やIoT回線、データセンター事業を中心とする「ビジネスセグメント」は二桁の増益となり、全体の業績を牽引しました。

来期予想と「調整後利益」開示への変更

2027年3月期からKDDIは、IFRSベースの利益とは別に「調整後営業利益」「調整後当期利益」を主要経営指標として開示する方針に変更しました。

来期予想は、調整後営業利益1兆2,100億円、調整後当期利益7,310億円(出典:中期経営計画資料)。本業の実力値での着実な増益を見込んだ内容です。

配当:24期連続増配の長期記録を更新

配当については、年間配当金80円(2026年3月期、株式分割後ベース)から84円(2027年3月期予想)へ4円増配を発表しました。これにより、連続増配記録は24期に達し、来期は25期目を視野に入れる長期増配銘柄です(KDDI中期経営計画P26)。

方針としては、次の3ヶ年について「調整後当期利益に対する連結配当性向40%超を維持」と明記されています(KDDI決算短信P6)。連続増配の継続性を裏付ける、明確なコミットメントです。

大型の自社株買い・自己株式消却・公開買付け

株主還元では、配当と並んで自社株買い周りでも大きな動きが発表されました。

  • 自己株式取得:総額3,000億円を上限に決議(取得期間2026年5月13日〜2027年1月31日)。うち2,500億円は公開買付け、残りは市場買付けによって取得予定
  • 公開買付価格:1株2,325円、上限107,526,800株。京セラおよびトヨタ自動車が保有するKDDI株を主な取得対象とし、政策保有株式の解消を後押しする内容
  • 自己株式の消却:180,396,507株(発行済株式総数の4.31%)を2026年5月29日に消却予定。消却後の自己株式比率は5.00%まで縮小

自己株式の消却は1株当たりの価値を高めることに直結するため、長期保有株主にとってメリットが大きい施策と評価できます。

新中期経営計画「Power-to-Connect 2028」

新たに発表された中期経営計画は「Power-to-Connect 2028」(対象期間2027年3月期〜2029年3月期の3年間)です。主要なポイントは以下の通りです。

  • 連結営業利益CAGR(年平均成長率)5.0%を目標
  • 事業区分を「テレコムコア」「パーソナルグロース」「ビジネスグロース」の3区分に再編。後者2つはCAGR二桁成長を見込む
  • 3年間で1兆2,000億円のインフラ投資(基地局・AIデータセンター・海底ケーブル・衛星)と、3,000億円のデータセンター/サイバーセキュリティ投資を計画
  • 傘下の金融持株会社auフィナンシャルホールディングス(auFH)の東証プライム市場への上場検討を正式に公表

auフィナンシャルHDの上場は、業界初の「通信会社系金融子会社のプライム上場」となる動きで、独自の資金調達手段の確保と、PayPay経済圏(ソフトバンク)や楽天経済圏に対抗する金融プラットフォームの拡大を狙ったものとみられます。

4. ソフトバンク(9434)2026年3月期決算

ここで取り上げる「ソフトバンク」は、親会社のソフトバンクグループ(9984)ではなく、国内通信会社のソフトバンク株式会社(9434)です。投資判断の際は混同しないようご注意ください。

業績ハイライト(営業利益、初の1兆円超え)

売上高は7兆387億円(前期比+7.6%)、営業利益は1兆426億円(前期比+5.4%)、親会社の所有者に帰属する当期利益は5,508億円(前期比+4.7%)でした(出典:ソフトバンク決算短信P1)。

ここで特筆すべきは、長年掲げてきた「営業利益1兆円」という目標を、上場以来初めて達成した点です。3期連続で期初の経営計画を上回って着地したと公表されており(出典:決算説明資料)、計画達成力の高さも改めて確認できる決算となりました。

当期利益(親会社・非支配持分合計)は7,266億円(+10.9%)、ROEは19.3%(前期20.5%)と引き続き高水準です。

セグメント別:全セグメントで増益

セグメント セグメント利益 前期比
コンシューマ(個人向け通信) 5,508億円 +3.8%
エンタープライズ(法人向け) 1,924億円 +13.0%
流通 353億円 +15.9%
メディア・EC(LINEヤフー等) 2,404億円 ▲7.1%
ファイナンス(PayPay等) 863億円 +107.1%

※ソフトバンク決算短信より

とくにファイナンス事業(PayPay等)は前期比+107.1%とほぼ倍増し、利益貢献の柱として急成長しています。エンタープライズ事業(法人向け)も+13.0%の二桁成長で、もはや単なる「携帯電話会社」ではなく、通信・金融・AI・データの複合企業へと姿を変えつつあります。

来期予想と中期計画「Activate AI for Society」

2027年3月期の業績予想は、売上高7兆5,000億円、営業利益1兆1,000億円(+5.5%)、当期利益5,600億円(+1.7%)。引き続き全セグメントで増益を見込みます。

同時に、ソフトバンクは2027年3月期から2031年3月期までを対象期間とする新中期経営計画を発表しました。この中では、「AIの社会実装」を中核に据えた成長戦略「Activate AI for Society」を掲げており、極めて野心的な目標が示されました。

  • 2031年3月期(2030年度)に連結営業利益1兆7,000億円を目標(決算短信P9より)
  • 営業利益のCAGR(年平均成長率)目標はおよそ10%水準(同期間の利益目標から逆算)
  • キャピタル・アロケーション(3年累計、PayPay除く)は、営業CF 3.4兆円を主要通信設備投資1.5兆円、株主還元1.3兆円、戦略枠1.0兆円等に配分する計画(出典:中期経営計画資料)
  • 戦略枠1.0兆円には、AI追加投資・M&A・自社株買い余地を組み込む構造(出典:中期経営計画資料)

具体的な成長ドライバーとして、AIデータセンター・GPU・ソブリンクラウドへの設備投資、PayPayを核としたファイナンス事業の伸長、LINEヤフーを通じたメディア・EC事業の拡大が挙げられています。

配当:5期連続8.60円からの増配+方針表現の見直し

株主還元については、5期連続で1株当たり年8.60円を維持してきた配当が、2026年度(2027年3月期)予想で8.80円へと引き上げられます(株式分割考慮後、出典:ソフトバンク決算短信P2)。配当性向は75.8%→76.2%の見込みです。

注目すべきは、これまで投資家の間で広く知られていた「配当性向85%程度を目安」という表現が、新中期経営計画の資料からは確認できなくなった点です。新中計では「2026〜2030年度は継続的に増配を目指す」と表現が変更されており、純利益6,000億円で配当9円、7,000億円で配当10円という目線が示されています。

これは「株主還元を減らす」というメッセージではなく、AIインフラへの戦略投資余力を確保しつつ、配当成長と自社株買いも含めた柔軟な総還元設計へ移行したとみることができます。今後の配当見通しを判断するうえでは、配当性向だけでなく「総還元(配当+自社株買い)」と「純利益水準」の組み合わせで見ていく必要があります。

5. 株主還元の3社比較

高配当株投資家にとって最大の関心事である株主還元を、3社並べて比較してみます。

配当の推移(直近2期+来期予想)

年度 NTT(9432) KDDI(9433) ソフトバンク(9434)
2025年3月期(前期) 5.20円 145.00円
※株式分割前
8.60円
※株式分割考慮後
2026年3月期(実績) 5.30円 80.00円
※分割後
8.60円
2027年3月期(予想) 5.40円 84.00円 8.80円

※KDDIは2025年4月1日付で1株→2株の株式分割を実施。2025年3月期は分割前の実額表示。
※ソフトバンクは2024年10月1日付で1株→10株の株式分割を実施。分割後ベースで表記。

連続増配年数および増配方針は以下のように整理できます。

  • KDDI:24期連続増配(決算短信および中期経営計画より)。今期で記録更新、来期は25期目に挑む長期増配銘柄
  • NTT:16期連続増配の予定(NTT説明資料P11)。減配ゼロの安定運用が継続中
  • ソフトバンク:5期連続で年8.60円を維持した後、来期に8.80円へ増配方針。「継続的増配を目指す」と新中計で表現を整理

自社株買いの比較

項目 NTT KDDI ソフトバンク
新規取得枠(金額上限) 2,000億円 3,000億円 今回の決算発表で大型の自社株買い枠決議は確認できず
取得上限株式数 14億株 —(公開買付け2,325円、上限約1億750万株)
取得期間 2026/5/11〜2027/3/31 2026/5/13〜2027/1/31
自己株式消却の発表 180,396,507株
(発行済株式の4.31%)

KDDIの自己株式消却4.31%は、既存株主にとって直接的なEPS押し上げ効果を持つ施策で、本決算における最も大きな還元サプライズと言えます。また、京セラとトヨタ自動車が保有するKDDI株式を公開買付け(1株2,325円)で取得することで、政策保有株式の整理も同時に進めている点が特徴的です。

配当性向の方針

  • NTT:明確な数値目標は掲げていないが、配当性向はおおむね40%台前半で安定推移(2025年度42.0%、2026年度予想44.6%)。「継続的な増配を基本方針」(説明資料P27)
  • KDDI「次期以降の3ヶ年は、調整後当期利益に対する連結配当性向40%超を維持する方針」(決算短信P6)。明文化された数値方針で、累進配当の継続性が裏付けられる
  • ソフトバンク:従来は「配当性向85%目安」が広く知られていたが、新中計資料では当該表現が確認できず、「継続的な増配」「総還元での還元充実」へ表現を変更。純利益水準で配当を考える設計に移行

高配当株視点での整理

株価は日々変動するため、各社の最新利回りは取引時点の数値を確認する必要がありますが、傾向は以下のように整理できます。

  • 現時点の配当利回りを優先するなら、配当性向の水準が高く相対的な利回りも高めに出やすいソフトバンクが比較対象に上がりやすい構造
  • 連続増配の確実性と総還元の厚みを重視するなら、24期連続増配+自己株式消却を伴う還元を打ち出したKDDIが候補
  • 配当の継続性・減配リスクの低さを重視するなら、政府による株式保有が法律で定められ、16期連続増配を維持しているNTTが安心感ある選択肢

※利回りは株価の変動によって日々変わります。実際の投資判断時は、必ず最新の株価で計算してください。

6. 中期経営計画の方向性比較

同じ通信業界のリーディング3社でも、新しい中期経営計画の方向性は明確に分かれます。

3社の中期目標 数値比較

項目 NTT KDDI ソフトバンク
中計の名称・対象期間 中期経営戦略(見直し)/2030年度向け Power-to-Connect 2028(2027年3月期〜2029年3月期) 新中期経営計画(2027年3月期〜2031年3月期)/成長戦略「Activate AI for Society」
主要な財務目標 2030年度 連結EBITDA 4兆円
ROIC(金融除く)5.5%
連結営業利益 CAGR 5.0% 2031年3月期 連結営業利益1兆7,000億円
営業利益CAGR概ね10%水準
株主還元方針 継続的な増配を基本+自社株買い機動的実施 調整後利益ベース 連結配当性向40%超を3年維持
自社株買い・消却の継続
2026〜2030年度は継続的な増配を目指す
注力分野 AI・データセンター、IOWN APN、金融、海外グローバル事業 テレコムコア、パーソナル/ビジネスグロース、auフィナンシャルHD上場検討 AIインフラ、PayPay、LINEヤフー、AI社会実装

NTT:足元を再点検しながらの構造転換

従来の「2027年度EBITDA 4兆円」目標を3年先送りした点は、市場から「事実上の下方修正」と受け止められる側面があります。一方で、その背景には、国内通信の伸び悩みを前提として、データセンター・金融・グローバルITサービスへの戦略シフトを優先する姿勢があります。住信SBIネット銀行の連結子会社化やNTTデータの完全子会社化は、その象徴的な動きと言えます。長期投資家の目線では、「次の収益源を作り終えるまでの過渡期」と整理しておきたい時期です。

KDDI:本業の堅実成長と還元の組み合わせ

「Power-to-Connect 2028」では、連結営業利益CAGR 5.0%という保守的に見える成長目標と、24期連続増配+3,000億円自社株買い+自己株式消却4.31%という大型還元を組み合わせています。これにより、業績の安定感と株主還元の厚みを両立させた、典型的なクオリティ高配当株のスタイルがより鮮明になりました。auフィナンシャルHDの上場検討は、ROE改善の追加ドライバーとなる可能性があります。

ソフトバンク:AIインフラへの大きな投資

2027年3月期から2031年3月期までを対象とする新中期経営計画では、2031年3月期に連結営業利益1兆7,000億円という目標を掲げ、その中核となる成長戦略として「Activate AI for Society」を打ち出しました。営業利益のCAGRはおよそ10%水準と、3社のなかでは最も強気の成長計画です。AIデータセンター、PayPay、LINEヤフーという3つの巨大プラットフォームを束ねて成長を取りに行く戦略で、計画通り進めばキャピタルゲインの余地も大きい設計と言えます。一方、巨額の先行投資を伴う計画である点には、株主としても理解が必要です。

7. 投資家視点まとめ

ここまでの内容を踏まえ、投資スタイル別にどの銘柄が候補になり得るかを整理します。最終的な判断はご自身のリスク許容度や保有期間に応じて検討してください。

連続増配の実績と確実性を重視するなら:KDDI

24期連続増配の長期実績、調整後当期利益ベースで連結配当性向40%超を維持する明文化された方針、自己株式消却4.31%を伴う総還元の厚みは、長期高配当株として極めて魅力的です。本業の利益成長は年率5%程度と派手さはありませんが、安定した配当成長を期待する投資家に適した選択肢と言えます。

配当継続力と事業基盤の安定感を重視するなら:NTT

NTT法によって政府が株式の3分の1超を継続保有することが定められており、社会インフラを支える企業としての安定感は3社のなかで最も高い水準にあります。16期連続増配の実績、減配ゼロの運用実績は、株価変動局面でもポジションを維持しやすい銘柄性です。中期計画の見直しは留意点ですが、長期目線でデータセンター・金融といった次世代収益源の成長を待つ投資スタンスとも整合的です。

成長性と中期的なキャピタルゲインも狙うなら:ソフトバンク

2031年3月期に連結営業利益1兆7,000億円(CAGR概ね10%水準)という強気の中期計画を掲げ、AIインフラ・PayPay・LINEヤフーという成長エンジンを束ねている点は、3社のなかで最も「成長株寄り」と整理できます。インカムゲインの絶対水準は引き続き高めで、加えてAI社会実装の伸長次第ではキャピタルゲインの上振れ余地も期待できます。一方、配当性向の表現方針が見直された点は、純利益水準次第で配当の伸び方が変わる構造であることを意識しておきたい局面です。

📌 NTT・KDDI・ソフトバンク株を購入するには?

通信3社の株式を実際に売買するには、まずネット証券口座が必要です。なかでも松井証券は、株式・先物・投資信託など幅広い投資サービスを取り扱う老舗ネット証券として知られています。1株単位から購入できる「単元未満株」にも対応しており、まずは少額で通信株を試してみたい方にも向いています。

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8. まとめ

2026年3月期決算を通じて、通信3社のキャラクターはより一層鮮明になりました。

  • NTT:通信会社からAI・データセンター・金融を主軸とする次世代インフラ企業へと、時間をかけて事業構造を転換中。中期計画の見直しは留意点だが、配当継続力と社会的安定性は3社で最も高水準
  • KDDI:本業の堅実な利益成長を維持しつつ、24期連続増配・3,000億円自社株買い・自己株式消却4.31%という大型還元を組み合わせ、クオリティ高配当株のスタイルを徹底
  • ソフトバンク:AIインフラ・PayPay・LINEヤフーをエンジンに、2031年3月期営業利益1兆7,000億円というアグレッシブな成長計画を掲げる。配当方針表現の整理は要注目

ご自身の投資目的(安定した配当が欲しいのか、株価の成長余地も狙いたいのか)と、各社の方向性が合致しているかを確認することが、通信株投資を継続するうえでの大切な視点となります。

動画解説はこちら
※本記事の内容をわかりやすく解説したYouTube動画は、近日中にこちらに掲載予定です。

免責事項

本記事は、各社が2026年5月8日〜12日に公表した決算短信、決算説明資料、中期経営計画資料等の公開情報に基づいて作成しています。記載内容は執筆時点での情報であり、正確性や完全性を保証するものではありません。本記事は特定の銘柄の購入・売却を推奨するものではなく、最終的な投資判断は、必ず各社の最新のIR情報をご確認のうえ、自己責任で行ってください。株式投資には元本割れなどのリスクが伴います。

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コロナショック直前の2020年に投資をスタート。リアルタイムで暴落を経験しながら独学で投資の基礎を習得。 現在の運用総額5,000万円超・年間配当収入120万円超を達成。投資信託・ETF・個別株・米国株など100銘柄超に分散投資し、相場の波に強いポートフォリオを構築中。 高配当株の長期保有と新NISAの積立を組み合わせた"2刀流"スタイルで資産形成を実践。保有銘柄の決算・配当・株価をブログで赤裸々公開しています。YouTubeでも投資情報を発信中!

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