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- 安定した収入源を求めている人
- 投資知識の向上をしたい人
- 投資判断の材料が欲しい人
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安定した収入源を求めている人、投資知識の向上をしたい人、投資判断の材料が欲しい人の参考になれば幸いです
Contents
33年ぶりの水準となる「金利のある局面」への移行
2025年12月、日本銀行は金融政策決定会合において、政策金利(無担保コール翌日物金利)の誘導目標を0.75%程度に引き上げることを決定しました。
これは、長らく続いた低金利環境から、金利が一定の水準を維持する局面へと移行しつつあることを示唆しています。
この決定を受け、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行のメガバンク3社は、2026年2月2日から普通預金金利を年0.3%に引き上げることを発表しました。
普通預金金利が0.3%という水準に達するのは、合併前の旧行時代の1993年以来、約33年ぶりの高水準となります。
こうした金利上昇を受け、銀行セクターでは「預貸金利ざや(預金と貸出の利息差)」の拡大を通じた収益性の向上が見込まれており、株式市場でも銀行株への注目度が高まっています。
家計の貯蓄意識や企業の資金調達環境にも変化の兆しが見え始めており、投資家としてもこの変化の背景を正確に把握しておくことが重要です。
今回の記事では、この節目においてメガバンク3社がどのような立ち位置にあり、最新の決算資料からどのような収益構造が読み取れるのかを整理しました。
「今、何が起きているのか」「投資判断に役立つトピックスはどこか」を、専門用語をわかりやすく変換しながら、解説していきます。
普通預金金利の引き上げと収益への影響
2026年2月2日より、普通預金金利が0.3%に引き上げられます。
これは預金者にとっては「受取利息が増える」というニュースですが、投資家目線では**「預貸金(よたいきん)利ざやの改善期待」**という側面で注目されます。
今回の金利引き上げが、銀行の収益構造にどのような影響を与える可能性があるのか、そのメカニズムを整理します。
- 銀行にとっての「コスト」と「収益」:
- コスト(預金金利): 銀行が私たちからお金を預かる際に支払う「お礼」の利息です。
- 収益(貸出金利): 銀行が企業や個人(住宅ローンなど)にお金を貸し出す際に受け取る利息です。
- 「利ざや」の拡大が期待される理由:
日銀の政策金利引き上げを受け、3メガバンクは企業貸出の基準となる「短期プライムレート」を1.875%から2.125%へと0.25%引き上げることを決定しています。
一方で、普通預金金利の引き上げ幅は0.1%(0.2%→0.3%)に留まっています。
このように、銀行が支払う利息(預金金利)の上昇幅よりも、受け取る利息(貸出金利)の上昇幅の方が大きくなる傾向があるため、結果として1件あたりの儲け(利ざや)が拡大しやすい局面にあるといえます。 - 注意点:利益は「利ざや」だけで決まらない:
利ざやの拡大は収益の押し上げ要因になりますが、最終的な銀行の利益は、貸出のボリューム(どれだけお金を借りる人がいるか)や、景気動向に伴う与信コスト(貸し倒れに備える費用)、有価証券の運用成績など、多くの要因に左右されます。
預金金利の引き上げは、こうした貸出収益の改善が期待される環境下での動きとして捉えるのが自然です。
「利ざや改善」を数字で見る:金利上昇のインパクト(感応度)
金利が上昇した際、実際にどれだけ利益が押し上げられるのかを示す指標を「金利感応度」と呼びます。各社の決算説明資料に基づき、その影響力の大きさを比較します。
金利感応度とは?
「国内金利が0.1%上昇した場合に、年間でどれだけ資金利益(利息の儲け)が増減するか」というシミュレーション数値です。
- 各社の利益押し上げ効果(試算例): 大手行の開示資料によれば、国内金利の上昇による収益へのインパクトは非常に大きく、銀行ごとに規模は異なりますが、おおよそ年間で数百億円から1,000億円を超える規模の資金利益の押し上げ要因になると試算されています。
- 三菱UFJ: 0.25%の金利上昇に対し、年間で約1,800億円規模の資金利益増(連結ベース)を試算。
- 三井住友: 国内金利が0.1%(10bps)上昇した場合、年間で約300億〜400億円程度の資金利益の押し上げ要因になると試算。
- みずほ: 国内金利が0.1%(10bps)上昇した場合、年間で約450億円程度の業務純益の押し上げ要因になると試算。 ※これらは各社が一定の前提条件(預金や貸出の構成が変わらない等)のもとに算出した概算値であり、実際の収益は市場環境により変動することに注意が必要です。
投資家が見るべき「預金の粘着性」
金利が上がると、銀行は預金者に支払う利息コストも増えます。
ここで重要になるのが**「粘着性の高い預金」**(他へ移りにくい預金)の存在です。
給与振込口座や決済用口座など、金利の多寡だけで銀行を変えにくい預金を多く抱えている銀行ほど、調達コストの上昇を低く抑えることができ、結果として利ざやを確保しやすくなります。
収益構造と「過去最高益」の背景:3社三様の稼ぎ方
2025年度(2026年3月期)は、中間決算での好調な業績を受け、3社ともに通期で過去最高益を更新する見通しです。しかし、その利益が「どこから生まれているのか」を詳しく見ると、各社の経営戦略と国内・海外比率の違いが明確になります。
収益構造の違い:国内・海外比率が鍵
メガバンクといえど、国内金利上昇による収益へのインパクトは、そのポートフォリオによって異なります。
- みずほフィナンシャルグループ(国内比率が相対的に高い): 3社の中では国内の法人・個人ビジネスの比率が相対的に高く、国内金利の変動が直接的に収益へ反映されやすい「高感応度」な構造を持っています。市場部門や海外業務も成長していますが、国内金利の上昇が業績を牽引する力(感応度)が相対的に大きいのが特徴です。
- 三菱UFJ・三井住友(グローバル分散・安定基盤): 海外での貸出や買収した海外銀行、持分法適用会社(米モルガン・スタンレー等)の利益貢献が大きく、国内金利に依存しすぎない安定した収益基盤を持っています。一方で、莫大な国内預金残高を抱えているため、利ざやがわずかに改善するだけでも、利益の「絶対額」としての押し上げ効果は非常に大きくなります。
利益ドライバーの違い(非金利収益と戦略)
- 非金利収益の強み(MUFG・SMFG): 投資銀行業務、資産運用、M&Aアドバイザリーなどの「役務取引等利益(手数料収入)」が厚く、金利の動きに左右されにくい「稼ぐ力」が収益を支えています。
- 国内基盤と「One MIZUHO」戦略(みずほ): 銀行・信託・証券が一体となったコンサルティング営業を推進しており、金利による収益と手数料収益をバランスよく伸ばす戦略をとっています。
初心者向け解説:稼ぎ方の見分け方
決算短信や説明資料にある**「セグメント別情報」**を見ると、国内部門・国際部門・市場部門などのどこで利益が出ているかが分かります。「儲かっている」背景が国内金利の恩恵なのか、それとも海外の成長なのかを確認することが、それぞれの銀行の「個性」を正しく理解する第一歩です。
高配当投資家が注目する「株主還元」の三者三様
メガバンクはかつて日本を代表する「高配当株」としても知られていました。ここでは、投資家が最も気にする「配当」と、株価を支える「自社株買い」について、各社の姿勢を深掘りします。
投資家が知っておきたい還元用語
- 累進配当(るいしんはいとう): 減配(配当を減らすこと)をせず、配当水準を維持するか、あるいは増配することを基本方針とする考え方です。
- 配当性向(はいとうせいこう): その年の利益のうち、何%を配当金として株主に支払うかを示す指標です。メガバンク各社は概ね「40%程度」を目標としています。
- 総還元性向(そうかんげんせいこう): 「配当」に「自社株買い」を合わせた金額が、利益の何%に相当するかを示す指標です。
3社の還元姿勢の比較
| 銀行名 | 還元方針の主な特徴 | 注目ポイント |
|---|---|---|
| 三菱UFJ | 累進配当・配当性向40%目標 | 利益成長を通じた安定的・持続的な増配を掲げ、2026年3月期は年間74円(前期比+10円)を予想。5期連続増配の見通し。 |
| 三井住友 | 累進的配当方針を明示 | 配当性向40%を維持しつつ、累進配当を基本方針として導入。株主への安定した還元に対するコミットメントが強い。 |
| みずほ | 累進的な増配と機動的な自社株買い | 配当性向40%を目安としつつ、自社株買いを含めた「総還元性向50%以上」を目標に掲げ、積極的な還元姿勢へ転換。 |
比較の視点:それぞれの特徴
- 増配の勢い: 利益成長と連動し、1株当たり配当を着実に伸ばしている三菱UFJ。
- 方針の安定性: 早くから累進配当を掲げ、安定的な還元姿勢を強調している三井住友。
- 還元の強化: 「総還元性向50%以上」という明確な目標を打ち出し、自社株買いを含めた還元を加速させているみずほ。
メガバンク各社のこうした還元施策は、国際的な規制(BIS規制)に基づいた十分な自己資本を維持しつつ、その資本効率を向上させるという方針に基づいています。
PBR「1倍超」のその先へ:ROEと資本政策から見る評価余地
2026年現在、メガバンク各社のPBR(株価純資産倍率)はすでに1倍を大きく超える水準まで回復しています。
かつての「1倍割れ解消」を目指すフェーズは終わり、現在は**「資本コストを上回るROE(自己資本利益率)をいかに維持・向上させ、市場評価をどこまで伸ばせるか」**という新たなステージに入っています。
3メガが掲げる「ROE目標」と資本政策の現在地
「PBR 1倍を維持・突破する」ために必要なROE水準(一般に8〜9%程度)に対し、各社はさらなる高みを目指しています。
- 三菱UFJ: 2026年度にROE 9%程度という財務目標を掲げています。規制上の自己資本(CET1比率)を9.5〜10.5%の適切なレンジで管理しつつ、利益成長に合わせた増配と機動的な自社株買いを組み合わせる王道の戦略です。
- 三井住友: 中計目標であったROE 8%を前倒しで達成。現在はROE 11%程度の早期達成を視野に入れつつ、長期的には欧米主要行並みの**15%**も目標として掲げています。政策保有株式の削減と、リスクに対する収益性(ROCET1)の向上を重視しています。
- みずほ: 当初のROE 8%超目標を前倒しで達成したことを受け、現在はROE 10%超という新たな目標を打ち出しています。2028年3月期までに政策保有株式を簿価で3,500億円以上売却する計画や、総還元性向50%以上という方針が評価を支えています。
バリュエーションシナリオ:PBR 1.5倍、2倍への道筋
市場が銀行株をどう評価するかは、ROEと自己資本コストの関係で整理できます。
- PBR 1.0倍前後: ROEが株主の期待(自己資本コスト:概ね7〜8%)と同程度の場合。
- PBR 1.2〜1.5倍: ROEが自己資本コストを安定的に上回り、持続的な成長が期待される場合。
- PBR 1.5倍超:ROE 10%前後を安定維持し、構造的な成長ストーリーが信頼された場合。米国メガバンクのJPモルガン・チェースなどは、長期的にROE10%超を稼ぎながら、PBRも概ね1.5〜2倍程度まで評価されてきた代表例です。
個人投資家が見るべき「次のチェックポイント」
「PBRが低いから買う」から「ROEと資本政策から、何倍まで評価されるかを逆算する」視点へのアップデートが求められます。
- ROE目標の上方修正余地: 利益成長が想定を上回り、目標がさらに引き上げられるか。
- 政策保有株式の削減ペース: 2028年に向けた売却計画が計画通り(あるいは前倒しで)進んでいるか。
- 総還元性向と自社株買いの継続性: 一時的ではなく、持続可能な方針として信頼できるか。
- 金利サイクル鈍化後の稼ぐ力: 利上げが落ち着いた後も、非金利収益でROEを維持できるか。
あなたの投資スタイルに合わせた「一手の選び方」
今回の比較を通じて、3メガバンクは「金利上昇」という共通の追い風を受けつつも、その内実は三者三様であることが改めて浮き彫りになりました。
すでに「PBR 1倍割れ」という過去の課題を克服した今、日本のメガバンクがJPモルガンのように長期的に高評価を維持できる「グローバル・スタンダード」のステージへ進めるかが焦点となっています。
最後に、「投資判断のポイント」をまとめます。
1. 世界規模の成長と「増配の勢い」を重視するなら:三菱UFJ
- 理由: 圧倒的な資産規模と海外戦略により、国内金利に左右されにくい多角的な収益基盤を持っています。利益成長に連動した力強い増配実績を重視する方に適しています。
2. 高い資本効率と「累進配当の安心感」を重視するなら:三井住友
- 理由: 3社で最も高いROE目標を掲げ、資本効率の追求に意欲的です。早くから累進配当を掲げ、安定的な還元へのコミットメントを重視する保守的な層との親和性が高いといえます。
3. 国内利上げの「感応度」と「変化」に期待するなら:みずほ
- 理由: 国内ビジネス比率が高く、利上げによる「利ざや改善」の恩恵が最も直接的に現れる構造です。ROE目標の上方修正や積極的な還元方針への転換など、現在の「変化の大きさ」に期待する層に適しています。
これまでの「失われた30年」とは異なる、金利のある新しい局面において、これらの客観的なデータをひとつの判断材料として、ご自身の投資スタイルに最適な選択を検討してみてください。
免責事項:本記事は決算資料等の公表情報に基づいた解説であり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断は自己責任で行ってください。
今後も別の個別株も解説していきますので、ひとつの参考にしてみてください(^^)