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日清オイリオ、純利益79%減でも本業は好調?営業利益71%増のカラクリを解説

※本記事は2026年8月12日終値と、日清オイリオグループが2026年8月7日に発表した2027年3月期第1四半期決算を基に作成しています。特定銘柄の売買を推奨するものではありません。

日清オイリオグループ(2602)が、2027年3月期第1四半期決算を発表しました。

売上高は15.4%増、営業利益は70.7%増、経常利益は66.6%増。ところが、親会社株主に帰属する純利益は79.3%減です。

「本業は大幅増益なのに、最終利益は約8割減」という、一見すると話が合わない決算です。

理由は、前年同期に固定資産売却益231億62百万円という大きな一時利益があったためです。油の会社ですが、数字はするっと読み流せません。

今回は、本業の回復、海外油脂事業の利益急増、パーム油取引の評価損益、チョコレート原価高、配当と株主優待の注意点まで、初心者向けに整理します。

結論:純利益の大幅減だけで「悪い決算」とは言えない

  • 売上高1,524億円、営業利益64億円で増収増益
  • 営業利益は70.7%増、経常利益は66.6%増
  • 純利益79.3%減は、前年の固定資産売却益231億62百万円の反動が主因
  • 海外のグローバル油脂・加工油脂事業は営業利益が約5.1倍
  • 国内の油脂・油糧事業も45.1%増益
  • 一方、加工食品・素材事業はチョコレート原価高で34.0%減益
  • 通期予想は据え置き、営業利益190億円を計画
  • 年間配当は60円予想、8月12日終値で利回り約3.06%
  • 2027年3月期の株主優待内容は未決定

日清オイリオは家庭用食用油だけの会社ではない

日清オイリオと聞くと、「日清キャノーラ油」「BOSCO」「MCTオイル」など、スーパーに並ぶ家庭用商品を思い浮かべる方が多いと思います。

しかし、事業は家庭用食用油だけではありません。

  • グローバル油脂・加工油脂:海外でチョコレート用油脂などを製造・販売
  • 油脂・油糧:家庭用、業務用、食品メーカー向けの油脂と大豆・菜種ミール
  • 加工食品・素材:チョコレート、MCT、調味料、大豆素材・食品
  • ファインケミカル:化粧品原料など

今回の利益を大きく押し上げたのは、海外のグローバル油脂・加工油脂事業です。家庭の台所だけでなく、世界の食品メーカーや化粧品メーカーにも製品を供給しています。

第1四半期は営業利益70.7%増

項目 1Q実績 前年同期比
売上高 1,524億1百万円 +15.4%
営業利益 64億26百万円 +70.7%
経常利益 51億76百万円 +66.6%
親会社株主に帰属する四半期純利益 34億39百万円 -79.3%

売上高は前年同期から203億31百万円、営業利益は26億62百万円増加しました。

売上高営業利益率も、前年同期の2.8%から4.2%へ改善しています。売上が増えただけでなく、売上に対して残る本業利益の割合も高まりました。

海外売上高比率は26.1%から31.3%へ上昇。海外事業の拡大が、会社全体の成長を強く支えています。

純利益79.3%減の理由は「前年の臨時収入」

純利益だけが大幅に減った理由は、前年同期に固定資産売却益231億62百万円が計上されていたためです。

これは事業で毎年稼ぐ利益ではなく、土地などの固定資産を売ったことで発生した一時的な利益です。

前年は本業の給料に加えて、不動産を売った大きな臨時収入がありました。今年はその臨時収入がないため、最終的な純利益が小さく見えます。

実際、前年同期の営業利益は37億63百万円、今期は64億26百万円です。本業に近い利益はむしろ大きく増えています。

通期の純利益予想も前期比50.0%減ですが、これも前期に固定資産売却益があった反動を含みます。純利益の増減と営業利益の増減は分けて見る必要があります。

海外油脂事業の営業利益は約5.1倍

グローバル油脂・加工油脂事業は、今回もっとも大きく利益を伸ばした事業です。

項目 1Q実績 前年同期比
売上高 400億85百万円 +44.9%
営業利益 25億35百万円 約5.1倍

中心となったのが、マレーシアのISFグループです。

ISFは「Intercontinental Specialty Fats(インターコンチネンタル・スペシャルティ・ファッツ)」の略で、チョコレート用油脂などを世界の食品メーカーへ販売する日清オイリオの海外グループです。

ISFグループの販売数量は28%増え、チョコレート用油脂の売上高も26%増加しました。円安による為替換算の影響も売上高を押し上げています。

パーム油取引の評価益も利益を押し上げた

海外事業の利益急増には、販売増加だけでなく、パーム油取引の時価評価損益も影響しています。

  • 今期:プラス10.5億円
  • 前年同期:マイナス6.5億円
  • 前年同期との差:プラス17.0億円

時価評価損益とは、保有している取引や契約を、その時点の市場価格で評価したときに生じる利益または損失です。現金が同じ金額だけ直ちに入ってきた、という意味ではありません。

販売数量の増加と粗利単価の改善は好材料です。ただし、海外事業の大幅増益には市況によって変動する評価損益も含まれます。

営業利益が約5.1倍になった数字を、そのまま毎四半期続く成長率と考えないことが大切です。

国内の食用油は値上げと数量増で45.1%増益

油脂・油糧事業も増収増益でした。

項目 1Q実績 前年同期比
売上高 853億95百万円 +7.9%
営業利益 24億76百万円 +45.1%

業務用、加工用、家庭用のいずれも販売数量が増加しました。

家庭用では、アマニ油の販促強化やこめ油の拡販が寄与。クッキングオイルの価格改定も売上高を押し上げました。

油脂コストや物流費は上昇しましたが、販売数量増加、販売価格の上昇、オリーブオイルの原価低下などによって増益となりました。

値上げだけでなく数量も伸びている点は、今回の決算の良かった部分です。

チョコレートは原価高で34.0%減益

加工食品・素材事業は苦戦しました。

項目 1Q実績 前年同期比
売上高 193億63百万円 ほぼ横ばい
営業利益 8億23百万円 -34.0%

国内チョコレートは価格改定によって販売単価が上昇しました。しかし、カカオなどの原価上昇により、1商品を販売したときに残る利益が減少しました。

MCTも販売単価は上昇しましたが、販売数量減少の影響が大きく、減収減益です。

MCTは「中鎖脂肪酸(ちゅうさしぼうさん)」と呼ばれる油で、一般的な油より素早くエネルギーになりやすいことを特徴としています。

油の本体事業では価格改定が利益に結びつきましたが、チョコレートでは原価上昇の追いかけっこが続いています。

化粧品原料も増収増益

ファインケミカル事業は、売上高46億20百万円で23.7%増、営業利益5億61百万円で38.1%増でした。

中国や東南アジアでの需要に加え、国内のクレンジング製品やメイクアップ製品への新規採用が増加しました。価格改定による販売単価上昇も寄与しています。

食用油の会社という印象からは見えにくい事業ですが、化粧品原料も利益成長を支えました。

通期予想は据え置き、営業利益進捗率は33.8%

会社は2026年5月に公表した通期予想を変更していません。

項目 通期予想 前期比 1Q進捗率
売上高 5,900億円 +6.4% 25.8%
営業利益 190億円 +11.6% 33.8%
経常利益 180億円 +12.3% 28.8%
純利益 120億円 -50.0% 28.7%

営業利益の進捗率は33.8%と、単純な4分の1を上回っています。

一方、第1四半期にはパーム油取引の時価評価益が含まれます。会社も予想を据え置いているため、現時点で上方修正を決めつけることはできません。

通期では、グローバル油脂・加工油脂事業の営業利益44.8%増、油脂・油糧事業13.3%増を計画しています。一方、加工食品・素材事業は32.1%減益の予想です。

営業キャッシュフローは37億73百万円のマイナス

利益が増えていても、現金の動きには注意が必要です。

第1四半期の営業キャッシュフローは37億73百万円の支出でした。前年同期の98億47百万円の支出からは改善していますが、まだマイナスです。

売上債権の増加41億41百万円、棚卸資産の増加39億19百万円、法人税等の支払い55億4百万円が現金を減らしました。

第1四半期だけで年間の資金繰りを判断することはできません。ただし、利益だけでなく、売掛金や在庫が現金に変わっていくかも次回以降の確認点です。

年間配当60円、株式分割後も実質据え置き

2027年3月期の年間配当予想は、中間30円、期末30円の合計60円です。

2026年4月1日に1株を3株へ分割したため、前期の年間180円は分割後換算で60円です。したがって、実質的には前期と同額となります。

中期経営計画「Value UpX(バリュー・アップ・エックス)」では、1株当たり60円を配当の下限とし、資産売却などの一時的な利益を除いた連結配当性向40%を目安としています。

株主優待は分割後の内容が未決定

株主優待は注意が必要です。

2026年3月末までは、分割前100株で1,500円相当、200株以上で3,000円相当の自社商品が贈られていました。

しかし、2027年3月31日時点の株主を対象とする制度については、会社が「決定次第改めてお知らせする」としています。

現在の分割後100株に、従来の1,500円相当の優待がそのまま付くとは限りません。このため、現時点では優待を含む総合利回りを計算しません。

8月12日終値の株価とバリュエーション

項目 2026年8月12日時点
終値 1,960円
前日比 +28円(+1.45%)
予想PER 14.9倍
PBR 0.85倍
予想配当利回り 3.06%
最低投資金額 19万6,000円
時価総額 約1,868億円

株式分割によって、100株の最低投資金額は20万円を下回りました。

予想配当利回りは約3.06%です。配当利回り3%台という事実は示せますが、これだけで高配当株と断定するより、60円の配当下限と本業利益の持続性を合わせて確認したいところです。

PBRは1倍を下回っていますが、PBRだけで割安と断定はできません。会社が目標とするROEとROICの改善、海外事業の収益安定化が重要です。

次の決算で確認したい7項目

  1. パーム油取引の評価益を除いても海外事業が増益を続けるか
  2. ISFのチョコレート用油脂の販売数量が伸びるか
  3. 国内食用油の値上げ後も販売数量を維持できるか
  4. チョコレートの原価上昇を価格改定で吸収できるか
  5. MCTの販売数量が回復するか
  6. 営業キャッシュフローがプラスへ改善するか
  7. 分割後の株主優待制度がどう決まるか

まとめ

日清オイリオの第1四半期は、売上高15.4%増、営業利益70.7%増、経常利益66.6%増と、本業面では大幅な増収増益でした。

純利益79.3%減は、前年同期に固定資産売却益231億62百万円があった反動が主因です。本業が約8割減益になったわけではありません。

海外のグローバル油脂・加工油脂事業と国内の油脂・油糧事業が利益を伸ばす一方、加工食品・素材事業はチョコレート原価高で減益となりました。

年間配当は分割後60円、8月12日終値で配当利回りは約3.06%です。ただし、分割後の株主優待制度は未決定のため、従来制度を使った総合利回りは計算できません。

次の決算では、パーム油評価益を除いた海外事業の実力、チョコレートの採算、営業キャッシュフローの改善を並べて確認したいところです。

※本記事は公開資料に基づく情報提供を目的としており、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

主な参照資料

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コロナショック直前の2020年に投資をスタート。リアルタイムで暴落を経験しながら独学で投資の基礎を習得。 現在の運用総額5,000万円超・年間配当収入120万円超を達成。投資信託・ETF・個別株・米国株など100銘柄超に分散投資し、相場の波に強いポートフォリオを構築中。 高配当株の長期保有と新NISAの積立を組み合わせた"2刀流"スタイルで資産形成を実践。保有銘柄の決算・配当・株価をブログで赤裸々公開しています。YouTubeでも投資情報を発信中!

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