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【2026年3月期】個人投資家が注目すべき決算予習10銘柄|トヨタ・三菱UFJ・NTT・KDDIの論点を一次資料で整理

2026年4月下旬、3月期決算の発表ラッシュが本格化します。今回は個人投資家に人気の高配当株・新NISA主力株・売買代金上位銘柄から10社を厳選し、決算発表前に押さえておきたい論点を、決算短信・決算説明資料など一次資料ベースで整理していきます。株価は断りがない限り2026年4月22日終値を使用しています。

なぜ「決算予習」が個人投資家に効くのか

決算発表は1年でもっとも株価が動きやすいイベントです。上方修正/下方修正、会社予想、自社株買い、増配、来期ガイダンス。判断に残された時間はきわめて短く、機関投資家がレポートを準備するなか、個人が発表後に情報を拾いに走るとワンテンポ遅れます。 そこで有効なのが「予習」。①前期の実績、②Q3累計の進捗、③通期会社予想の位置、④還元方針を事前に把握しておけば、発表直後の数字を見た瞬間に「予想比で強いか弱いか」を判断できます。 特に2026年3月期は米関税・国内金利上昇・AI投資の3大テーマが重なり、銘柄ごとに明暗が分かれる決算になりそうです。

今回ピックアップした10銘柄の選定基準

  • 時価総額・売買代金の上位銘柄(市場注目度が高い)
  • 新NISAランキング上位(個人保有の厚みがある)
  • 高配当・連続増配・株主優待で個人との親和性が高い
  • 直近の話題性(不祥事・分割・大型M&A・次世代機など)

結果として、自動車・メガバンク・通信・総合商社・ハイテク・エンタメと業種分散された顔ぶれになりました。すべて3月期決算で、発表は4月末〜5月15日に集中します。

10銘柄の決算発表日カレンダー

発表日 銘柄 時刻
5/1(金) 8058 三菱商事 14:00
5/1(金) 8031 三井物産 12:00
5/8(金) 7203 トヨタ自動車 未明示
5/8(金) 9432 NTT 未明示
5/8(金) 7974 任天堂 未明示
5/8(金) 6758 ソニーグループ 12:00資料掲載/16:00経営方針・業績説明会
5/12(火) 9433 KDDI 午後(公式IR確定)
5/13(水) 8316 三井住友FG 未明示
5/13(水) 9984 ソフトバンクG 15:30短信/16:30説明会
5/15(金) 8306 三菱UFJ FG 未明示

いずれも各社公式IRカレンダーで最終確認をおすすめします。

【個別予習】3月期決算・注目10銘柄

① 7203 トヨタ自動車|米関税▲1兆4,500億円をどう吸収するか

時価総額約50.5兆円/終値3,191円 2025年3月期は売上48兆367億円(+6.5%)、営業利益4兆7,955億円(▲10.4%)、純利益4兆7,650億円(▲3.6%)、EPS 359.56円と増収減益。2026年3月期の会社予想(2026年2月6日時点)は営業利益3兆8,000億円(▲20.8%)、純利益3兆5,700億円(▲25.1%)、EPSは約273円とみられます。米関税影響▲1兆4,500億円を織り込んだ保守的な数字です。 一方でQ3累計(4〜12月)の営業利益進捗率は84.1%と極めて高く、通期の上振れは視界内。販売計画は1,050万台(過去最高)、配当は95円(2026年3月期予想ベースで6期連続増配予想)。2025年6月に発表した自社株買い上限3兆2,086億円枠、および自己株TOB(3,067円、買付期間2026年3月31日〜4月27日)も株主還元のハイライトです。決算発表は2026年5月8日(金)予定

② 8306 三菱UFJフィナンシャル・グループ|純利益2.1兆円は視界内

時価総額約33.2兆円/終値2,794円 2025年3月期は純利益1兆8,629億円(+25.0%)と過去最高、EPS 160.02円。2026年3月期会社予想は純利益2兆1,000億円(+12.7%、過去最高更新予想)、EPS約180円とみられ、配当74円(2026年3月期予想ベースで5期連続増配予想)。Q3累計純利益1兆8,135億円、進捗率86.4%で通期到達はほぼ確実圏です。 国内金利上昇による預貸金利ザヤ拡大、投資銀行業務の手数料収入拡大が追い風。2025年11月には自社株買い上限2,500億円(発行済の1.08%)を発表しており、上期上方修正とセットの還元姿勢が続いています。なお通期の経常収益・経常利益予想はメガバンク各社とも非開示で、MUFGも純利益のみのガイダンスです。決算発表は2026年5月15日(金)予定

③ 8316 三井住友フィナンシャルグループ|純利益1.5兆円に上方修正、EPS約390円

時価総額約20.8兆円/終値5,442円 2025年3月期は純利益1兆1,779億円(+22.3%)と過去最高、EPS 301.55円。2026年3月期は2025年11月14日に純利益を1兆5,000億円へ上方修正、予想EPSは約390円。年間配当は157円(中間78+期末79、2026年3月期予想ベースで5期連続増配)、自社株買い上限1,500億円。Q3累計純利益1兆3,947億円で進捗93.0%という強さです。 累進配当方針と配当性向40%目標を明示。中島CEOは中期的な「純利益2兆円の前倒し達成も可能性」と言及しており、金利・為替・資産運用ビジネスがいずれも追い風です。決算発表は2026年5月13日(水)予定(公式IRカレンダー確認済)。

④ 9432 NTT|下方修正後の着地と、IOWN投資フェーズの是非

時価総額約13.73兆円/終値151.5円(配当利回り約3.5%) 2023年7月1日の1対25分割で個人投資家の保有層が厚くなり、新NISA人気ランキング常連。2025年3月期は営業収益13兆7,047億円、営業利益1兆6,496億円(▲14.2%)。2026年3月期は2026年2月5日に純利益を1兆400億円→9,650億円へ下方修正(ドコモの価格競争激化・ネットワーク投資増が主因)、営業利益は1兆6,600億円予想。 Q3累計純利益9,261億円で進捗約96.0%と通期達成は視界内。年間配当予想は5.3円で増配継続。2028年度までの8兆円成長投資計画(IOWN含む)が中長期評価の分岐点です。決算発表は2026年5月8日(金)予定(公式IRカレンダー記載)。

⑤ 9433 KDDI|ビッグローブ架空取引問題が直撃した期

時価総額約10.94兆円/終値2,613円 2025年3月期は売上5兆9,179億円(+2.8%)、営業利益1兆1,187億円(+16.3%)、純利益6,857億円(+7.5%)、配当72.5円(分割後ベース、23期連続増配)。ただし2026年3月期は様相が激変しています。 子会社ビッグローブおよびジー・プランの広告代理事業で2018年8月〜2025年12月にかけて累計売上約2,461億円・営業利益影響約1,508億円の架空循環取引が発覚。子会社ビッグローブ・ジー・プラン両社の社長ら計6人が引責辞任(KDDI本体の松田浩路社長・髙橋誠会長は月額報酬の30%を3カ月分返納)、のれん減損646億円、Q3決算発表は異例の2026年3月31日まで延期されました。2026年3月期の会社予想(3月31日時点)は売上6兆600億円、営業利益1兆900億円、純利益6,980億円で、配当は80円(2025年5月公表の当初予想を据え置き、実現すれば24期連続増配)。 Q3累計で売上4兆4,718億円・営業利益8,567億円(進捗78.6%)まで開示済み。通期決算発表は2026年5月12日(火)予定ですが、架空取引問題の後処理もあり直前での日程変更リスクには要注意。ローソン持分法化(2024年7月上場廃止)やPontaパス(会員約1,500万人)といった本業側のストーリーも合わせて確認どころです。

⑥ 8058 三菱商事|Q3進捗86.8%、減益予想の「下限」はどこか

時価総額約19.1兆円/終値4,746円 2025年3月期は収益18兆6,176億円、純利益9,507億円(▲1.4%)、EPS 237円、配当110円。2026年3月期会社予想(据え置き)は純利益7,000億円(▲26.4%)、配当110円(累進配当)。前期の一過性利益(ローソン持分法化の再評価益、豪州原料炭資産売却益)の剥落が減益要因です。 ただしQ3累計純利益6,079億円で進捗率は86.8%と通期予想を大きく上回るペース。バフェット銘柄として注目度が高く、2025年4月4日開始の1兆円上限の自社株買いは2025年12月末までに7,943億円まで進捗。株式分割は2024年1月1日の1対3で、現在の株価・EPS・配当はいずれも分割後ベース。『経営戦略2027』ではROE12%を目標に掲げています。決算発表は2026年5月1日(金)14:00予定

⑦ 8031 三井物産|累進配当+増配、2026年3月期は115円

時価総額約16.1兆円/終値5,614円 2025年3月期は収益14兆6,626億円、純利益9,003億円(▲15.4%)、EPS 306.73円、配当100円(分割後ベース)。2026年3月期会社予想は純利益8,200億円、配当115円(中間55+期末60、2026年3月期予想ベースで6期連続増配予想)、基礎営業CF 9,500億円。Q3累計純利益6,119億円で進捗74.6%。 鉄鉱石・石炭・LNG・米国ガスなど資源ポートフォリオが中核で、資源価格下落と機械Infra一過性利益の剥落が足元の減益要因です。2024年7月1日の1対2分割後ベースで数字が統一されており、中計2026では累進配当(分割後75円を下限)を明示。2,000億円の自社株買い枠(2025年11月6日〜2026年3月19日)は2026年3月23日に取得完了・全株消却を発表済み決算発表は2026年5月1日(金)12:00予定(同日にトップバッターとして商社二大巨頭が揃い踏み)。

⑧ 9984 ソフトバンクグループ|OpenAI評価益でQ3純利益3.17兆円

時価総額30兆円台/終値5,620円(前日比+8.47%、高値5,727円をつけ約5か月ぶり高値水準) 2025年3月期は4期ぶり最終黒字となる純利益1兆1,533億円(前期から+1兆3,810億円改善)、売上7兆2,438億円。2026年3月期はQ3累計だけで売上5兆7,192億円、純利益3兆1,727億円(前年同期比+398.7%、約5倍)と大爆発。OpenAI関連の評価益だけで約2兆7,960億円寄与しました。 OpenAIへの累計出資はQ3末時点で346億ドル(約11%)に到達(2026年2月27日には追加出資を発表、完了すれば累計646億ドル・持分比率約13%)。2026年1月にはOpenAI・SBGによる「Stargate」戦略提携も発表済み。2025年12月末時点のNAVは30.9兆円。SBGは投資持株会社という位置づけから通期予想(売上・利益・EPS)は一貫して非開示で、市況次第で四半期数値のボラティリティが大きい点に要注意。年間配当予想は11円(参考値)、2024年10月1日の1対10分割後ベース。なお、通信子会社のソフトバンク(9434)は別会社で通期予想を開示しているため、混同しないよう要確認。決算発表は2026年5月13日(水)、短信15:30・説明会16:30で確定(2026年4月2日付の公式告知)。

⑨ 6758 ソニーグループ|3度目の上方修正、金融スピンオフ後の素顔

時価総額約20兆円規模/終値3,343円 2025年3月期は売上12兆9,570億円、営業利益1兆4,071億円、純利益1兆1,416億円、配当20円(分割後換算)。2026年3月期は2026年2月5日に営業利益1兆5,400億円へ3度目の上方修正、純利益1兆1,300億円、配当25円の見込み。Q3累計純利益(継続事業ベース)は約9,477億円で進捗83.9%。 ゲーム・半導体(CIS)・音楽・映画の複合エンタメに加え、映画「鬼滅の刃」のヒットも寄与。金融事業は2025年10月1日にスピンオフ完了し、ソニーフィナンシャルグループが東証プライムに再上場済み。以降の会社予想は「金融除く継続事業ベース」に組み替えられており、前年比較には注意が必要です。2024年10月1日の1対5分割後ベース。なお、PS6についてはリーク情報が賑やかですが会社からの正式アナウンスは現時点で一切ありません決算発表(経営方針および業績に関する説明会)は2026年5月8日(金)予定(12:00資料掲載/16:00説明会、Sony公式IRスケジュール確認済)。

⑩ 7974 任天堂|Switch2が計画1,900万台へ上方修正、Q3時点で純利益超過

時価総額約10.83兆円/終値8,413円 2025年3月期は売上1兆1,649億円、営業利益2,825億円、純利益2,788億円、EPS 239.47円。2026年3月期の会社予想(2025年11月4日上方修正、2026年2月3日のQ3決算で据え置き)は売上2兆2,500億円、営業利益3,700億円、純利益3,500億円、EPS 300.62円と大幅ジャンプ予想。Q3累計で売上1兆9,058億円、営業利益3,003億円、純利益3,588億円——純利益は既に通期予想を超過(進捗102.5%)、通期上方修正の余地が大きいとみられます。 ニンテンドースイッチ2は2025年6月5日発売(49,980円)2025年12月末時点で1,737万台と歴代最速ペース。会社計画は当初1,500万台→2025年11月4日に1,900万台へ上方修正済み。ソフトは「マリオカート ワールド」1,403万本、「ドンキーコング バナンザ」425万本が牽引。旧Switchも累計1億5,537万台で任天堂歴代1位に。決算発表は2026年5月8日(金)予定(公式IRカレンダー記載)。

決算横断で見ておきたい3つのテーマ

1. 米関税のインパクトと「吸収力」

トヨタは通期で▲1兆4,500億円の関税影響を織り込み済みで会社予想は保守的な水準です。一方、ソニーは2026年1月31日時点の試算で関税影響を▲500億円と開示(2025年8月時点の700億円から縮小)。自動車・電機・機械系では、会社予想の前提(税率・為替)とQ3までに出た「実被害額」のギャップが発表当日の最大の論点になります。

2. 国内金利上昇メリット

メガバンク勢(MUFG・SMFG)はいずれも金利上昇の受益者。SMFGは純利益1.5兆円に上方修正、MUFGは2.1兆円の過去最高更新予想。自社株買い・増配が連発しており、配当性向40%・累進配当といった「下限シナリオ」の厚みが増しています。来期(2027年3月期)ガイダンスで日銀利上げ前提がどこに置かれるかが焦点。なお両社とも通期の経常収益・経常利益予想は非開示のため、純利益予想と自社株買い枠の規模に注目が集まります。

3. AI投資の評価益は持続するか

SBGのQ3累計純利益3.17兆円のうち、OpenAI関連評価益は約2.8兆円。未実現益中心で、AI相場が調整すれば一気に吹き飛ぶ性質の数字です。通期予想を出さないSBGは「いくら稼いだか」ではなく「NAV(30.9兆円)がどこか」を軸に見るのがセオリー。ソニー(CIS)・任天堂(Switch2)といったキャッシュを生む本業を持つ銘柄との比較で、ポートフォリオのAIエクスポージャーを考えたいところです。

個人投資家が決算発表当日にチェックすべきポイント

  1. 通期予想の上方修正/下方修正と、その「幅」 — トヨタは2026年3月期中に予想を3回改定しており、改定回数も重要。
  2. Q4単体のトップラインの勢い — 四半期累計から年間予想を引き算し、直近四半期の伸び率を確認。
  3. 自社株買い・増配の発表 — 決算とセットで出るケースが多く、需給インパクトも大きい。
  4. 来期(2027年3月期)会社予想のレンジ — 本決算最大の注目点。関税前提・金利前提・為替前提も併せて確認。
  5. 定性コメント — 社長記者会見のひと言(「ボトムは過ぎた」など)が株価を動かす例は多い。

まとめ|注目すべき銘柄・慎重に見るべき銘柄

前向きに注目したい銘柄は、Q3進捗率が高く通期上方修正・自社株買いが織り込める銘柄。SMFG(進捗93.0%)、三菱商事(86.8%)、MUFG(86.4%)、トヨタ(営業利益84.1%)、任天堂(純利益102.5%)はこのラインに乗っています。 一方で慎重に見たい銘柄は、一過性要因や特殊事由で数字が大きく振れている銘柄。SBGは通期予想を出さない投資会社で、AI評価益のボラティリティが高い点に注意。KDDIは架空取引問題の後処理が続いており、来期予想・ガバナンス面の説明に要注目。NTTは下方修正後の着地と、IOWN投資回収ストーリーが評価の分かれ目になりそうです。 いずれも投資判断はご自身で。決算発表当日の資料読み込みは個人投資家にとって最高に楽しい時間なので、「予習→発表→答え合わせ」のサイクルをぜひ楽しんでみてください。

免責事項

本記事は2026年4月22日終値時点で公開されている一次資料(各社決算短信・決算説明資料・適時開示・IRカレンダー)および主要報道(日本経済新聞・ロイター・ブルームバーグ・株探・ダイヤモンドZAi等)を元に執筆した個人の考察であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。決算発表日・数値は公式IRカレンダーで最終確認のうえ、投資判断はご自身の責任でお願いします。

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たぐ

コロナショック直前の2020年に投資をスタート。リアルタイムで暴落を経験しながら独学で投資の基礎を習得。 現在の運用総額5,000万円超・年間配当収入120万円超を達成。投資信託・ETF・個別株・米国株など100銘柄超に分散投資し、相場の波に強いポートフォリオを構築中。 高配当株の長期保有と新NISAの積立を組み合わせた"2刀流"スタイルで資産形成を実践。保有銘柄の決算・配当・株価をブログで赤裸々公開しています。YouTubeでも投資情報を発信中!

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