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消費税減税で外食はどうなる?店内10%・持ち帰り1%、減税分はお客さんとお店のどちらに回るのか|すき家・マクドナルドなど外食19社の値段の付け方を確認

2027年4月から2年間、スーパーで買う食料品や、お店で持ち帰りにした食事の消費税が1%になります。一方で、お店の中で食べる外食は10%のままです。

「外食は損をする」と思われがちです。実際、方針が出たあと、外食株の多くは下がりました。

でも、調べていくと、話はそう単純ではありませんでした。減税の分がお客さんに回るか、お店に残るかは、会社の値段の付け方で決まるからです。そして、その金額は、会社によっては利益の何割にもなる大きさです。

時価総額1,000億円以上の外食19社について、政府の決定の原文、2019年に軽減税率が始まったときの各社のお知らせ、決算資料を確かめました。

先に結論を3つ書きます。

  1. 店で食べると10%、持ち帰りなら1%。税込の差は約9%で、2019年の約2%の4倍以上です。外食の店内が本当に戦う相手は、1%になるコンビニやスーパーの弁当・総菜です。
  2. 2019年に「店内も持ち帰りも同じ税込価格」にしたのは、すき家・マクドナルド・サイゼリヤ・松屋。このやり方を続けると、減税の分は持ち帰りの値下げにならず、お店に残ります。持ち帰り・出前が売上の35.5%ある吉野家でもし同じ値段のままにすると、残るお金は年に約34億円。吉野家の事業の利益78億円の4割にあたります(私の試算)。
  3. 反対に、値段を分けた王将などでは、持ち帰りが自動的に約6.5%安くなり、得をするのはお客さんです。どちらになるかは会社しだいですが、減税について公式に何か言った会社は、19社ともまだありません。店内と持ち帰りの割合を出しているのも2社だけです。

決まったこと:2027年4月から2年間、食料品は1%

2026年9月15日、政府は「飲食料品消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の導入に関する大綱」を閣議決定しました。原文から、決まったことを抜き出します。

項目 中身
期間 2027年(令和9年)4月1日から2029年(令和11年)3月31日まで
税率 国の消費税0.78%、地方消費税と合わせて1%
対象 「現行の軽減税率の適用対象となっている飲食料品」
範囲 軽減税率の対象の範囲は「現行制度を維持する」

ここまでの流れは、7月29日に政府の社会保障国民会議が中間とりまとめ、7月30日に首相が会見で1%への引き下げを表明、8月5日に給付付き税額控除の基本方針を閣議決定、そして9月15日に今回の大綱、という順番です。首相は会見で、2年のあとは「元の税率(8%)に戻して行く」としています。

大事なのは、1%になるのは今8%がかかっているものと同じ範囲だということです。店内で食べる外食は今も軽減税率の対象外なので、10%のままです。お酒も今と同じく10%で、1%にはなりません。

今(2019年10月〜) 2027年4月〜2029年3月
店内で食べる 10% 10%(変わらない)
持ち帰り・出前 8% 1%
スーパー・コンビニの食料品 8% 1%

「ゼロ」ではなく1%にした理由について、首相は7月30日の会見で、「1%であれば0%とするよりも事業者のシステム改修の期間を短縮でき」と説明しています。

店内と持ち帰りの差は、20円から90円へ

本体価格1,000円の食事で比べます。

店内 持ち帰り 差
今(10%と8%) 1,100円 1,080円 20円(約1.9%)
2027年4月〜(10%と1%) 1,100円 1,010円 90円(約8.9%)

※差の%は、持ち帰りの税込価格に対して店内がどれだけ高いか(私の計算)。

差は4.5倍になります。月に10回、1回1,000円の外食をする人なら、店内と持ち帰りで月900円、1年で1万800円の差です。家族4人で1人1,000円なら、店内4,400円、持ち帰り4,040円で、1回360円違います。

外食の店内が戦う相手は、コンビニとスーパー

ここで大事なのは、同じ店の店内と持ち帰りの比べっこだけではない、ということです。

店内で食べるかどうか迷っている人の選択肢には、コンビニの弁当、スーパーの総菜、家で作るごはんもあります。どれも1%です。外食の店内だけが10%のまま取り残される、という形になります。

政府もこれを分かっています。大綱には次のように書かれています。

特に、外食事業者については、テイクアウト等の多角化の支援を講ずるなど、外食と中食・内食の税率差による影響の及ぶ業態などを見極めた上で、的確な支援を講ずる。

「中食(なかしょく)」は持ち帰りの弁当や総菜、「内食(うちしょく)」は家で作る食事のことです。首相も7月30日の会見で、「外食産業」について「資金繰り等のための予算措置を検討」すると話しています。支援の中身は、これからの予算編成で決めるとされています。

外食の業界団体、日本フードサービス協会も、9月25日に出した8月の市場動向調査でこう書いています。

今のところ外食各社は各種キャンペーンなどで集客に努めて、外食需要は底堅いものの、食料品消費税率の大幅引き下げが実現すれば、外食の店内飲食が大きな影響を受けるとの懸念は拭いきれない。

同じ8月の報告で、外食全体の客数は前の年より+2.6%でした。今のところ客は増えています。そのうえで、心配しているのは「店内飲食」です。

前回の2019年:店内が中心の業態のほうが弱かった

2019年10月に軽減税率が始まり、店内10%・持ち帰り8%に分かれました。そのときの客数を、協会の年間報告で見ます。

2019年の客数(前年比) 7〜9月 10〜12月 1年間
外食全体 +0.9% △1.2% +0.2%
ファーストフード +2.5% +0.6% +1.3%
ファミリーレストラン △2.7% △4.0% △1.8%

出典:日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査 令和元年(2019年)年間結果報告」

持ち帰りや出前の多いファーストフードは客を増やし、店内が中心のファミリーレストランは減りました。

ただし、10〜12月の数字には台風19号の被害も入っています。協会自身が「台風被害や消費増税などの影響」と説明しており、ファミリーレストランは7〜9月から前年割れでした。税率の差だけの影響とは言えません。それでも、店内が中心の業態のほうが弱かった、という形は出ています。2019年の差は約2%、2027年は約9%です。

2019年の値段の付け方①:同じ税込価格にした4社

ここからが、今回いちばん調べたところです。2019年、店内と持ち帰りで税率が分かれたとき、各社がどう値段を付けたかを、当時の公式のお知らせで1社ずつ確かめました。

店内も持ち帰りも「同じ税込価格」にした会社

会社 2019年のお知らせの言葉
すき家(ゼンショーHD) 「店内での飲食と持ち帰りの場合での税込価格を統一します」(2019年9月25日)
マクドナルド 「「お持ち帰り」と「店内ご飲食」の税込価格をこれまで通り同一価格とさせていただきます」(公式FAQ)
サイゼリヤ 「お客様が混乱しないよう「店内飲食」と「持ち帰り」を同じ税込価格で提供します」(2019年9月19日)
松屋 「券売機は従来通り税込価格を表示し、店内・持ち帰りを同一価格でご提供いたします」(2019年9月3日)

ロイヤルHDの「てんや」も、天丼などの主力商品は同じ税込価格にしました(そのほかの商品は別価格)。マクドナルドの公式FAQには、宅配サービスの商品は8%、デリバリー料は10%で、「宅配サービスでの商品価格は通常店舗の価格とは異なります」とも書かれています。

税率が違うのに同じ値段にできたのは、本体価格(税抜きの値段)を、店内と持ち帰りで変えたからです。

商品(2019年) 税込 店内の本体価格 持ち帰りの本体価格
松屋 牛めし並盛 320円 291円+10% 297円+8%
サイゼリヤ ミラノ風ドリア 299円 272円+10% 277円+8%

サイゼリヤは、増税前のドリアの本体価格277円を、店内だけ272円に下げて、税込299円を守りました。店内で食べる客の増税分を、会社がかぶった形です。

2019年の値段の付け方②:値段を分けた5社

本体価格はそのままにして、税込では店内と持ち帰りで値段が違う会社

会社 2019年のお知らせの言葉
餃子の王将 「店内飲食は、本体価格 + 消費税 10%」「お持帰りは、本体価格 + 消費税 8%」「本体価格の改定はいたしません」(2019年9月27日)
CoCo壱番屋 「店内飲食の場合とお持ち帰り等の場合とでお客様にお支払いいただく税込価格が異なることとなります」(2019年9月20日)
ドトール 「本体価格(税抜価格)は据え置いたまま、店内飲食は10%、テイクアウトは8%の消費税を適用いたします」(2019年9月17日)
モスバーガー 「店内飲食の場合は標準税率(10%)、お持ち帰りおよびお届けの場合は軽減税率(8%)対象」、価格表示は「本体価格+税」に統一(2019年9月17日)
すかいらーく 「宅配・テイクアウトの消費税率は8%」「宅配の商品は税込価格、その他はすべて税抜価格」(2019年9月20日)

ロイヤルホストも、店内と持ち帰りで税込価格が異なる形でした。

残りの9社(スシロー、トリドール〔丸亀製麺〕、吉野家、コロワイド、物語コーポレーション、くら寿司、ハイデイ日高、コメダ、クリエイト・レストランツ)は、2019年の方針を書いた公式のお知らせが見つかりませんでした。報道で方針が伝えられている会社もありますが、今回は公式資料で確かめられたものだけを載せています。

減税の約7%は、お客さんのものか、お店のものか

ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。

同じ税込価格のまま税率だけ8%から1%に下がると、持ち帰りの売上(税抜き)は約7%増えます。お客さんの払う額は同じで、国に納める税金だけが減るからです。

サイゼリヤのドリア(税込299円)で計算すると、こうなります(私の計算)。

店内 持ち帰り
今(10%と8%) 本体272円+10% 本体277円+8%
同じ299円のまま1%に 本体272円+10% 本体296円+1%
減税を全部値下げに回すと 本体272円+10%=299円 本体272円+1%=275円

同じ299円のままなら、持ち帰りの本体は277円から296円に増えます。1個あたりの税金は約22円から約3円に減り、減った約19円がお店に残ります。反対に、値下げに回せば、持ち帰りは299円から275円へ約8%安くなります。

税込1,000円の持ち帰り弁当で考えると、8%なら税金は約74円、1%なら約10円です。1,000円のまま変えなければ、差の約64円がお店の手取りに加わります。値下げに回せば、約935円になります。なお、店内で食べる値段はどちらでも変わらないので、店内の客には減税の効き目はありません。

つまり、減税の分がお客さんに回るか、お店に残るかは、会社が値段をどう付けるかで決まります。

吉野家で試算:同じ値段のままなら、利益の4割にあたる

では、その金額はどれくらいか。持ち帰りの割合が分かる吉野家で試算してみます。

吉野家ホールディングスの統合報告書2025によると、吉野家ブランドの売上は1,378億円(2024年度)で、そのうちテイクアウトが31.8%、デリバリーが3.7%。合わせて35.5%が持ち帰りと出前です。

項目 金額
吉野家の売上(2024年度) 1,378億円
うち持ち帰り・出前(35.5%) 約489億円
同じ税込価格のまま1%になった場合に増える売上(約6.9%) 約34億円
吉野家の事業の利益(2024年度) 78億円

※私の試算です。持ち帰り・出前の売上がすべて同じ税込価格のまま、客数や注文も変わらないと仮定しています。出前のアプリの手数料なども考えていません。

約34億円は、吉野家の事業の利益78億円の4割以上です。もちろん、これは「もし同じ値段のままにしたら」という仮定の話です。吉野家の2019年の値段の方針は、公式のお知らせでは確かめられませんでした。

ただ、外食はもともと利益の薄い商売です。吉野家の利益は売上の約5.7%しかありません。持ち帰りの売上が7%増えるだけで、利益は大きく動く、ということが分かります。

王将のように値段を分ける店では、お客さんが得をする

反対に、2019年に「本体価格+税」で値段を分けた王将のような店では、どうなるか。

本体価格は変えずに税率だけが8%から1%になるので、持ち帰りの支払いは自動的に約6.5%安くなります。お店の取り分は変わらず、減税の分はそのままお客さんに回ります。

王将の持ち帰り・出前の売上は254億9,200万円(2026年3月期、国内店舗)です。同じ計算をすると、もし王将が同じ税込価格にしていたら残ったはずのお金は約18億円。営業利益104億円の約17%にあたります。王将は2019年の方針のままなら、これをお客さんに渡すことになります。

2年で元に戻る。だから値段は動かしにくい

もう1つ、見落としがちな点があります。今回の減税は2年だけで、2029年4月には元の8%に戻ります。

持ち帰りを値下げすると、2年後にはまた値上げしなければなりません。値段の表示を2回変える手間もかかります。会社にとっては、同じ値段のままにしておくほうが楽です。これは私の見立てですが、2019年に同じ税込価格を選んだ会社は、今回も同じやり方を続けやすいと思います。

大綱には値段の表示のルールも書かれています。税込価格を表示する決まり(総額表示)は続き、「税抜価格(いわゆる本体価格)のみを表示する方法」などは「引き続き認められない」とされています。値札の貼り替えが間に合わないなどの事情がある場合に限って、税率が変わる前後の一定期間は特別な表示を認める、としています。

本当に困るのは、店で食べる客を取られる店

ここまでをまとめると、減税で本当に困るのは、店で食べていた客が、コンビニやスーパー、家で作るごはんに流れてしまう店です。

  • 持ち帰りの多い店は、値段の付け方しだいで、むしろ利益が増える可能性がある
  • 店内が中心の店は、1%になるコンビニやスーパーとの差が約9%に広がる
  • 2019年も、店内が中心のファミリーレストランの客数のほうが弱かった

吉野家の中でも、吉野家ブランドは持ち帰り・出前が35.5%あるのに対し、はなまるうどんは店内飲食が88.4%です。同じ会社でも、ブランドによって影響の向きが違うことになります。

店内の割合が分かるのは、19社中2社だけ

この話で大事なのは「売上のうち、持ち帰りがどれだけか」です。ところが、19社の決算説明資料・決算短信・有価証券報告書・統合報告書を調べると、割合が分かったのは2社だけでした。

吉野家HD(統合報告書2025、2025年2月期の事業概況のページ)

ブランド 店内飲食 テイクアウト デリバリー
吉野家 64.5% 31.8% 3.7%
はなまる(うどん) 88.4% 5.0% 6.6%

※グラフに期間の明記はなく、2024年度(2025年2月期)の数字と並べて載っています。統合報告書2026には載っていません。同じ報告書には、店舗数の目標が「テイクアウト・デリバリー専門店の出店目標未達などにより」届かなかったとも書かれています。

王将フードサービス(2026年3月期 決算補足説明資料)

2026年3月期(国内店舗) 金額
店内飲食 811億8,000万円
テイクアウト・デリバリー 254億9,200万円

ここから計算すると、持ち帰り・出前は店内との合計の23.9%です(私の計算)。会社も「約2割を占めるテイクアウト・デリバリーの客数が前年から減少」と書いています。今期の第1四半期(4〜6月)も、店内飲食が前年同期比96.3%、テイクアウト・デリバリーが90.8%でした。

ほかの17社は割合を公表していません。マクドナルドは「モバイルオーダーやデリバリーといったデジタルチャネルの利用割合が着実に増加」と言葉で説明しているだけ。すかいらーくは宅配売上の伸び(2024年は前年比+13%)だけ。ロイヤルHDは、てんやの既存店売上の伸びをイートインとテイクアウトに分けて出しています(2026年第2四半期はイートイン104.9%、テイクアウト103.6%)。

すき家やマクドナルドのように、同じ税込価格を選んだ会社ほど、持ち帰りの割合が分かれば減税の影響を計算できます。開示がないこと自体も、投資家にとって大事な材料です。

調べた19社

会社(証券コード) 主なブランド 2019年の値段の付け方 時価総額
ゼンショーHD(7550) すき家、はま寿司、なか卯 同じ税込価格(すき家) 1兆6,773億円
FOOD & LIFE COMPANIES(3563) スシロー、京樽 公式の方針見つからず 1兆1,421億円
日本マクドナルドHD(2702) マクドナルド 同じ税込価格 1兆78億円
すかいらーくHD(3197) ガスト、バーミヤン 分けた(税抜表示) 7,214億円
トリドールHD(3397) 丸亀製麺 公式の方針見つからず 3,826億円
クリエイト・レストランツHD(3387) 磯丸水産など 公式の方針見つからず 3,467億円
サイゼリヤ(7581) サイゼリヤ 同じ税込価格 3,298億円
吉野家HD(9861) 吉野家、はなまる 公式の方針見つからず 2,335億円
コロワイド(7616) 牛角、かっぱ寿司、大戸屋 公式の方針見つからず 2,113億円
物語コーポレーション(3097) 焼肉きんぐ、丸源ラーメン 公式の方針見つからず 2,046億円
王将フードサービス(9936) 餃子の王将 分けた 1,898億円
壱番屋(7630) CoCo壱番屋 分けた 1,748億円
ドトール・日レスHD(3087) ドトール 分けた 1,464億円
くら寿司(2695) くら寿司 公式の方針見つからず 1,393億円
コメダHD(3543) コメダ珈琲店 公式の方針見つからず 1,316億円
ロイヤルHD(8179) ロイヤルホスト、てんや ロイヤルホストは分けた、てんやの主力は同じ税込価格 1,306億円
モスフードサービス(8153) モスバーガー 分けた 1,248億円
ハイデイ日高(7611) 日高屋 公式の方針見つからず 1,088億円
松屋フーズHD(9887) 松屋、松のや 同じ税込価格(松屋) 1,057億円

※時価総額は2026年9月25日終値。時価総額の上位3社のうち、すき家(ゼンショー)とマクドナルドの2社が、2019年に同じ税込価格を選んだ会社です。

株価:外食株もスーパー株も下がった

首相が方針を話した7月30日の前後で、株価はどう動いたか。

7月29日→7月31日 9月14日→9月16日(閣議決定の前後) 7月29日→9月25日
外食19社 17社が下落 18社が下落 17社が下落
イオン △5.2% △2.7% △9.7%
セブン&アイ △6.5% △0.3% △11.1%
ライフ △0.1% △1.1% +4.9%
日経平均 +4.8% +0.7% +8.0%
TOPIX(連動ETF) +0.6% +0.1% +3.7%

外食19社のうち17社が2日で下がりました。ただ、減税で得をしそうなスーパーのイオンやセブン&アイも、同じように下がっています。この時期は日経平均が上がる一方で、国内の消費に関わる株の多くが下がっていました。外食株の下落を、減税のせいだとは言えません。そして、ここまで見てきた「値段の付け方しだいで会社が得をすることもある」という面は、まだほとんど話題になっていません。

外食19社それぞれの動きは次のとおりです。

会社 7/29→7/31 9/14→9/16 7/29→9/25
ゼンショーHD △3.4% △4.3% +1.1%
FOOD & LIFE(スシロー) △4.9% △5.6% △15.8%
日本マクドナルドHD +0.2% △1.6% △6.0%
すかいらーくHD △5.8% △2.0% △4.9%
トリドールHD △5.2% +1.2% △6.0%
クリエイト・レストランツ △4.1% △1.4% △6.3%
サイゼリヤ △5.2% △6.4% △24.1%
吉野家HD △4.9% △2.2% △11.3%
コロワイド △4.0% △0.7% △7.4%
物語コーポレーション +1.5% △2.6% △3.3%
王将フードサービス △3.0% △1.8% △6.1%
壱番屋 △3.5% △0.2% +13.1%
ドトール・日レスHD △4.8% △1.4% △4.3%
くら寿司 △0.9% △2.0% △0.2%
コメダHD △3.0% △0.4% △4.5%
ロイヤルHD △3.1% △1.3% △4.6%
モスフードサービス △4.9% △0.3% △3.8%
ハイデイ日高 △3.5% △1.7% △4.4%
松屋フーズHD △4.9% △1.9% △2.7%

※株価は終値。サイゼリヤは7月中旬に値上げ検討の報道で大きく上がったあとの下落も入っています。

次の決算で見るべき3つ

外食各社の決算発表は、10〜11月に続きます。19社とも、減税について公式にはまだ何も言っていません(最新の決算短信・決算説明資料・適時開示を2026年9月26日に確認)。次の決算では、この3つを見るのがおすすめです。

1. 持ち帰りの値段をどうするか

同じ税込価格を続けるのか(減税分がお店に残る)、持ち帰りを値下げするのか(お客さんに回る)。2019年に同じ税込価格にした、すき家・マクドナルド・サイゼリヤ・松屋の説明はとくに注目です。

2. 店内と持ち帰りの割合を出すか

今は19社中2社だけです。この数字があれば、減税の影響を自分で計算できます。

3. 店で食べる客をどう守るか

コンビニやスーパーとの差が約9%に広がるなかで、店で食べる理由をどう作るか。政府の「テイクアウト等の多角化の支援」を使って、持ち帰りに寄せる会社も出てくるかもしれません。期間が2年だけという点も、会社の判断に効いてきます。

外食を使う人にとっては

2027年4月からの2年間は、税金だけで見れば、持ち帰りにするだけで9ポイント安くなる時期です。

ただし、同じ税込価格の店では、持ち帰りにしても支払いは変わりません。値段を分けている王将・モス・ドトールのような店なら、持ち帰りの支払いがそのまま安くなるはずです。よく行く店がどちらのやり方をするのか、2027年の春に見てみると面白いと思います。

まとめ

  • 決まったこと:2027年4月から2年間、食料品は1%。店内で食べる外食は10%のまま。差は約9%で、2019年の4倍以上
  • 本当の相手:外食の店内が戦うのは、1%になるコンビニやスーパーの弁当・総菜
  • 2019年の前例:すき家・マクドナルド・サイゼリヤ・松屋は同じ税込価格、王将・CoCo壱番屋・ドトール・モス・すかいらーくは値段を分けた
  • 減税の約7%は誰のものか:同じ税込価格ならお店に残り、値段を分ければお客さんに回る。吉野家でもし同じ値段のままなら、残るお金は年約34億円で、事業の利益の4割(私の試算)
  • 2年で元に戻るので、会社は値段を動かしにくい
  • 店内の割合を出しているのは2社だけ、減税について話した会社はまだない

「減税で外食は損をする」とは限りません。損をするのは店で食べる客を取られる店で、持ち帰りの多い店は、値段の付け方しだいで得をすることもあります。次の決算で、各社がどちらを選ぶかを見ていきます。

この記事で見た資料

  • 内閣官房「飲食料品消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の導入に関する大綱」(2026年9月15日閣議決定)
  • 首相官邸「「飲食料品に係る消費税率の引下げ」及び「給付付き税額控除」についての会見」(2026年7月30日)
  • 日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査 2026年8月度 結果報告」(2026年9月25日)、「令和元年(2019年)年間結果報告」(2020年1月27日)
  • すき家「消費税率引き上げ および 軽減税率制度の導入にともなう一部商品の価格改定について」(2019年9月25日)
  • マクドナルド公式FAQ「消費増税対応について」
  • サイゼリヤ「消費税率引上げおよび軽減税率制度への対応」(2019年9月19日)
  • 松屋「消費税率の変更および軽減税率制度への対応について」(2019年9月3日)
  • 王将フードサービス「消費税率引上げおよび軽減税率制度への対応に関するお知らせ」(2019年9月27日)、「2026年3月期 決算補足説明資料」(2026年5月15日)、「2027年3月期 第1四半期決算補足説明資料」
  • 壱番屋「消費税率引き上げおよび軽減税率制度の実施について」(2019年9月20日)
  • ドトールコーヒー ニュースリリース(2019年9月17日)
  • モスバーガー「消費税率変更および軽減税率導入に伴う対応について」(2019年9月17日)
  • すかいらーく「2019年10月1日 消費税率改正に伴うご案内」(2019年9月20日)
  • ロイヤルHD「消費税率引き上げ・軽減税率制度導入に伴う対応につきまして」(2019年9月)
  • 吉野家ホールディングス「統合報告書2025」
  • 各社の最新の決算説明資料・決算短信

※株価は2026年9月25日までの終値。時価総額1,000億円以上の判定は2026年9月25日終値。差額・割合・試算・下落した社数は私が計算したものです。試算は「同じ税込価格のまま、客数や注文が変わらない」という仮定の話で、会社の見通しではありません。将来の値段は各社の判断によるもので、この記事は売買をすすめるものではありません。

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コロナショック直前の2020年に投資をスタート。リアルタイムで暴落を経験しながら独学で投資の基礎を習得。 現在の運用総額5,000万円超・年間配当収入120万円超を達成。投資信託・ETF・個別株・米国株など100銘柄超に分散投資し、相場の波に強いポートフォリオを構築中。 高配当株の長期保有と新NISAの積立を組み合わせた"2刀流"スタイルで資産形成を実践。保有銘柄の決算・配当・株価をブログで赤裸々公開しています。YouTubeでも投資情報を発信中!

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