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2025/07/31 日本経済新聞の記事についてです。
Contents
民事再生法申請のニュースを投資初心者向けに解説
このニュースは、人工知能(AI)開発の会社「オルツ」が、経営が厳しくなり、会社を立て直すための法的な手続きである「民事再生法」を申請した、という内容です。
何が起こったのか?
- 民事再生法申請: オルツは、会社の借金(負債)が約24億円ある中で、自力での立て直しが難しくなったため、裁判所の管理のもとで会社を立て直す「民事再生法」の適用を申請しました。これは、倒産手続きの一つですが、会社が完全に無くなるわけではなく、事業を続けながら借金を整理し、再生を目指すものです。
- 粉飾決算: 今回の大きな問題は「粉飾決算」です。これは、会社の成績を良く見せるために、売上高などを実際よりも多く偽って報告していた、という不正行為のことです。オルツの場合、最大で売上の9割が架空のものだったとされています。これにより、過去の決算で約119億円もの売上が水増しされていたことが判明しました。
- 上場廃止: オルツは2024年10月に、東京証券取引所(東証)に上場したばかりの新しい会社でしたが、粉飾決算という重大な不正が発覚したため、2025年8月31日をもって上場が廃止されることになりました。「上場」とは、その会社の株が証券取引所で売買できる状態のことです。上場廃止になると、一般の人がその会社の株を自由に売買することができなくなります。
- 投資家への影響: オルツの株を持っていた投資家、特に「グロース市場」(新興企業向けの市場)に投資していた個人投資家にとっては、株の価値が大幅に下がったり、売却が難しくなったりするため、大きな損失を被る可能性があります。
- 責任の所在: 今回の不正は、新規上場時の審査や、会社の決算内容をチェックする「監査(かんさ)」の体制にも問題があったのではないかと指摘されており、監査法人や、上場手続きをサポートした証券会社(主幹事証券会社)の責任も問われています。
- 「循環取引」: 粉飾決算の手口として「循環取引」が指摘されています。これは、複数の会社がグルになって、実際には商品のやり取りがないのに、取引があるように見せかけて架空の売上を作り出す不正行為です。オルツは、広告代理店などを通じて、実際には存在しない売上を計上していたとされています。
- サービスの利用実態: オルツの主力サービスであった議事録サービスも、報告されていた有料会員数と、実際にアクセスがあった有料会員数に大きな乖離があったことが明らかになりました。これも粉飾の一環として、実態のない数字を報告していたことを示しています。
2025年7月31日時点でのオルツの株価情報を示しています。
現在の株価:
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- 24円:これが現在の株価です。非常に低い水準になっています。
- -30円 (-55.56%):これは前日と比べて30円下がり、率にして55.56%も下落したことを意味します。大幅な下落ですね。
株価チャートの動き:
- チャートを見ると、新規上場した2024年10月には800円台の高値を付けていましたが、そこから株価は右肩下がりで大きく下落しています。
- 特に直近では、数カ月で100円台から一気に数十円まで暴落しているのが分かります。これは、先に解説した「民事再生法の申請」や「粉飾決算の発覚」といったネガティブなニュースが直接的に影響していると考えられます。
オルツの株価から分かること
このオルツの株価の動きは、投資において非常に重要な教訓を含んでいます。
- 株価が急落する理由:
- 株価は、企業の業績や将来性への期待で決まります。しかし、今回のように「粉飾決算」という重大な不正が発覚し、さらに「民事再生法申請」や「上場廃止」といったニュースが出ると、会社の信頼性が失われ、株価は一気に暴落します。これは、多くの投資家が「この会社の株は持っていたくない」と考えて一斉に売却するためです。
- 上場廃止の影響:
- 上場廃止が決定すると、その会社の株は基本的に証券取引所で自由に売買できなくなります。そうなると、株を売りたくても買い手が見つからず、事実上、紙くず同然になってしまう可能性が高くなります。これが「整理銘柄」に指定され、その後「上場廃止」となるプロセスです。
- 株価の推移は会社の状況を反映する:
- チャートを見ると、上場当初は大きな期待が集まっていたことが分かります(高値823円)。しかし、時間の経過とともに不正が明るみに出始め、株価が下落し続けていることが読み取れます。株価は、投資家の期待と現実の会社状況を映す鏡のようなものです。
- 投資リスクの現実:
- オルツの株を持っていた投資家は、短期間で大きな損失を被っていることがこのチャートから一目瞭然です。これは、株式投資には「元本保証がない」というリスクがあることを明確に示しています。特に、期待先行で急成長が期待される新興企業(グロース市場)には、今回のような大きなリスクが潜んでいることがあります。
投資初心者へのポイント
- 企業の信頼性: 株式投資をする際は、その会社の売上や利益などの数字が正しいかどうか、つまり「信頼できる情報」に基づいているかが非常に重要です。粉飾決算は、この信頼を根本から裏切る行為です。
- 上場企業だから安心とは限らない: 上場している企業は、一定の審査をクリアしているため信頼性が高いと見られがちですが、今回のオルツのように、上場後に不正が発覚することもあります。
- 新興市場のリスク: グロース市場のような新興企業向けの市場は、成長への期待が高い一方で、歴史が浅い企業も多く、経営体制が十分に整っていなかったり、予期せぬリスクが顕在化したりする可能性もあります。
- 多様な情報源で判断: 企業の情報を得る際は、決算書だけでなく、ニュース記事や専門家の意見など、様々な情報源を参考にすることが大切です。
- 投資は自己責任: 株式投資には常にリスクが伴います。今回のケースのように、会社の不正が発覚すると、株価が急落し、大きな損失につながることがあります。投資をする際は、リスクを十分に理解し、自分で納得した上で判断することが重要です。
今回のオルツのケースは、企業の透明性やガバナンス(企業統治)、そして市場の健全性を保つことの重要性を示す事例と言えます。
⚠️ 注意すること
- 「〇〇は儲かる」といった甘い言葉に注意する
- AI関連企業など、時代の最先端を行くような企業は、大きな成長期待から投資家の注目を集めやすいです。しかし、今回のオルツのように、実態が伴わない「バブル」のような状態である可能性もあります。「AIだから儲かる」「これから伸びる」といった表面的な情報だけで飛びつかず、必ず企業の中身をしっかりと確認しましょう。
- 「個人投資家」は情報戦で不利になりがち
- オルツが上場していたグロース市場は、個人投資家の比率が高いと言われます。個人投資家は、機関投資家(プロの投資家)に比べて、情報収集力や分析力で不利になりがちです。だからこそ、信頼できる情報源を見極め、安易な情報に流されない冷静な判断力が求められます。
- 投資は「余裕資金」で行う
- 今回のオルツのように、予期せぬ事態で株価が暴落し、投資資金がほとんど戻ってこなくなる可能性があります。生活に必要なお金や、近い将来使う予定のあるお金を投資に回すのは絶対に避けましょう。「なくなっても生活に困らないお金」で投資を始めるのが鉄則です。
- ポートフォリオの重要性(分散投資)
- もしオルツの株を大量に持っていたとしたら、今回のニュースで大きな損失を被ったでしょう。しかし、複数の異なる業種や規模の企業の株に分散して投資していれば、たとえ一つの会社で問題が起きても、全体の損失を抑えることができます。これは「卵を一つのカゴに盛るな」という投資の格言にも通じます。
オルツのニュースは、投資の世界には光と影の両方があることを改めて教えてくれます。今回の出来事を教訓に、より賢明な投資家を目指していきましょう。
今後も別の個別株も解説していきますので、ひとつの参考にしてみてください(^^)