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【2026年6月】家賃保証の高配当3社を徹底比較|全保連(5845)・イントラスト(7191)・ジェイリース(7187)を整理

こんにちは、高配当株投資家のタグ(@kabu.tagu-blog)です。

「景気が悪くなったら、配当も減ってしまうのでは」――高配当株を持っていると、ふとそんな心配が頭をよぎります。とくに不況や利上げといった言葉を聞くと、自分の持ち株の配当は大丈夫かなと、つい身構えてしまいますよね。そんななかで、私がずっと面白いと思って見ているのが、今回取り上げる家賃債務保証(やちんさいむほしょう)というビジネスです。

家賃債務保証とは、ざっくり言えば「賃貸住宅の連帯保証人を、会社が代わりに引き受けるサービス」のこと。昔は部屋を借りるとき親や親戚に連帯保証人をお願いするのが普通でしたが、今は保証会社を使うのが当たり前になりました。入居者は毎月の家賃のほかに保証料を払い、もし家賃を滞納したら、保証会社がいったん大家さんへ立て替えて払う――そんな仕組みです。ここで大事なのは、人は不況だからといって、いきなり家を出ていくわけではないということ。むしろ景気が悪いときほど、家賃を払えない人が出ても保証会社の役割が効いてくる。だから家賃保証は、景気の波に比較的強い「ストック型(積み上げ型)」のビジネスだと言われます。

2026年6月19日の終値で見ると、この家賃保証ビジネスを主力とする上場3社が、そろって予想配当利回り4.5%超という、なかなか高い水準にあります。全保連(5845)・イントラスト(7191)・ジェイリース(7187)の3社です。日本株の配当利回りは平均で2%台といわれるなか、3社そろって4.5%超はしっかり高い水準。しかも、この3社には共通点があります。いずれも前期(2026年3月期)に過去最高益を更新し、連続増配の傾向にあるのです。

ところが――ここからが今回いちばんお伝えしたいところです。3社とも「家賃保証・高配当・過去最高益」という芯は共通していますが、その配当を"どう増やしていくと約束しているか"、そして成長のスピードや事業のリスクの出方が、それぞれ違うのです。全保連は「累進配当(るいしんはいとう)」という、減配しない約束を掲げています。イントラストは11期連続増配を計画し、配当性向(はいとうせいこう)を60%まで引き上げる方針です。ジェイリースは7期連続増配を計画しつつ、配当性向は40%程度を基準に据えています。同じ「家賃保証・利回り4.5%超」という入口を通っても、その中身は三者三様。

つまり、利回りの数字や「家賃保証だから不況に強い」という見出しは、あくまで"入口"にすぎない。本当に見るべきは、「会社がどのスピードで成長し、配当の還元をどう約束し、家賃保証のリスク(滞納・代位弁済)をどうコントロールしているのか」のほうだ――というのが、今回の記事の芯になる考え方です。1社ずつ、各社の公式IR資料(決算短信・決算説明資料)をもとに、その中身を正直に点検していきます。

※本記事は特定銘柄の売買を推奨するものではありません。株価・指標は2026年6月19日終値、業績・配当方針は各社の公式IR資料に基づきます。3社の比較は「対決」ではなく、それぞれの個性をフラットに整理する趣旨です。家賃保証ビジネスの読み解きや評価軸は私(タグ)個人の見方です。

目次

まず前提|「家賃債務保証」「代位弁済」「当期」「前期」の意味をそろえる

具体的な銘柄に入る前に、この記事で使う言葉の意味をそろえさせてください。聞き慣れない専門用語が多いビジネスなので、ここを押さえておくと、このあとの話がぐっと分かりやすくなります。

  • 家賃債務保証(やちんさいむほしょう)…賃貸住宅を借りる人(入居者)が家賃を払えなくなったときに備えて、保証会社が「連帯保証人の代わり」を引き受けるサービスです。入居者は契約時と更新時に保証料(保証委託料)を払います。家を借りるたびに保証会社を使うのが今や一般的になり、市場は広がってきました。3社とも、この家賃債務保証が事業の主力です。
  • 代位弁済(だいいべんさい)…入居者が家賃を滞納したとき、保証会社が大家さん(または管理会社)へいったん家賃を立て替えて払うことです。「代わりに(代位)弁済する」という意味ですね。立て替えたお金は、あとで入居者本人から回収します。保証会社にとっては、この立替えと回収のあいだのズレが、もうけと損失の分かれ目になります。
  • 代位弁済率(だいいべんさいりつ)・代位弁済発生率…保証している契約のうち、どれくらいの割合で代位弁済(立替え)が発生したかを示す数字です。低いほど「滞納が少なく、審査がうまくいっている」と読めます。ただし、各社で計算の仕方や定義が違うので、数字を単純に横並びで比べることはできません(後で説明します)。
  • 回収率(かいしゅうりつ)・代位弁済回収率…立て替えたお金を、あとでどれくらい回収できたかを示す割合です。高いほど「立て替えたお金がきちんと戻ってくる=損失になりにくい」と読めます。家賃保証ビジネスでは、この回収率の高さが利益を支える生命線になります。

そして、決算の話でよく混乱するのが「いつの期の話か」です。この記事では次のように統一します。

  • 前期(ぜんき)…直近で締まった本決算のこと。この記事では3社とも2026年3月期(2025年4月~2026年3月)を指します。すでに実績が確定している、いちばん新しい「答え合わせ済み」の1年です。
  • 当期(とうき)…いま進行中の決算のこと。この記事では3社とも2027年3月期(2026年4月~2027年3月)を指します。まだ終わっていないので、数字は「会社予想(会社が見込んでいる数字)」です。

ひとつ注意があります。決算書には「当期純利益(とうきじゅんりえき)」という会計用語が出てきますが、これは上で説明した「当期(=2027年3月期)」とは別物です。会計の「当期純利益」は「その期の最終的なもうけ」を指す科目名で、いつの期の話かは文脈で決まります。混乱しやすいので、この記事では「最終利益」と言いかえることもあります。

数字を読む前に|配当性向・累進配当・連続増配・PER・PBRのざっくりの意味

このあと各社の表に、いくつかの指標が並びます。投資を始めたばかりの方のために、今回特に大事になる言葉を、ごく簡単に整理しておきます(すでにご存じの方は読み飛ばしてください)。

  • 配当利回り(はいとうりまわり)…「1株あたりの配当 ÷ 株価」で計算します。投資したお金に対して、1年で何%の配当がもらえるかを表します。配当が同じでも株価が下がれば、利回りは自動的に上がります。今回の3社は、いずれも当期(2027年3月期)の予想配当をもとにした利回りが4.5%超です。
  • 配当性向(はいとうせいこう)…「配当総額 ÷ 最終利益」。会社が稼いだ利益のうち、何%を配当に回したかを表します。たとえば配当性向50%なら「もうけの半分を配当にした」状態。低いほど「利益に対して配当に余裕がある(無理していない)」と読め、高いほど「利益の多くを配当に回している」ことになります。今回の3社は、この配当性向の方針がそれぞれ違います(イントラスト60%/ジェイリース40%程度など)。
  • 累進配当(るいしんはいとう)「配当を減らさない(少なくとも維持し、できれば増やす)」と会社が約束する方針のことです。普通の配当方針は「利益が減れば配当も減ることがある」のが前提ですが、累進配当を掲げる会社は「減配はしない」と宣言します。配当を目当てに長く持ちたい投資家にとっては、心強い方針です。今回の全保連が、この累進配当を導入しています。
  • 連続増配(れんぞくぞうはい)…毎年、配当を増やし続けている状態のこと。「○期連続増配」と表現します。これを続けるのは簡単ではなく、続けている会社は株主還元に対する意志が強いと読めます。今回のイントラスト(11期連続増配計画)とジェイリース(7期連続増配計画)が、この連続増配を掲げています。
  • PER(株価収益率)…「株価 ÷ 1株あたり利益(EPS)」。株価が「1年分のもうけの何倍か」を表します。一般に低いほど割安とされますが、業種や成長性によって適正水準は変わります。今回の3社のPERは、いずれも当期(2027年3月期)の会社予想利益をもとにした数字です(各社の決算資料と突き合わせて確認済み)。
  • PBR(株価純資産倍率)…「株価 ÷ 1株あたり純資産(BPS)」。株価が「会社の純資産(解散したら株主に残る価値)の何倍か」を表します。1倍を割れていると株価が純資産より安い水準、1倍を超えていると市場が将来の稼ぐ力を上乗せして評価している、と読めます。今回の3社は、いずれもPBRが約3倍と高めです。

これらの指標は、単独で見るとミスリードを生みます。「利回りが高いからお得」「過去最高益だから安心」と一言で片づけず、業績の中身・成長のスピード・会社が掲げる還元方針とセットで読む。この姿勢を持ったうえで、3社を見ていきましょう。

まず結論|3社の「成長率・配当方針・リスクの出方」は三者三様

銘柄 前期の業績 当期予想(最終利益) 配当方針の軸 ひとことで
全保連(5845) 増収増益(営業+24.5%)・過去最高益 最終+46.0%(特損剥落が主因) 累進配当(40円以上 or 性向50%以上の高い方) 減配しない約束で40→48円へ増配
イントラスト(7191) 増収増益(営業+18.8%)・過去最高益 最終+5.5% 11期連続増配計画/配当性向60% 還元を段階的に厚くし38→49.5円へ増配
ジェイリース(7187) 増収増益(営業+16.8%)・過去最高益 最終+2.1%(上期は投資先行で減益) 7期連続増配計画/配当性向40%程度 成長投資を続けつつ55→60円へ増配

横並びで見ると、3社とも「家賃保証・利回り4.5%超・前期は過去最高益」という芯は同じでも、配当の約束の仕方と成長のスピードがそれぞれ違うのが分かります。全保連は「減配しない」累進配当を軸に、イントラストは配当性向を60%まで引き上げる連続増配で、ジェイリースは配当性向40%程度を基準に成長投資と両立させながら――それぞれの形で株主還元を進めています。1社ずつ見ていきましょう。

① 全保連(5845)|MUFG傘下で審査を磨き、「累進配当」で還元する

何の会社か

家賃債務保証を専門に手がける会社です。証券コードは5845、東証スタンダードの「その他金融業」。2001年に設立され、沖縄(那覇市)と東京(新宿区)に本社を置き、全国19拠点・従業員575名(2026年3月末)で事業を展開しています。事業は家賃債務保証事業の単一セグメント(事業の区分が1つ)で、不動産の仲介会社・管理会社(協定会社)を経由して、入居者と保証の契約を結ぶ仕組みです。主な収益源は、契約時の初回保証委託料と、更新時の継続保証委託料です。

全保連を語るうえで欠かせないのが、MUFG(三菱UFJフィナンシャル・グループ)との資本関係です。2025年4月にMUFGの連結子会社となり、筆頭株主は三菱UFJニコス株式会社(持株比率51.13%、2026年3月末)。メガバンクグループの傘下に入ったことで、優良な不動産会社の紹介による顧客基盤の拡大や、2026年2月に出した「三菱UFJカードプラン」(家賃のカード払い商品)など、グループ連携が成長の柱になっています。

家賃保証という事業の特徴を、投資の観点から少し補足します。このビジネスは、契約を積み上げるほど継続保証委託料が積み上がる「ストック型」である一方、入居者の滞納が増えれば代位弁済(立替え)が膨らみ、利益が圧迫されるリスクを抱えています。だからこそ、いかに審査の精度を上げて滞納を減らし、立て替えたお金をきちんと回収するかが、各社の腕の見せどころになります。全保連は、後で見るようにAIを活用した審査の高度化を進めており、これが前期の好業績につながっています。

株価・バリュエーション(2026年6月19日終値)

項目 数値
株価 994円
PER(予想) 10.3倍
PBR 3.22倍
予想配当利回り 4.83%
時価総額 265億円
市場・業種 東証スタンダード・その他金融業(家賃債務保証)

PERは10.3倍で、これは当期(2027年3月期)の予想利益をもとにした数字です(参考までに、前期実績の利益で計算すると約15.0倍になります)。PBRは3.22倍、利回りは4.83%で、これは当期の予想配当48円をもとにした数字です。3社のなかでは、利回りが最も高く、PERは最も低い水準にあります。

直近業績|前期は二桁の営業増益、当期は最終利益が大きく伸びる予想

全保連の業績は、前期も当期予想も増収増益です。まず前期(2026年3月期・単体)の実績から見ていきます。

2026年3月期(前期) 金額 前期比
売上高 261.88億円 +2.1%
営業利益 31.73億円 +24.5%
経常利益 31.78億円 +25.2%
当期純利益(最終利益) 17.28億円 +6.6%

売上は+2.1%と緩やかな増収ですが、営業利益は+24.5%、経常利益は+25.2%と二桁の増益で、いずれも過去最高を更新しました。なぜ売上の伸び以上に利益が伸びたのか。会社の説明によれば、AIを活用した審査の高度化で信用コスト(貸し倒れに備えるコスト)を削減できたことが大きな要因です。売上原価が前期の85.04億円から79.55億円へと減り、利益率が改善しました。MUFGとの連携シナジー、地方銀行との提携拡大(鹿児島・琉球など)、DX(業務のデジタル化)も寄与しています。

ひとつ注意したいのが、最終利益だけ+6.6%と伸びが小さい点です。これは、退任した取締役への退職慰労金として、一過性の特別損失6億円を計上したためです。この一時的なコストがなければ、最終利益ももっと伸びていた計算になります。それでも最終利益は過去最高を更新しました。財務面では、現金及び預金104.35億円を持ち、借入金を9億円からゼロにして実質無借金になっています。

続いて当期(2027年3月期)の会社予想です。

2027年3月期(当期・会社予想) 金額 前期比
売上高 274.16億円 +4.7%
営業利益 35.30億円 +11.2%
経常利益 35.32億円 +11.1%
当期純利益(最終利益) 25.24億円 +46.0%

当期も増収増益の予想で、いずれも過去最高を見込んでいます。とくに目を引くのが、最終利益が+46.0%と大きく伸びる予想です。ここは数字の落差に注意が必要で、営業利益・経常利益が+11%台なのに最終利益だけ+46%も伸びるのは、前期に計上した一過性の特別損失6億円(退職慰労金)が当期にはなくなる(剥落する)ことが主因と読み取れます。つまり、当期の最終利益の大きな伸びは、本業がそれだけ急拡大するというよりも、前期に一度だけ乗った特別な損失がなくなる影響が大きい、という整理になります。当期予想EPS(1株あたり利益)は96.46円で、PER10.3倍はこの数字をもとにしています。

配当の安心度|「累進配当」を導入、40円→48円へ増配

ここがこの会社のいちばんのポイントです。全保連は2025年5月に株主還元方針を変更し、累進配当を導入しました。

年間配当 配当性向
2025年3月期(前々期) 35.00円 52.3%
2026年3月期(前期) 40.00円 60.6%
2027年3月期(当期・予想) 48.00円 50.0%

配当は35円→40円→48円(当期予想)と着実に増えています。会社の配当方針は、決算説明資料の原文で次のように示されています。

長期経営計画期間中(2027年3月期~2030年3月期)の配当金は以下のいずれか高い方とし、累進配当を実施。①1株当たり配当金40円以上 ②配当性向50%以上

ここがカギです。累進配当とは、先ほど説明したとおり「配当を減らさない(少なくとも維持し、できれば増やす)」という会社の約束です。全保連の場合は具体的に、「①1株あたり40円以上」か「②配当性向50%以上」のどちらか高いほうを配当する、としています。当期予想の48円は、まさにこの方針に沿った金額です(48円は配当性向50.0%にあたります)。配当を目当てに長く持ちたい投資家にとって、「減配しない」という約束は心強い材料といえます。

整理すると、全保連は「MUFG傘下でAI審査を磨いて前期は二桁営業増益、累進配当という減配しない方針のもとで40円→48円へ増配している」会社です。利回り4.83%・配当48円という数字は、この累進配当の方針を理解して初めて意味が分かります。一方で、当期の最終利益+46%増の大半が前期特損の剥落によるものである点や、賃貸住宅の新規着工が減るなかで成長を続けられるかは、この銘柄を見るときの論点になる、というのが私の整理です。

家賃保証のリスク指標|代位弁済率0.45%・回収率96.4%

全保連は、家賃保証のリスクをどうコントロールできているかを示す独自の指標を開示しています。

指標 2026年3月期(前期) 前期からの変化
早期入金控除後30日期間代位弁済率(審査精度指標) 0.45% ▲0.01pt(改善)
代位弁済回収率 96.4% +0.4pt(改善)
売上高対比求償債権比率 22.5%(同社「業界No.1」)

「早期入金控除後30日期間代位弁済率」とは、全保連が独自に開発した審査精度の測定指標で、一定期間に契約した案件のうち、初回家賃の支払日に代位弁済が発生し、かつ30日以内に入金がなかった件数の割合です。前期は0.45%とごくわずかで、しかも改善しています。回収率も96.4%と高く、立て替えたお金がきちんと戻ってきていることが分かります。注意したいのは、この代位弁済率の定義は全保連独自のもので、後で見るジェイリースの「代位弁済発生率(前期6.5%)」とは計算の前提がまったく違うため、数字を単純に横並びで比べることはできない点です。同じ「代位弁済率」という言葉でも、各社で意味が異なります。

長期経営計画|2030年3月期に時価総額669億円を目指す

全保連は2025年5月公表の長期経営計画(2027年3月期~2030年3月期)を、MUFG連携が実行フェーズに入ったことを受けて上方修正しました。最終年度の2030年3月期に、売上高360億円・営業利益63億円・経常利益63億円・最終利益43億円・ROE27.2%・時価総額669億円(当初計画600億円から上方修正)を目標に掲げています。成長戦略の柱は、MUFG戦略(カード商品・取引先紹介・決済ソリューション)、地銀戦略、高齢者戦略、事業用戦略(物流施設など、住居用の2倍超の潜在市場と見る)、DX戦略(AI審査など)です。なお会社は、賃貸住宅の新規着工が前年比13.5%減、個人再生・破産や企業倒産が増加傾向にあるなかでも、AI審査による信用コスト低減と固定費削減で対応する方針を示しています。

※全保連の詳細は、個別記事で深掘り予定です(近日公開)。

② イントラスト(7191)|「総合保証」で領域を広げ、配当性向60%まで還元を厚くする

何の会社か

家賃債務保証を主力としつつ、保証の対象を幅広い分野に広げている「総合保証サービス会社」です。証券コードは7191、東証スタンダードの「その他金融業」。2006年設立、本社は東京・麹町、従業員は連結435名(2026年3月末)。代表取締役社長は桑原豊氏です。

イントラストの特徴は、家賃債務保証を軸にしながら、保証の領域を医療・介護・養育費などへ広げていることです。事業は3つに分かれます。保証事業(家賃債務保証のほか、医療費用保証、介護費用保証、養育費保証など、滞納時に代位弁済し本人から回収する事業)、ソリューション事業(家賃保証で培ったノウハウを使った審査・契約管理・集金代行などの業務支援)、そして当期から加わるITサービス事業(2026年1月に子会社化したキャロルシステムが手がけるシステム開発・DX支援)の3本柱です。会計上は「総合保証サービス事業の単一セグメント」として扱われますが、関連情報として売上を3区分で開示しています。

前期の事業別売上を見ると、保証事業が110.49億円(前期比+16.0%)と圧倒的な主力で、ソリューション事業が9.09億円、ITサービス事業が3.23億円(新規)。家賃保証を土台に、医療・介護といった成長分野へ事業を広げている――この「総合保証」への展開が、イントラストを読むときの背景になります。

株価・バリュエーション(2026年6月19日終値)

項目 数値
株価 1,080円
PER(予想) 13.1倍
PBR 2.98倍
予想配当利回り 4.58%
時価総額 242億円
市場・業種 東証スタンダード・その他金融業(家賃債務保証)

PERは13.1倍で、これも当期(2027年3月期)の予想利益をもとにした数字です(前期実績の利益で計算すると約13.9倍)。PBRは2.98倍、利回りは4.58%で、当期予想配当49.50円をもとにした数字です。3社のなかでは、PERがやや高めで、利回りはいちばん低い水準ですが、それでも4.5%を超えています。

直近業績|前期は増収増益で過去最高、当期は増益率が鈍化する予想

イントラストの業績は、前期が力強い増収増益でした。まず前期(2026年3月期・連結)の実績です。

2026年3月期(前期・連結) 金額 前期比
売上高 122.83億円 +16.2%
営業利益 27.66億円 +18.8%
経常利益 27.97億円 +19.3%
親会社株主に帰属する当期純利益(最終利益) 17.44億円 +28.2%

売上高+16.2%、営業利益+18.8%、最終利益+28.2%と、すべての段階で二桁の増収増益となり、売上高・営業利益・最終利益のいずれも過去最高を更新しました。増収の中心は保証事業です。家賃債務保証で新規・保有契約が増え、更新保証料が伸びた(前年同期比+8.4%)うえに、医療費用保証(+38.6%)・介護費用保証(+238.2%)といった新しい保証分野が成長フェーズに入ったことが効いています。第4四半期からは子会社化したキャロルシステムのITサービス売上も加わりました。

利益が伸びたのは、保証事業の成長でコストが増えるなかでも、効率的な回収活動で貸倒コストの伸びを抑えたことが大きいと会社は説明しています。自己資本比率は63.1%と3社のなかで最も高く、財務的な余裕があるのも特徴です。

続いて当期(2027年3月期・連結)の会社予想です。

2027年3月期(当期・会社予想) 金額 前期比
売上高 142.00億円 +15.6%
営業利益 30.00億円 +8.4%
経常利益 30.20億円 +8.0%
親会社株主に帰属する当期純利益(最終利益) 18.40億円 +5.5%

当期は売上高+15.6%と二桁の増収を見込む一方で、営業利益は+8.4%、最終利益は+5.5%と、増益率は前期より鈍化する予想です。これは業績が悪化するからではなく、会社が意図的に利益率を抑えて、成長への投資にお金を回しているためです。会社は「売上高は142億円を計画するも、営業利益30億円を必達」と表現し、人員の補強・基幹システムの強化・社員教育・キャロルシステム連結に伴う費用(のれん償却など)を織り込んで、営業利益率を20%台前半に抑える方針を示しています。当期予想EPSは82.24円で、PER13.1倍はこの数字をもとにしています。

配当の安心度|11期連続増配を計画、配当性向を60%まで引き上げ

イントラストの配当は、年々はっきりと厚くなってきています。

年間配当 配当性向(連結)
2025年3月期(前々期) 25.00円 41.1%
2026年3月期(前期) 38.00円 48.7%
2027年3月期(当期・予想) 49.50円 60.2%

配当は25円→38円→49.50円(当期予想)と大きく増えています。前期の38円で10期連続増配、当期予想の49.50円は11期連続増配を計画しています。注目したいのは、配当性向が41.1%→48.7%→60.2%(当期予想)と段階的に引き上げられていること。会社の中期経営計画(原文ベース)では、株主還元について「配当性向は40~60%へ」「最終年度は60%を目指す」と示されており、当期(中計の最終年度)の予想配当性向60.2%は、まさに方針どおり60%の水準に到達しています。

つまりイントラストは、「増配を続けながら、配当性向そのものも40%台から60%へと引き上げてきた」会社です。全保連が「累進配当(減配しない約束)」を軸にするのに対し、イントラストは「連続増配+配当性向の引き上げ」で、利益の成長以上に還元を厚くしてきた――ここに個性があります。当期予想の配当性向60.2%は、中計で掲げた60%目標に到達した格好で、株主還元を意識的にステージアップさせてきた姿勢が読み取れます。一方で、配当性向が60%まで上がってきたことで、今後さらに性向を引き上げる余地は前期までより小さくなる可能性がある点や、当期は成長投資で増益率が鈍化する点をどう見るかは、この銘柄の論点になる、というのが私の整理です。

家賃保証のリスク指標|滞納発生率7.3%・滞納回収率98.0%

イントラストは、代位弁済そのものの率は資料に直接の記載がなく、代わりに「滞納」をベースにした指標を開示しています。

指標 数値 備考
家賃保証契約数 約38万件 2026年3月末時点
滞納発生率 約7.3% 過去12ヵ月移動平均
滞納回収率 98.0% 過去12ヵ月移動平均

滞納発生率は約7.3%、滞納回収率は98.0%と高水準です。会社は「専門性・評価・回収」の3つの強みで滞納率をコントロールし、代位弁済(立替え)と回収のあいだのギャップが利益の源泉になる、と説明しています。ここでも注意したいのは、イントラストの「滞納発生率」は、全保連の「代位弁済率(0.45%)」ともジェイリースの「代位弁済発生率(6.5%)」とも計算の前提が違うため、3社の数字を単純に並べて優劣を判断することはできない点です。それぞれ、自社の事業をどうコントロールできているかを見るための数字、と捉えるのがよいと思います。

中期経営計画|営業利益30億円を必達、プライム市場再上場を目指す

イントラストは第3次中期経営計画「ジャンプ」(2025年3月期~2027年3月期)を進めており、最終年度の当期(2027年3月期)に売上高150億円・営業利益30億円・配当性向40~60%(最終年度60%目標)・ROE20%以上を掲げています。当期の会社計画(売上142億円・営業利益30億円)は、売上目標150億円には届かない計画ですが、営業利益30億円は中計目標と一致しており、「営業利益30億円を必達」という姿勢が示されています。方針は「営業利益率よりも売上成長を重視」で、利益率を20%に抑えて成長投資の原資に充て、家賃債務保証に続く柱として医療・介護費用保証を育てる構えです。また説明資料には「プライム市場への再上場に向けて順調に進捗」との記載があります。

※イントラストの詳細は、個別記事で深掘り予定です(近日公開)。

③ ジェイリース(7187)|店舗網を全国へ広げ、成長投資を続けながら7期連続増配を計画する

何の会社か

家賃債務保証(保証関連事業)を主力とする会社です。証券コードは7187、3社のなかで唯一の東証プライム上場。代表取締役社長は中島土氏、本社は東京・大分の2拠点で、創業22年。住居用・事業用の家賃保証に加え、医療費保証・養育費保証も展開しています。

ジェイリースの特徴は、全国に広がる店舗網と、M&Aによるグループ拡大です。前期末で44店舗・41都道府県体制(三重・山形・青森・秋田を新設)と、店舗網は会社いわく「業界No.1」。当期は6店舗を開設し、全国47都道府県体制を目指しています。報告セグメントは、主力の保証関連事業(前期売上193.19億円で連結売上の約9割、営業利益35.35億円)のほか、不動産関連事業(外国人向け不動産仲介など)、IT関連事業(環境検査システムの開発販売など)、その他(サッカーチーム運営「ジェイリースFC」、総合広告など)の4区分です。当期にかけて、近畿圏の家賃保証会社K-net、総合広告のエイエフビイなどを子会社化し、グループを広げています。

このように、ジェイリースは家賃保証を主軸にしながら、店舗網の拡大とM&Aで事業を広げている――この「攻めの拡大」が、後で見る「成長投資による利益の一時的な伸び悩み」の背景になります。

株価・バリュエーション(2026年6月19日終値)

項目 数値
株価 1,292円
PER(予想) 9.1倍
PBR 3.12倍
予想配当利回り 4.64%
時価総額 233億円
市場・業種 東証プライム・その他金融業(家賃債務保証)

PERは9.1倍で、これも当期(2027年3月期)の予想利益をもとにした数字です(前期実績の利益で計算すると約9.4倍)。PBRは3.12倍、利回りは4.64%で、当期予想配当60円をもとにした数字です。3社のなかでは、PERが最も低く、唯一プライム市場に上場している点が特徴です。

直近業績|前期は売上+24.9%と高成長、当期は上期に投資先行で減益も通期は増益予想

ジェイリースの業績は、3社のなかで前期の売上の伸びが最も大きいのが特徴です。まず前期(2026年3月期・連結)の実績です。

2026年3月期(前期・連結) 金額 前期比
売上高 215.74億円 +24.9%
営業利益 36.24億円 +16.8%
経常利益 35.90億円 +15.9%
親会社株主に帰属する当期純利益(最終利益) 24.70億円 +18.3%

売上高+24.9%は3社のなかで最も高い伸びで、売上・利益ともに過去最高を更新しました。会社計画(売上210億円・営業利益35億円)も上回って着地しています。増収の中心は主力の家賃保証で、住居用賃料保証が+22.8%、事業用賃料保証が+29.1%といずれも過去最高を更新。事業用は首都圏の高額物件保証が増えて契約単価が上がりました。子会社化したK-netの売上も寄与しています。

利益面では、契約件数の拡大に伴う貸倒関連費用の増加、競争激化による不動産会社向け事務手数料の増加、M&Aで生じたのれんの償却費(買収額と純資産の差額を毎年費用として計上する分)の増加がありましたが、売上拡大でこれを吸収し、各利益とも過去最高を更新しました。なお営業利益率は前期の18.0%から16.8%へ低下しています(M&A・競争激化のコスト影響)。

続いて当期(2027年3月期・連結)の会社予想です。

2027年3月期(当期・会社予想) 金額 前期比
売上高 248.59億円 +15.2%
営業利益 38.56億円 +6.4%
経常利益 38.25億円 +6.5%
親会社株主に帰属する当期純利益(最終利益) 25.22億円 +2.1%

当期は売上高+15.2%と二桁の増収を見込みつつ、営業利益+6.4%、最終利益+2.1%と、増益率は前期より鈍化する予想です。ここで一つ知っておきたいのが、上期(第2四半期累計)はあえて減益を見込んでいること。会社の上期予想は、売上が+17.8%と伸びる一方で、営業利益は▲13.5%、最終利益は▲16.3%の減益です。これは業績が崩れるのではなく、新基幹システムの開発・新人事制度の導入・東京本社の増床といった戦略的な投資(販管費を約3億円増やす計画)を先行させているためです。会社は「上期は投資先行で減益、通期は増収効果で増益(過去最高益更新)」という計画を示しており、さらに翌期(2028年3月期)は投資が一巡して営業利益2桁成長を見込む、としています。当期予想EPSは141.44円で、PER9.1倍はこの数字をもとにしています。

配当の安心度|配当性向40%程度を基準に、7期連続増配を計画

ジェイリースの配当は、業績の成長とともに着実に増えています。

年間配当 配当性向(連結)
2025年3月期(前々期) 45.00円 38.4%
2026年3月期(前期) 55.00円 39.9%
2027年3月期(当期・予想) 60.00円 42.4%

配当は45円→55円→60円(当期予想)と増えています。前期で7期連続増収増益・6期連続増配を達成し、当期は7期連続増配を計画しています。会社の配当方針は、説明資料の原文で次のように示されています。

配当性向40%程度を基準に株主還元を実施

ここが、3社の個性が分かれるポイントです。イントラストが配当性向を60%まで引き上げてきたのに対し、ジェイリースは配当性向40%程度を基準に据えています。実際、前々期38.4%→前期39.9%→当期予想42.4%と、おおむね40%前後で推移しています。これは「還元が薄い」という意味ではなく、利益の一定割合を着実に配当に回しつつ、残りは成長投資(店舗網拡大・M&A・システム投資)に充てるという考え方の表れと読めます。連続増配を続けながらも配当性向を40%程度に抑えることで、配当と成長投資を両立させている――ここがジェイリースらしさです。なお、ジェイリースには株主優待もあり、「プレミアム優待倶楽部」を継続しています。

整理すると、ジェイリースは「店舗網を全国へ広げ、M&Aと成長投資を続けながら、配当性向40%程度を基準に7期連続増配を計画している」会社です。利回り4.64%・配当60円という数字は、この「成長投資と配当の両立」という方針を理解すると見えやすくなります。一方で、当期は上期に投資先行で減益を見込む点や、後で見るように代位弁済発生率が上昇傾向にある点をどう見るかは、この銘柄の論点になる、というのが私の整理です。

家賃保証のリスク指標|代位弁済発生率6.5%・回収率97.4%

ジェイリースは、代位弁済の発生率と回収率を明示的に開示しています(いずれもジェイリース単体・K-net含まず)。

指標 2025年3月期 2026年3月期(前期) 2027年3月期(当期・見通し)
代位弁済発生率 6.3% 6.5%(+0.2pt) 6.7%(中期見通し7%程度)
代位弁済回収率 97.4% 97.4%(横ばい) 96.8%(中期見通し96%台)
代位弁済立替金残高 71.77億円 85.62億円(+19.3%)

代位弁済発生率は前期6.5%、回収率は前期97.4%。会社は当期に発生率の上昇(6.5%→6.7%)と回収率の低下(97.4%→96.8%)をあらかじめ計画に織り込んでいます。物価上昇などを背景に、立て替えるお金(代位弁済立替金残高)も前期に+19.3%と増えています。ここでも繰り返しになりますが、この「代位弁済発生率6.5%」を、全保連の「代位弁済率0.45%」と単純に比べてはいけません。両社は計算の定義がまったく違うからです。同じ「家賃保証」でも、リスク指標の出し方は各社バラバラで、横並び比較には向かない――この点は、3社を見るうえで特に気をつけたいところです。ジェイリースについては、発生率・回収率がともに「悪化を織り込んだうえでの計画」になっていることを押さえておくとよいと思います。

中期経営計画|自己資本比率50%以上・ROE20~35%を目指す

ジェイリースは3ヶ年経営計画(2024年5月公表:売上211.70億円・営業利益34.65億円)を1年前倒しで達成しました(前期実績がこれを上回った)。当期の成長戦略は、(1) AI変革(AX)の加速化(与信・債権管理の自動化)、(2) 戦略的投資の実行(新基幹システム・東京本社増床・医療費保証強化・新人事制度)、(3) ストック型収益モデルの構築(K-netとの「一棟保証サービス」共同拡販、三菱地所グループのHOMETACT拡販)の3本柱です。資本コストを意識した目標として、自己資本比率50%以上(前期実績33.4%)、ROE20~35%程度の確保(前期実績37.1%)、配当性向40%程度を掲げています。市場規模は、住居用賃料保証で約2,360億円・利用率77%、事業用賃料保証で約385億円・利用率25%(将来約1,200億円まで拡大余地)と会社は推定しており、グループの成長率は市場成長率を大きく上回るとしています。

※ジェイリースの詳細は、個別記事で深掘り予定です(近日公開)。

3銘柄まとめ|家賃保証の高配当3社を並べて見る

項目 全保連(5845) イントラスト(7191) ジェイリース(7187)
株価(2026/6/19終値) 994円 1,080円 1,292円
予想利回り 4.83% 4.58% 4.64%
PER(予想) 10.3倍 13.1倍 9.1倍
PBR 3.22倍 2.98倍 3.12倍
時価総額 265億円 242億円 233億円
市場 東証スタンダード 東証スタンダード 東証プライム
前期の業績 増収増益(営業+24.5%)・過去最高 増収増益(営業+18.8%)・過去最高 増収増益(営業+16.8%)・過去最高
前期の売上の伸び +2.1% +16.2% +24.9%
当期予想(最終利益) +46.0%(特損剥落が主因) +5.5% +2.1%(上期は投資先行で減益)
配当の動き 40→48円へ増配 38→49.5円へ増配 55→60円へ増配
配当方針の軸 累進配当(40円以上 or 性向50%以上) 11期連続増配計画/性向60% 7期連続増配計画/性向40%程度
当期予想の配当性向 50.0% 60.2% 42.4%
家賃保証のリスク指標 代位弁済率0.45%・回収率96.4% 滞納発生率7.3%・滞納回収率98.0% 代位弁済発生率6.5%・回収率97.4%
特徴 MUFG傘下・実質無借金・AI審査 総合保証(医療・介護へ拡大)・自己資本比率63% 全国店舗網・M&A拡大・唯一プライム
決算期・会計基準 前期2026年3月期/当期2027年3月期・日本基準 同左・日本基準(前期から連結) 同左・日本基準(連結)

こうして横並びで見ると、「家賃保証・利回り4.5%超・前期は過去最高益」という同じ芯の下に、ずいぶん個性の違う3社が並んでいるのが分かります。

  • 成長のスピードで見ると、前期の売上の伸びは全保連+2.1%・イントラスト+16.2%・ジェイリース+24.9%と差があります。全保連は売上の伸びは緩やかでも審査改善で利益を二桁伸ばし、イントラストとジェイリースは売上自体が二桁で伸びています。
  • 配当方針で見ると、全保連は「累進配当(減配しない約束)」、イントラストは「11期連続増配+配当性向60%」、ジェイリースは「7期連続増配+配当性向40%程度」。同じ高配当でも、約束の仕方と性向の水準が違います。
  • 家賃保証のリスク指標は、3社とも開示の仕方がバラバラで、定義が違うため横並び比較には向きません。それぞれ自社の事業をどうコントロールできているかを見る数字、と捉えるのが妥当です。

同じ入口を通っても、中身はこれだけ違う――これが今回いちばんお伝えしたかったことです。なお、念のためにもう一度書きますが、この比較はどれが優れているという「順位づけ」ではなく、それぞれの個性を整理したものです。

「家賃保証の高配当株」を見るときのチェックリスト

今回の3社を通して見えてきた「家賃保証の高配当株を、利回りの数字だけで終わらせない」ための確認ポイントを、私なりにチェックリストの形にまとめておきます。気になる家賃保証銘柄に出会ったとき、この順番で確認すると、思考が整理しやすくなります。

  1. 「家賃保証はストック型で不況に強い」を鵜呑みにせず、業績の中身を読む。 家賃保証は契約を積み上げるストック型で、景気の波に比較的強いと言われます。ただし、不況や物価高で滞納が増えれば代位弁済(立替え)が膨らみ、利益が圧迫されることもあります。「不況に強い」を入口にしつつ、実際に増収増益が続いているか、利益率がどう動いているかを確認する。
  2. 成長のスピード(売上の伸び)を見る。 同じ家賃保証でも、売上の伸びには差があります(今回は全保連+2.1%・イントラスト+16.2%・ジェイリース+24.9%)。売上が緩やかでも審査改善で利益を伸ばす型か、売上自体を二桁で伸ばす型か――成長の形を見る。
  3. 配当の「約束の仕方」を読む。 累進配当(減配しない約束)か、連続増配の計画か、配当性向何%を基準にしているか。今回は全保連=累進配当、イントラスト=11期連続増配・性向60%、ジェイリース=7期連続増配・性向40%程度と、三者三様でした。利回りの数字より、この「方針」と「業績」の関係が配当の継続性を左右する。
  4. 配当性向の水準と、その意味を見る。 配当性向が高い(イントラスト60%)と還元は厚いが、今後さらに引き上げる余地は小さくなる。性向が低め(ジェイリース40%程度)だと、残りを成長投資に回しているとも、引き上げ余地があるとも読める。性向の数字を、会社の方針(累進・連続増配・成長投資)とセットで見る。
  5. 家賃保証のリスク指標(代位弁済率・回収率)は、各社の定義が違うことを前提に見る。 今回も全保連「代位弁済率0.45%」、イントラスト「滞納発生率7.3%」、ジェイリース「代位弁済発生率6.5%」と、同じ言葉でも計算の前提がバラバラでした。3社の数字を単純に並べて優劣を判断するのではなく、各社が「前期からどう変化したか」「会社がどう見ているか」を確認する。

このリストに沿って見れば、少なくとも「家賃保証で利回りが高いから安心」という見かけだけで判断する事態は避けられます。利回りも「不況に強い」という言葉も、スタート地点であって、結論ではありません。

よくある質問(FAQ)

Q1. 家賃保証ビジネスは、本当に不況に強いのですか?
A. 「人は不況でもすぐに家を出ていくわけではなく、家賃保証は契約を積み上げるストック型のビジネスなので、景気の波に比較的強い」と一般に言われます。今回の3社も、前期はそろって過去最高益を更新しました。ただし「不況に強い=リスクがない」ではありません。不況や物価高で家賃の滞納が増えれば、保証会社が立て替える代位弁済が膨らみ、利益が圧迫されることもあります。実際、ジェイリースは当期に代位弁済発生率の上昇・回収率の低下を計画に織り込んでいます。「不況に強い」を入口にしつつ、各社が滞納や代位弁済をどうコントロールできているかを確認することが大切です。

Q2. 3社とも利回り4.5%超なら、どれを選んでも同じですか?
A. 利回りの水準は近くても、中身はかなり違います。全保連は「累進配当(減配しない約束)」、イントラストは「11期連続増配を計画し配当性向を60%まで引き上げる方針」、ジェイリースは「7期連続増配を計画しつつ配当性向は40%程度を基準」と、配当の約束の仕方がそれぞれ違います。成長のスピード(前期の売上の伸び)も全保連+2.1%・イントラスト+16.2%・ジェイリース+24.9%と差があります。利回りの数字だけでなく、こうした「配当方針」と「成長の形」をセットで見ることをおすすめします。

Q3. 全保連の当期は最終利益が+46%も伸びる予想ですが、それだけ業績が急拡大するのですか?
A. 営業利益・経常利益は+11%台の増益予想なので、本業も着実に伸びる見込みですが、最終利益だけ+46%と大きく伸びるのには理由があります。前期に、退任した取締役への退職慰労金として一過性の特別損失6億円を計上していたため、最終利益の伸びが+6.6%に抑えられていました。当期はこの特別損失がなくなる(剥落する)ため、その反動で最終利益の伸び率が大きく見えます。つまり、当期の最終利益+46%増の大半は、本業の急拡大というより、前期に一度だけ乗った特別損失がなくなる影響が大きい、という整理になります。

Q4. 「代位弁済率」が、全保連は0.45%なのにジェイリースは6.5%です。全保連のほうがずっと優秀ということですか?
A. その比較はできません。同じ「代位弁済率」という言葉でも、各社で計算の定義がまったく違うからです。全保連の「早期入金控除後30日期間代位弁済率0.45%」は同社が独自に開発した審査精度の指標で、ジェイリースの「代位弁済発生率6.5%」とは前提が異なります。イントラストにいたっては「滞納発生率7.3%」という別の指標を使っています。3社の数字を単純に並べて優劣を判断するのではなく、各社が「前期からどう変化したか」「会社自身がどう見ているか」を確認するのが正しい読み方です。

Q5. 利上げ(金利が上がること)は、家賃保証の会社にとってマイナスですか?
A. 公式資料の範囲では、3社とも「利上げが業績にこう影響する」と数値で明示してはいないため、本記事では断定しません。一般論として、利上げや物価高は家計を圧迫し、家賃滞納が増える要因になりうる、という見方はあります。実際、全保連は資料のなかで個人再生・破産や企業倒産が増加傾向にあると触れ、ジェイリースは物価上昇などを背景に代位弁済立替金が増加傾向にあると認識を示しています。一方で全保連は実質無借金、イントラストは自己資本比率63.1%と、財務的に余裕のある会社もあります。利上げ・景気の影響をどう受けるかは会社ごとに違うため、各社の財務やリスク指標をセットで見ることをおすすめします。

Q6. 結局、この3社のなかでどれを選べばいいですか?
A. 本記事は特定の銘柄をおすすめする趣旨ではないので、「これを買うべき」という答えは出しません。お伝えしたいのは、3社は「家賃保証・利回り4.5%超・前期は過去最高益」という芯こそ同じでも、成長のスピードと配当の約束の仕方が違う、ということです。全保連なら「累進配当という減配しない約束をどう評価するか」、イントラストなら「配当性向60%まで還元を厚くした連続増配をどう見るか」、ジェイリースなら「成長投資と配当性向40%程度を両立させる7期連続増配をどう受け止めるか」。利回りや過去最高益の数字を横並びで比べるのではなく、それぞれの「成長と配当方針」を理解したうえで、自分が何を重視するかで判断するのが、遠回りなようでいちばんの近道だと考えています。

まとめ|利回りや「不況に強い」より、成長と配当方針を見る

家賃債務保証ビジネスを主力とする高配当3社――全保連(5845)・イントラスト(7191)・ジェイリース(7187)。いずれも2026年6月19日終値で予想配当利回り4.5%超、前期(2026年3月期)はそろって過去最高益を更新し、連続増配の傾向にあります。けれども、1社ずつ公式IR資料で点検してみると、成長のスピードと配当の「約束の仕方」は、それぞれ違いました。

  • 全保連(5845)…家賃債務保証の専業で、2025年4月にMUFGの連結子会社に。前期は売上+2.1%と緩やかながら、AI審査で信用コストを削り営業+24.5%の二桁増益。実質無借金。累進配当(①40円以上 ②配当性向50%以上の高い方)を掲げ、配当は40円→48円へ増配。当期の最終利益+46%増は、前期に計上した特別損失6億円の剥落が主因。
  • イントラスト(7191)…家賃保証を軸に医療・介護・養育費へと領域を広げる「総合保証」。前期は売上+16.2%・営業+18.8%で過去最高、自己資本比率63.1%と財務は厚い。11期連続増配を計画し、配当性向を40%台から60%(当期予想60.2%)まで段階的に引き上げ、配当は38円→49.5円へ増配。当期は成長投資で増益率が鈍化する計画。
  • ジェイリース(7187)…全国店舗網(44店舗・41都道府県)とM&Aで拡大する、3社で唯一のプライム上場。前期は売上+24.9%と最も高い伸びで過去最高益。配当性向40%程度を基準に7期連続増配を計画し、配当は55円→60円へ増配。当期は新基幹システムなど戦略投資を先行させ、上期は減益・通期は増益の計画。

3社に共通するのは、「家賃保証だから不況に強い」「利回り4.5%超」という見かけの数字だけでは、配当の中身も成長の形も分からないということです。累進配当で減配しない約束をする会社、配当性向を60%まで引き上げて還元を厚くする会社、配当性向40%程度を基準に成長投資と両立させる会社――同じ入口を通っても、配当を支える考え方はこれだけ違います。だからこそ、利回りや「不況に強い」という言葉は、入口にすぎません。会社がどのスピードで成長し、配当をどう約束し、家賃保証のリスク(滞納・代位弁済)をどうコントロールしているのか――そこまで踏み込んで初めて、配当の継続性が見えてきます。

投資家として大事なのは、「利回りが高いから安心」「家賃保証だから不況に強い」と、見かけの数字や言葉で飛びつかないこと。利回りや業種のイメージより、その配当を支える「成長と方針」を見る。これが、高配当株を探すときの基本だと私は考えています。

3社とも、私は引き続きウォッチしていきます。状況が大きく動いたら、また決算や開示の数字をもとに、このブログで点検していくつもりです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

※本記事は2026年6月19日終値および各社の公式IR資料(決算短信・決算説明資料)に基づき作成した個人の整理です。株価・PER・PBR・利回り・時価総額は2026年6月19日終値時点。決算期は3社とも前期=2026年3月期(実績)・当期=2027年3月期(会社予想)です。各社の家賃保証のリスク指標(代位弁済率・滞納発生率・回収率など)は各社で定義・算出方法が異なるため、数値を単純に横並びで比較することはできません。利上げや景気が各社の業績に与える影響について、公式資料に数値での明示がない事項は本記事では断定していません。3社の比較・整理は私(タグ)個人の見方であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。記載の数値・見通しは将来を保証するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。

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たぐ

コロナショック直前の2020年に投資をスタート。リアルタイムで暴落を経験しながら独学で投資の基礎を習得。 現在の運用総額5,000万円超・年間配当収入120万円超を達成。投資信託・ETF・個別株・米国株など100銘柄超に分散投資し、相場の波に強いポートフォリオを構築中。 高配当株の長期保有と新NISAの積立を組み合わせた"2刀流"スタイルで資産形成を実践。保有銘柄の決算・配当・株価をブログで赤裸々公開しています。YouTubeでも投資情報を発信中!

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