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- 安定した収入源を求めている人
- 投資知識の向上をしたい人
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安定した収入源を求めている人、投資知識の向上をしたい人、投資判断の材料が欲しい人の参考になれば幸いです
Contents
業績予想修正の概要:本業と最終利益の「ねじれ」
まず、前回予想(2025年8月5日発表)からどのように数字が変わったのかをまとめました。一見すると大きな減益に見えますが、利益の「中身」に注目が必要です。
| 項目(連結・IFRS) | 前回予想 (A) | 今回修正 (B) | 増減額 (B-A) | 増減率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上収益 | 2兆5,700億円 | 2兆5,300億円 | △400億円 | △1.6% |
| 営業利益 | 1,200億円 | 1,260億円 | +60億円 | +5.0% |
| 当期利益 | 450億円 | 165億円 | △285億円 | △63.3% |
この数字をどう読み解くか?
今回の修正で最も特徴的なのは、「本業の儲け」と「最終的な利益」が真逆の動きをしている点です。
- 売上収益と営業利益(本業の状況):
売上はほぼ計画通りですが、営業利益は+60億円(5.0%増)の上方修正となっています。
これは、事業そのものの収益力は当初の想定よりも改善している、あるいは踏みとどまっていることを示しています。 - 当期利益(最終結果):
一方で、最終的な利益である「親会社の所有者に帰属する当期利益」は**△285億円(63.3%減)の大幅下方修正**です。
通常、本業(営業利益)が良ければ最終利益も良くなるのが一般的ですが、今回はその間に「特殊な会計要因」が挟まったことで、このような「ねじれ」が生じています。
投資家としては、**「商売は悪くないが、会計上の処理で利益が削られた」**という構造を理解することが重要です。
なぜ「最終利益」がこれほど減ったのか?:3つの主要因
営業利益(本業の儲け)は上方修正されているのに、なぜ最終利益だけが6割以上も減ってしまったのでしょうか。資料に基づき、その要因を詳しく解説します。
① 繰延税金資産の取崩し
今回の下方修正の最大の要因は、通期で合計325億円もの「法人税等調整額(損)」を計上したことです。そのうち第4四半期だけで198億円を計上しています。
【詳細解説】なぜ「取崩し」が発生したのか? 繰延税金資産は、将来の利益で税金を相殺できる見込みがある場合に計上できるものです。しかし今回、米国子会社(YMUS)などの事業環境に変化が生じ、「将来、当初の予定通りに節税メリットを使い切れない可能性がある」と慎重に判断されました。 その結果、資産として積んでいたものを「取り崩す(=費用にする)」必要が生じ、利益を大きく押し下げました。これはキャッシュアウト(現金の流出)を伴わない会計上の損失です。
② 米国事業における「追加関税」とコスト増
取崩しの直接的な背景として、米国子会社 Yamaha Motor Corporation, U.S.A. (YMUS) における経営環境の悪化が挙げられています。
- 米国追加関税の影響: 関税によるコスト増が収益を圧迫しています。
- 事業環境の変化: これらを踏まえ、現在は収益構造の見直しやコスト競争力の強化を急いでいる状況です。
③ 成長に向けた投資と「物価・人件費」の上昇
連結決算の背景を補足するデータとして、同社単体の「個別業績」を見ると、別のコスト要因も浮かび上がります。
- 研究開発費の増加: 中長期的な成長に向けた計画的な投資を継続しており、経費が増加しています。
- 外部環境の影響: 物価上昇や人件費の上昇といったインフレの影響を受け、事業運営に係る各種経費が膨らんでいます。
つまり、今回の利益激減の主犯は米国事業等に関連した繰延税金資産の取崩しであり、その背景に追加関税や事業環境の変化、個別ベースでの成長投資・コスト増があると言えます。
配当予想の修正(減配)について:その背景と判断基準
業績の修正に伴い、配当予想も以下の通り修正されました。
配当金の修正内容
| 区分 | 第2四半期末 | 期末 (予想) | 年間合計 |
|---|---|---|---|
| 前回予想 | 25.00円 | 25.00円 | 50.00円 |
| 今回修正 | 25.00円 | 10.00円 | 35.00円 |
| (参考)前期実績 | 25.00円 | 25.00円 | 50.00円 |
今回の修正により、期末配当は前回予想から15円減額の「10円」となり、年間では前期(50円)比で15円の減配となる見込みです。
配当判断の背景
資料では、配当決定における同社の「総合的な判断基準」が明記されています。以下の要素を複合的に勘案した結果といえます。
- 基本方針: 安定的かつ継続的な配当を基本とする。
- 利益水準の変化: 親会社株主に帰属する利益が当初予想から大きく減少したこと。
- 投資余力の確保: 米国事業の構造改革や、中長期的な成長のための投資(研究開発など)に資金を適切に配分する必要があること。
- 財務健全性の維持: キャッシュフローや配当性向を総合的に考慮。
総じて、同社は中長期的な安定配当と将来の成長に向けた投資余力の両立を優先した結果として、今回の減配判断に至ったと読み取ることができます。
今後の注目ポイント:事業基盤の強化と次期予想
今回の発表には、目先の下方修正だけでなく、将来の改善に向けた重要な姿勢も示されています。投資家が今後注視すべき点は以下の3点です。
① 本業の「稼ぐ力」の検証
営業利益が前回予想を上回る1,260億円へと上方修正された事実は、二輪車を中心とした事業そのものの競争力が維持されていることを示唆しています。
最終利益を押し下げた要因(繰延税金資産の取崩し)は一過性の会計処理という側面があるため、来期以降、本業の利益がどれだけ着実に最終利益に積み上がるかが焦点となります。
② 米国事業の構造改革
資料では、米国事業(YMUS)を中心に「収益構造の見直し」や「コスト競争力の強化」に着手したことが明記されています。
- 具体的な施策: 米国追加関税によるコスト増に対応するため、事業基盤の強化を急いでいます。
- 狙い: 中長期的な収益性の改善と持続的な成長を実現するため、不透明な事業環境下でも利益を出せる体質への転換を目指しています。
③ 本決算発表(2月13日)での「2026年度予想」
今回の発表はあくまで「修正」であり、確定した通期実績の発表が行われます。
- 注目点: 通例どおりであれば同時に**「2026年12月期の業績予想」**も示されるとみられます。
今回実施した構造改革の効果が来期の数字にどう反映されるか、そして減配となった配当方針がどのように示されるかが最大の注目ポイントとなります。
まとめ:投資家が押さえておくべき3つの視点
今回の発表を総括すると、以下の3つの視点に集約されます。
- 修正の主因は「会計処理」と「米国環境の変化」 今回の下方修正は、事業そのものが壊滅的な打撃を受けた結果(本業の不振)ではなく、主に**米国事業の環境変化に伴う税務上の資産整理(繰延税金資産の取崩し)**によるものでした。これは将来の不確実性に対し、収益構造を見直し、事業基盤の強化を図るプロセスの一環と言えます。
- 本業の基礎体力は維持されている 営業利益ベースでは前回予想を5.0%上回る上方修正となっており、主力製品の販売や収益性は底堅く推移しています。最終利益の減少に伴う減配は投資家にとって注視すべき点ですが、現金の流出を伴わない会計上の損失が主因である点は冷静に評価すべきポイントです。
- 2月13日の本決算発表に向けた視点 開示資料にある通り、2月13日には通期実績が発表される予定です。通例どおりであれば、同時に示される2026年12月期の業績見通しや還元方針の内容が、今後の注視すべきポイントとなります。
2月13日の本決算発表にて、より詳細な事業計画や株主還元方針が示されるか注目していきましょう。
免責事項: 本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資の最終決定はご自身の判断で行ってください。
今後も別の個別株も解説していきますので、ひとつの参考にしてみてください(^^)