円相場が1ドル=162円台に乗せました。日銀が公表する「外国為替市況」によると、2026年7月6日の東京市場17時時点で162.16円。FRB(米連邦準備制度理事会)の統計で1971年からさかのぼると、今回の円安局面より前に162円台をつけたのは1986年12月が最後。実に約39年半ぶりの水準です。
「円の価値が下がっている」「持っている資産が円だけで大丈夫なのか」——そんな不安を感じている方も多いと思います。
でも、あわてて何かを売ったり買ったりする前に、まず「事実」を一次資料で確認し、そのうえで「高配当株投資家として何を見ればいいのか」を整理してみませんか。
実は、「円だけ資産」のリスクへの答えは、日本株の中にもあります。キーワードは「海外売上比率」、そして決算書に書かれている「想定為替レート」です。
この記事は、先日公開した金利記事(長期金利2.77%・約29年ぶり水準に上昇|高配当株はどう向き合うか)の続編です。前回は「金利」、今回は「為替」。どちらも、高配当株投資家にとって避けて通れないテーマを、一次資料ベースでやさしく解説していきます。
1ドル162円台——約39年半ぶりの円安の現在地
日銀のデータで見る足元の円相場
まずは事実の確認からです。数字はすべて公的機関の一次資料に基づいています。
日銀「外国為替市況」によると、2026年7月6日の東京市場の円相場は次のとおりでした。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 7月6日 17時時点 | 1ドル=162.16円 |
| 同日の東京市場レンジ | 161.40円〜162.30円 |
| (参考)7月3日 17時時点 | 1ドル=160.77円 |
出典:日銀「外国為替市況」(2026年7月3日・7月6日)
7月3日の160円台から、翌営業日には162円台へ。1営業日で1円以上円安に振れた計算になります。
「約39年半ぶり」はFRBの統計から
「162円台はどれくらい久しぶりなのか」を確認するには、長期の統計が必要です。
FRBの統計(1971年からのドル円データ)をさかのぼると、今回の円安局面(同統計では2026年6月末から162円台に乗せています)より前に162円台をつけたのは、1986年12月が最後。約39年半ぶりの水準ということになります。1986年12月23日には162.70円という記録が残っています。
なお、記憶に新しい2024年の円安局面では、同じFRB統計での最高値は161.73円(2024年7月10日)。つまり当時も162円には届いておらず、今回の162円台は2024年の円安を超えてきた、ということが統計から読み取れます。
ひとつ補足すると、「162円台(日銀・東京市場)」と「約39年半ぶり(FRB統計)」はデータの出どころが違います。東京市場とニューヨーク市場では計測時点が異なるため、この記事では現在値は日銀、歴史比較はFRB統計、と書き分けています。細かい点ですが、数字を扱うときはデータ源をそろえる・明記するのが基本です。
なぜ円安が進んでいるのか——金利差と構造要因
日米の政策金利差は約2.5%ポイント
円安の背景としてもっともよく語られるのが「日米金利差」です。両国の中央銀行の一次資料で現在の政策金利を確認すると、次のようになります。
| 政策金利 | 出典 | |
|---|---|---|
| 日銀 | 無担保コールレート誘導目標 1.0%程度(2026年6月16日決定、賛成7・反対1) | 日銀公表文 |
| FRB | FF金利誘導目標 3.50〜3.75%(2025年12月11日から。直近3回は利下げ局面) | FRB公式サイト |
単純に差し引くと、日米の政策金利差は約2.5〜2.75%ポイント。日銀が利上げを進め、FRBが利下げを進めて、金利差は縮小方向にあるものの、依然としてドルのほうが金利が高い状態です。
「金利の高い通貨で運用したほうが有利なので、円を売ってドルを買う動きが出やすい」——という構図が、円安のメカニズムとして一般に語られます。
金利差だけではない構造的な要因
もうひとつ、金利差とは別に「構造的な円売り要因」もしばしば指摘されます。たとえば、エネルギーや食料を輸入に頼る日本は、貿易の決済で恒常的に外貨が必要になること。また、企業や個人の海外投資が拡大し、円を外貨に替える流れが続いていること。こうした実需の円売りが円安の下地にある、という見方です。
ここでは具体的な金額には踏み込みませんが、「金利差」と「構造要因」の2つが重なっているのが今の円安の背景、と押さえておけば十分です。
なお、金利と為替は密接につながっています。日銀の利上げの経緯や長期金利の現状については、前編の金利記事で詳しく解説していますので、あわせてお読みください。
ひとつだけ、はっきり書いておきます。この先円安が続くのか、円高に戻るのか、私には分かりませんし、この記事でも予想はしません。為替の予想を当て続けるのは専門家でも困難です。予想ではなく「仕組みを知って備える」のが、この記事のスタンスです。
「円だけ資産」のリスクに、日本株の中で答える——海外売上比率という視点
同じ日本株でも「円で稼ぐ株」と「世界で稼ぐ株」がある
「資産が円だけに偏っているのが不安。外国株や外貨建て資産を持つべきか」——円安局面でよく聞く悩みです。
もちろん外貨建て資産を持つのもひとつの考え方ですが、この記事でお伝えしたいのは、「円だけ資産」のリスクへの答えは、日本株の中にもあるということです。
ポイントは「その会社がどこで稼いでいるか」。同じ東証に上場している日本株でも、中身はまったく違います。
- 円で稼ぐ株:売上のほとんどが国内。電力、食品、小売、鉄道など、生活に身近な内需企業に多いタイプです。
- 世界で稼ぐ株:売上の半分以上が海外。自動車、機械、電子部品、海外展開する商社などに多いタイプです。
海外で稼ぐ企業の利益は、ドルやユーロなど外貨ベースで生まれ、決算のときに円に換算されます。つまり、海外売上比率の高い日本株を持つことは、間接的に外貨建ての稼ぐ力を持つこととも言えます。円建ての株なのに、実質的な中身は「世界で稼ぐ資産」なのです。
「日本株しか持っていない=円だけ資産」とは限らない。ポートフォリオの通貨の偏りを考えるとき、この視点があるだけで見え方が変わってきます。
なぜ外貨の利益が円建ての決算に反映されるのか
仕組みを少しだけ補足します。海外に子会社や事業を持つ企業の連結決算では、海外で生まれた外貨建ての売上や利益を、決算のときに円に換算して合算します。このとき使われるのが期中の為替レートです。
たとえばドル建てで同じ100の利益を稼いだ場合でも、1ドル=140円で換算すれば1万4,000円分、1ドル=160円で換算すれば1万6,000円分と、円建ての決算に載る金額が変わります。現地での稼ぐ力は同じでも、円安になるほど円換算の利益は膨らんで見える——これが「円安が輸出企業・海外展開企業の追い風」と語られる基本的な仕組みです(数字は説明用の単純な例です)。
逆に言えば、円高になれば同じ稼ぐ力でも円換算額は目減りします。海外売上比率の高い株は、この換算の影響を良くも悪くも受けやすい、ということは覚えておきたいポイントです。
高配当株投資家にとっての意味——利益は配当の源泉
そして、高配当株投資家にとってこの話が大事なのは、配当の源泉は利益だからです。
企業が支払う配当は円建てですが、その原資となる利益の一部が海外で生まれているなら、その配当は間接的に「世界で稼いだお金」から支払われていることになります。海外売上比率の高い高配当株を持つことは、円建ての配当というかたちで、世界の稼ぎの分配を受け取ることでもあるのです。
もちろん、為替だけで配当が決まるわけではありません。配当方針、業績全体、財務状況など多くの要因で決まります。ただ、「自分の受け取っている配当のおおもとは、どこで稼がれたお金なのか」という視点は、銘柄を見る解像度を一段上げてくれます。
海外売上比率はどこで確認できるか
海外売上比率は、特別な情報源がなくても確認できます。
- 有価証券報告書・決算短信:セグメント情報の欄に「地域ごとの売上高」が記載されている企業が多くあります。
- 決算説明会資料:投資家向けに、地域別売上の円グラフなどで分かりやすく示している企業もあります。
- 会社四季報:「海外」という項目で海外売上比率の目安が載っています。
保有銘柄について「この会社は円で稼いでいるのか、世界で稼いでいるのか」を一度確認してみるだけでも、自分の資産の実質的な通貨分散が見えてきます。
円安の恩恵と逆風——セクター別の一般的な構図
為替がセクターごとにどう効くのか、一般に語られる構図を整理します。これは「どちらの株を買うべき」という話ではなく、あくまでメカニズムの整理です。
| 立ち位置 | 一般に語られる構図 | 代表的なセクターの例 |
|---|---|---|
| 恩恵側 | 外貨で稼いだ利益の円換算額が膨らむ | 自動車などの輸出企業、海外展開する商社、海外需要を取り込む機械・電線など |
| 逆風側 | 輸入コスト(原材料・燃料・仕入れ)が円建てで膨らむ | 電力・ガス、食品、小売などの内需型 |
| 中間 | 国内で完結するサービスは直接の影響が小さい | 通信、鉄道など |
恩恵側の例としては、世界中で資源やエネルギーのビジネスを手がける総合商社が分かりやすいでしょう。5大商社の稼ぎ方の違いは5大商社の決算・配当比較記事で詳しく整理しています。
また、輸出企業の代表格であるトヨタと、内需の代表格であるNTT・ソフトバンクは、同じ「大型高配当株」でも為替との距離感がまったく違うタイプの例です。この3社の最近の決算と株価水準はトヨタ・NTT・ソフトバンクの3銘柄を整理した記事で扱っています。
海外需要という意味では、AIデータセンター向けの需要を取り込む電線業界も注目されてきました。業界の全体像は電線株4社比較記事にまとめています。この電線各社の決算資料は、次の章の「実例」としても登場します。
一方、逆風側とされる内需株にも、円安に左右されにくい安定した国内収益という持ち味があります。また、輸入コストの上昇分を販売価格に転嫁できるかどうかは企業ごとの価格決定力によって差が出るため、「逆風側のセクター=一律に苦しい」と単純化はできません。恩恵側が良い株・逆風側が悪い株、という話ではありません。自分のポートフォリオがどちらにどれだけ傾いているかを知ることが目的です。
もうひとつ、実際の企業は表のようにきれいに割り切れないことも多い、という点も添えておきます。たとえば「海外に製品を売っているが、原材料は輸入に頼っている」という会社では、円安の恩恵と逆風が社内に同居しています。差し引きでどちらが勝つのかは外からは見えにくい——だからこそ、次の章で紹介する「企業自身の開示」を見にいく価値があるのです。
決算書で見る円安——「想定為替レート」と「為替感応度」
ここからがこの記事の本題です。円安が個別企業にどう効くのかは、ニュースの解説を待たなくても、企業自身が決算資料の中で教えてくれています。見るべきポイントは2つ、「想定為替レート」と「為替感応度」です。
想定為替レートとは——会社の業績予想の「前提」
企業が期初に発表する業績予想(売上高・営業利益などの計画)は、「1ドル=◯円で推移する前提」という為替の仮定を置いて作られています。これが想定為替レートです。多くの企業が決算短信や決算説明会資料に記載しています。
なぜこれが大事かというと、実際の為替が想定からズレると、業績が予想からズレる要因になるからです。
- 実勢が想定より円安:海外で稼ぐ企業では、外貨利益の円換算額が想定より膨らみやすい
- 実勢が想定より円高:逆に、円換算額が想定より目減りしやすい
——という構図が一般に語られます。つまり想定為替レートは、「会社の計画と現実の為替のズレ」を測るモノサシなのです。
電線3社の実例——今期の想定は3社とも1ドル=150円
実際の開示を見てみましょう。電線大手3社の2026年3月期決算資料(決算説明資料・補足資料)には、今期(2027年3月期)の業績予想の前提となる為替レートが記載されています。
| 会社 | 前期実績(平均) | 今期の想定 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 古河電気工業(5801) | 1ドル=151円 | 1ドル=150円 | 決算説明資料 20ページ「26年度予想-要約P/L」 |
| 住友電気工業(5802) | 1ドル=150.67円 | 1ドル=150円(ユーロは170円) | 決算補足資料 13ページ「営業利益の増減益要因」 |
| フジクラ(5803) | 1ドル=150.67円 | 1ドル=150.00円 | 決算説明資料 12ページ「2026年度業績予想の概要」 |
3社とも、今期の想定為替レートは1ドル=150円。前期の実績(150〜151円前後)とほぼ同じ水準を前提に、期初の計画を立てていたことが分かります。
実勢レートとの乖離をどう読むか
ここで足元の実勢レートを思い出してください。162円台(日銀・東京市場7月6日)です。3社が計画の前提に置いた150円と比べると、約12円、円安方向にズレていることになります。
この乖離をどう読むか。一般に語られる構図はこうです。
- 実勢が想定より円安のまま推移すれば、海外で稼ぐ部分の円換算額は計画の前提より膨らみやすい。つまり、期初の計画が結果的に保守的な前提だったことになりやすい
- 逆に、期中に円高へ戻れば、この「上乗せ分」は縮んでいく
大事なのは、これは「だから業績が上振れる」と断定する話ではないことです。為替が期末までどう動くかは誰にも分かりませんし、企業の業績は為替以外の要因(数量、価格、原材料コストなど)でも大きく動きます。実際、住友電気工業の補足資料(13ページ)では、今期の営業利益の増減要因として「数量増加 +1,100億円」「銅・資材他 △220億円」など為替以外の項目が多数並んでおり、その中のひとつとして「為替 △50億円」が示されています。為替はあくまで数ある変動要因のひとつなのです。
それでも、「自分の保有銘柄は何円を前提に計画を立てているのか」「実勢と何円ズレているのか」を知っているだけで、決算発表のニュースの受け止め方が変わります。想定為替レートは、決算シーズンに業績修正の背景を理解するための、シンプルで強力なモノサシです。
想定為替レートを見るときの注意点
便利なモノサシですが、使うときの注意点も3つ挙げておきます。
- 前提の置き方は会社によって違う:あえて保守的な(円高寄りの)前提を置く会社もあれば、足元の実勢に近い前提を置く会社もあります。同じ「想定150円」でも、その会社が例年どんな前提の置き方をするかで意味合いが変わります。過去の期の想定と実績を並べて見ると、その会社のクセが見えてきます。
- 期中に見直されることがある:想定為替レートは期初に固定されたままとは限らず、第2四半期決算などのタイミングで実勢に合わせて修正される場合があります。四半期ごとの決算資料で最新の前提を確認するのが確実です。
- 通期の「平均」との比較であること:想定為替レートは通期の平均レートの前提です。今日の実勢が162円台でも、期の残りで円高に振れれば通期平均は下がります。「今この瞬間の乖離」がそのまま通期の乖離になるわけではない点は、冷静に見ておきたいところです。
為替感応度——「1円動くと利益がいくら動くか」
もうひとつの開示が為替感応度です。企業によっては、「1円の円安(円高)で営業利益が◯億円変動する」という目安を決算説明会資料などで開示しています。
仕組みを、仮の計算例(架空の数字です)で説明します。
【仮の計算例】
A社が「1円の円安で営業利益が10億円増える」という感応度を開示しているとします。
A社の想定為替レートが1ドル=150円で、仮に実勢の152円が1年間続いたとすると、
乖離は2円 × 10億円 = 営業利益が計画より約20億円膨らむ計算になります。
※実際には為替は日々動くため、こんなに単純には計算できません。あくまで「感応度の使い方」のイメージです。
この感応度が分かると、「円安のニュース=なんとなく良さそう/悪そう」ではなく、「自分の銘柄には利益ベースでこれくらいのインパクト」と、規模感を持って受け止められるようになります。
なお、今回確認した電線3社の決算資料には、「1円あたり◯億円」という形の感応度の明示的な記載は見つけられませんでした。ただし、為替が利益に与えた影響額そのものは開示されています。たとえば住友電気工業の補足資料(3ページ)では、前期の営業利益の増減要因として「為替 +70億円」と示されています。興味深いのは、この期の米ドル平均レートは152.62円→150.67円と円高方向だったのに、為替全体ではプラスだったこと。内訳までは開示されていませんが、同じ資料にはユーロの平均レートが163.88円→174.64円と円安方向に動いたことも記載されています。「為替の影響」はドル円だけでは決まらない——そう教えてくれる好例です。
感応度の開示の有無や形式は企業によって異なります。お持ちの銘柄については、各社の決算説明会資料や決算短信で「為替」「感応度」「前提」といった言葉を探してみてください。開示ページを一度見つけてしまえば、次の決算からは定点観測できるようになります。
決算資料を読みながらの銘柄選びには、情報ツールが充実したネット証券の口座があると便利です。
よくある質問(Q&A)
Q1. 円安の恩恵を受ける株は、もう株価が上がってしまって高いのでは?
この記事では、個別の銘柄や水準について「割安・割高」の判断はしません。株価に為替の影響がどこまで織り込まれているかは、誰にも正確には分からないからです。大切なのは水準の当てっこではなく、「自分のポートフォリオが為替に対してどちら向きに、どれくらい傾いているか」を把握しておくことです。そのための道具が、海外売上比率と想定為替レートです。
Q2. この先、円高に戻ったらどうすればいいですか?
為替の先行きは予想しませんし、予想に基づいて売買することもおすすめしません。円高に振れれば、今回の話は逆向きに効きます(海外で稼ぐ企業の円換算利益が目減りしやすく、輸入コスト型の内需企業には追い風になりやすい、という構図です)。だからこそ、恩恵側・逆風側のどちらかに全部を寄せるのではなく、自分の資産がどちらにどれだけ傾いているかを知り、偏りすぎを避けることが「予想しない備え」になります。
Q3. 円安対策として、外国株や外貨建て資産を買ったほうがいいですか?
外貨建て資産を持つことも通貨分散のひとつの方法ですが、この記事の主題はその手前にあります。まず、いま持っている日本株の海外売上比率を確認してみてください。「日本株しか持っていないから円だけ資産だ」と思っていたら、実は保有株の稼ぎの多くが海外由来だった——ということは珍しくありません。現状把握が先、追加の行動はその後です。
Q4. 海外売上比率の高い株ばかり集めれば、円安への備えは万全ですか?
いいえ、それは逆方向への偏りを作ることになります。海外売上比率の高い株に寄せすぎると、今度は円高に振れたときにポートフォリオ全体が同じ向きの逆風を受けやすくなります。為替の先行きは予想できない、というのがこの記事の前提です。「円で稼ぐ株」と「世界で稼ぐ株」のどちらか一方に賭けるのではなく、両方の性質を知ったうえでバランスを意識することが、予想に頼らない備えになります。
Q5. 想定為替レートや為替感応度は、どこで見られますか?
各社の公式サイトのIR(投資家情報)ページにある「決算短信」や「決算説明会資料」で確認できます。業績予想の前提として「為替レート」「換算レート」といった項目を探してみてください。この記事で紹介した電線3社も、説明資料の業績予想ページや補足資料の増減要因ページに記載がありました。
まとめ——為替も「敵」ではなく「モノサシ」に
最後に、この記事のポイントを整理します。
- 円相場は162円台(日銀・東京市場7月6日)。FRBの統計で1971年からさかのぼると、今回の局面より前に162円台をつけたのは1986年12月が最後で、約39年半ぶり
- 背景には日米の政策金利差(約2.5〜2.75%ポイント)と、エネルギー輸入や対外投資といった構造要因がある——という構図が一般に語られる
- 「円だけ資産」への答えは日本株の中にもある。海外売上比率の高い株は、実質的に「世界で稼ぐ資産」
- 円安はセクターによって恩恵にも逆風にもなる。良い悪いではなく、自分のポートフォリオの傾きを知ることが目的
- 決算資料の想定為替レートと実勢の乖離、そして為替感応度が、円安の影響を自分で測るモノサシになる。電線3社の今期想定は3社とも1ドル=150円で、実勢とは約12円の開きがある
前編の金利記事では「金利は『敵』ではなく『モノサシ』」と書きました。為替も同じです。約39年半ぶりという数字はたしかにインパクトがありますが、予想も断定もできない為替を「怖いもの」として眺めるのではなく、想定為替レートや海外売上比率という具体的なモノサシに変えてしまえば、決算書を読む楽しみがひとつ増えます。
金利と為替。2つのモノサシを手に入れた今、あなたの保有銘柄の決算資料を、もう一度開いてみませんか。
免責事項
- 本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いします。
- 為替相場・株価の将来の動向を予想するものではありません。
- 記事中のデータの時点:円相場は日銀「外国為替市況」(2026年7月3日・7月6日)、歴史比較はFRBの統計(1971年〜のドル円データ)、日銀の政策金利は日銀公表文(2026年6月16日)、FRBの政策金利はFRB公式サイト(2026年7月7日確認)、企業の想定為替レート等は各社の2026年3月期決算説明資料・補足資料に基づきます。数値は今後変わる可能性があります。