こんな方におすすめ
- 安定した収入源を求めている人
- 投資知識の向上をしたい人
- 投資判断の材料が欲しい人
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安定した収入源を求めている人、投資知識の向上をしたい人、投資判断の材料が欲しい人の参考になれば幸いです
Contents
1. 双日(2768)の決算通信簿
① 【稼ぐ力】純利益の実績と「進捗率」
- 実績: 804億円
- 進捗率: 70%(通期目標 1,150億円に対して)
- 詳しく解説:
- 今の立ち位置: 1年間のゴール(1,150億円)に対して、現在7割まで到達しました。一般的に3Q(9ヶ月)終了時点では「75%」が均等進捗の目安とされるため、投資家の視点では「少し足りない?」と感じるかもしれません。
- 70%の意味(会社判断): しかし、会社側は資料の中で**「想定通りの進捗」**と明記しています。これは、配当金の受取や大型案件の収益が年度末の4Q(1月〜3月)に集中する傾向があるため、現時点での70%は計画通りという判断です。
- 中身の質: ガス小売事業の売却益などを含む「一過性の利益」が合計で約171億円含まれています。石炭価格の下落による資源分野の落ち込みを、好調な「非資源分野(後述)」がしっかりとカバーしており、資源頼みではない収益基盤の強さが確認できます。
② 【お財布への還元】配当金と自社株買い
- 配当金: 1株あたり年間 165円(変更なし)
- 自社株買い: 約100億円(2025年7月に完了済み)
- 詳しく解説:
- 安定感の秘密「DOE 4.5%」: 双日は配当の基準として「DOE(自己資本配当率)4.5%」という指標を採用しています。これは、その年の利益だけでなく、企業がこれまでに蓄えてきた「株主資本(資本剰余金や利益剰余金など)」をベースに配当額を決める仕組みです。そのため、一時的に利益が減っても配当がガクンと下がりにくく、非常に安定感があります。
- 大幅な増配: 前期の150円から15円アップ(+10%)の165円を予定しており、株主を大切にする姿勢が鮮明です。
- 自社株買いの完了: 約100億円(約280万株)の買い取りを2025年7月に終えており、その後8月には「消却(株の枠組み自体を消すこと)」も行いました。これにより、1株あたりの価値が実質的に高まっています。
③ 【予想の変化】上方修正の有無
- 修正の有無: 据え置き(変更なし)
- 詳しく解説:
- なぜ上げないのか?: 進捗率は70%と順調ですが、今回の決算では通期目標(1,150億円)を据え置きました。資料によると、主力の石炭(原料炭・一般炭)の価格が想定よりも弱含んでいることや、為替相場の先行き不透明感を考慮した、慎重な姿勢が伺えます。
- 今後の注目点: 会社側は「4Qに配当金などが集中する」と説明しているため、年度末に向けて利益がどこまで伸びるかが焦点です。現時点では無理に目標を上げず、確実に達成できるラインを守っている状態と言えます。
④ 【好調の理由】どのビジネスが稼いだか
- 好調:非資源セグメントが利益を牽引
- エネルギー・ヘルスケア(純利益 210億円 / 前年同期比 +122億円): 省エネ関連事業の新規連結や太陽光発電関連の収益貢献に加え、ナイジェリアでのガス小売事業の売却に伴う利益などが大きく寄与しました。
- 航空・社会インフラ(純利益 124億円 / 前年同期比 +33億円): 防衛関連や航空機関連の取引が増加したほか、北米の貨車リース事業の一部売却に伴う利益などにより増益となりました。
- 苦戦:資源市況の下落が響く
- 金属・資源・リサイクル(純利益 124億円 / 前年同期比 ▲79億円): 石炭事業における市況の下落(原料炭価格が前年同期の218ドルから189ドルへ下落)などが主な減益要因です。
- その他: 自動車事業は、国内ディーラー事業や豪州中古車事業に遅れが見られるものの、中南米での自動車販売事業が好調に推移し、小幅な増益を確保しました。
⑤ 【安心材料】累進配当への言及や財務の状況
- 累進配当: 「累進的かつ予見性ある配当」を目指す方針
- 詳しく解説:
- 還元方針の考え方: 双日は資料の中で「DOE 4.5%をベースとした、累進的かつ予見性のある安定的な配当方針」を改めて示しています。これは「減配を避けつつ、累進的な配当(維持または増配)を目指す」という考え方であり、中長期の投資家にとって重要な指標となります。
- DOEによる裏付け: 先述の通り「株主資本」を計算の基礎に置くDOEを採用しているため、単年度の純利益の変動に振り回されにくい配当設計となっています。
- 財務状況の推移: 借金と資産のバランスを示す「ネットDER」は0.90倍と、前期末の0.92倍から改善しています。一般論として、ネットDER1倍未満は財務的に余裕がある水準と評価されることが多く、現在の還元方針を継続するための一定の財務基盤を有していると考えられます。
2. 豊田通商(8015)の決算通信簿
① 【稼ぐ力】純利益の実績と「進捗率」
- 実績: 2,869億円(3Q累計で過去最高益)
- 進捗率: 80%(通期目標 3,600億円に対して)
- 詳しく解説:
- 数字の事実: 3Q累計の純利益は2,869億円となり、前年同期(2,778億円)を上回る過去最高水準を達成しました。通期目標の3,600億円に対し、進捗率は80%に達しています。
- 進捗の評価: 一般的な目安とされる75%を上回るペースで利益が積み上がっており、会社資料でも「進捗率は80%と堅調に推移」と評価されています。
- 好調の背景: 資料(説明資料サマリー)では、増益の主な要因として「グローバルでの堅調な自動車生産」および「新興国での販売増」が挙げられています。これらが追い風となり、前年同期比で増益を確保しました。
- 見通しの据え置き: 進捗率は非常に高いものの、会社側は通期予想を3,600億円に据え置いています。これは後述する為替前提(145円)や市況の不透明感を考慮した慎重な計画によるものと考えられます。
② 【お財布への還元】配当金と自社株買い
- 配当金: 1株あたり年間 116円(前期105円から増配予定)
- 自社株買い: **自己株公開買付け(TOB)の条件変更(価格の引き上げ)**を発表
- 詳しく解説:
- 配当の推移: 今期の年間配当は116円(中間58円・期末58円の予定)と、前期の105円から11円の増配となる計画です。業績の拡大に合わせた着実な増配が続いています。
- 自己株TOBの価格修正: 注目すべきは自社株買いの動向です。現在実施している自己株TOB(公開買付け)の買付価格に関し、当初の1株3,054円から「5,862円」へと上限を引き上げる修正が開示されました。
- 還元の考え方: 豊田通商は中期的な方針として「総還元性向40%以上」を掲げています(※中計等の他資料に基づく方針)。今回のTOB価格の修正は、足元の市場価格との乖離を埋めるための対応と見られ、株主還元を確実に遂行しようとする意向が読み取れます。
③ 【予想の変化】上方修正の有無
- 修正の有無: 据え置き(変更なし)
- 詳しく解説:
- 進捗80%でも据え置く理由: 非常に高い進捗率ですが、通期見通し(3,600億円)は据え置いています。資料によると、通期の前提条件として「1ドル=145円」「1ユーロ=170円」といった為替レートを置いており、足元の変動や不透明な事業環境を考慮した慎重な計画を維持していることが見て取れます。
- 投資家の捉え方: 目標を据え置いたことは、決して先行きが暗いという意味ではなく、「期末に向けた収益の変動リスクに備え、慎重なスタンスを維持している」状態と解釈されます。投資家の間では、今後のさらなる上振れへの余地や、来期に向けた安定感を重視する姿勢として注目されています。
④ 【好調の理由】どのビジネスが稼いだか
- 好調:自動車関連ビジネスの勢いが利益を牽引
- アフリカ(税後利益 707億円 / 前年同期比 +117億円): 新興国での販売増が追い風となり、前年同期比で大きく増益となりました。短信の注記によれば、このセグメントは新車販売などのモビリティ事業を主軸としつつ、ヘルスケア事業(医薬品卸売等)も収益の柱となっています。
- モビリティ(税後利益 516億円 / 前年同期比 +66億円): グローバルでの堅調な自動車生産を背景に、自動車販売に関連する事業が利益を押し上げました。
- 苦戦:市況の変動やコスト要因が重しに
- サーキュラーエコノミー(税後利益 309億円 / 前年同期比 ▲61億円): 全社が好調な中で減益となったセグメントです。資源市況の変動や事業運営に伴う費用発生などが利益を押し下げた形となりました。
- メタル+(税後利益 325億円 / 前年同期比 ▲24億円): 自動車生産向けの取扱いは堅調なものの、鋼材価格といった市況変動の影響を受け、前年同期を下回る結果となりました。
⑤ 【安心材料】累進配当への言及や財務の状況
- 累進配当: 中期経営計画における累進配当方針
- 詳しく解説:
- 還元方針の背景: 今回の決算資料には直接の記載はありませんが、豊田通商は中期経営計画において「2026年3月期から2028年3月期における累進配当の継続」を掲げています。こうした中期的な方針が、長期投資家にとっての予見性(将来の配当の予想のしやすさ)につながっています。
- 財務の事実: 3Q説明資料によれば、ネットDERは0.47倍と低く抑えられています。一般論として、ネットDERが0.5倍を下回る水準は財務レバレッジが低く、非常に盤石な財務基盤を有していると評価されます。
- 還元の実行力: このような財務的な余力や中期方針を背景に、今回の自己株TOB価格の引き上げのような機動的な株主還元が積極的に活用されていると考えられます。
まとめ:今回の比較ポイント(徹底比較)
今回の決算を「高配当株投資」の視点でまとめると、以下の3つの比較ポイントが浮かび上がります。
1. 進捗率と「上方修正」の有無
今回の商社決算では、丸紅が通期純利益予想を上方修正した一方で、双日と豊田通商は「据え置き」を選びました。
- 双日: 進捗率約70%。資料では4Qに収益が偏る見通しから「想定通りの進捗」と説明されており、資源価格の下落を非資源分野で補う形での着地となりました。
- 豊田通商: 進捗率80%と過去最高水準を達成しましたが、為替前提(145円)等を踏まえ通期予想を据え置きました。投資家の間では、期末に向けた収益変動リスクに備えた慎重なスタンスと捉えられています。
2. 株主還元の指標と実行力
両社とも増配を予定していますが、その方針の軸に違いが見られます。
- 双日(DOE 4.5%): 株主資本をベースとした配当指標を採用。中計で掲げる「累進的かつ予見性ある配当方針」に基づき、利益の波に左右されにくい安定した配当の継続が志向されています。
- 豊田通商(増配と自己株TOB): 前期比増配に加え、自己株TOBの買付価格を3,054円から5,862円へ引き上げる条件変更を開示。中期方針(総還元性向40%以上)に沿った機動的な還元が進んでいます。
3. 事業構造の推移
- 双日: 石炭等の資源市況の下落(▲79億円)に対し、ヘルスケアやインフラ等の非資源セグメントが利益を補う構成。中計から進めている「ポートフォリオの転換」が今期の数字にも表れています。
- 豊田通商: アフリカ(純利益 +117億円)やモビリティ(同 +66億円)といった主要セグメントの増益が全体を牽引。独自の市場基盤における堅調さが確認できる内容となりました。
【総評】 今回の3Q決算では、双日の「DOEに基づく安定的な還元方針」と、豊田通商の「最高益更新ペースの進捗および機動的な自社株買い」がそれぞれ際立ちました。どちらも中期的な還元方針を維持しており、長期投資の視点でそれぞれの企業の特性と進捗を確認できる決算であったと言えます。
今後も別の個別株も解説していきますので、ひとつの参考にしてみてください(^^)